女公爵は軽薄に笑う

下菊みこと

文字の大きさ
17 / 33

女公爵のなんでもない日常

しおりを挟む
リュカがアンジェリクの部屋のカーテンを開けた。今日もアンジェリクの一日が暖かな日の光を浴びて始まる。

「ご主人様、おはようございます」

「んん…おはよう、リュカ」

「洗顔水とタオルです」

「ありがとう」

洗顔をしてさっぱりとすると、次は着替えだ。

「ではお着替えをいたしますね」

リュカがアンジェリクの着替えを手伝う。

「御髪を整えさせていただきますね」

そういうとリュカはアンジェリクの綺麗な烏の濡れ羽色の髪を梳かす。アンジェリクの紅い瞳は、鏡越しにリュカの銀に近い金髪と翠の瞳を映していた。アンジェリクはとてもこの時間が好きだ。

「ではご主人様。朝食にいたしましょう」

「ええ」

ー…

「それで?今日はどんな予定があるのかしら?」

「本日は各レジャー施設を担当する皆様との会議があります。その後は執務を行なっていただきたく思います」

「執務…リュカがやってくれない?」

「いけません。その分今日のおやつはエルドラド公爵家の使用人たるシェフたちが腕によりをかけて作ったガトーショコラをご用意致しますので」

「俄然やる気が出てきたわ」

「それは良かった」

応接室にてレジャー施設の担当者を待つアンジェリク。担当者が揃うと早速会議が行われる。花畑の花の植え替えの予算、遊園地の新しい目玉アトラクション、動物園の展示の仕方の大幅な変更、水族館に新しく迎え入れる深海魚の展示方法、カジノの大幅な改装、ホテルの従業員の研修費用などなど今日一日でより良いおもてなしのための予算が決定された。その全てを計算するとかなりの額である。もちろんその費用の負担は、これまで得られたレジャー施設の収入と比べれば大したことはない。より良いおもてなしを実現することでより多くの客が得られるのであれば当然黒字になるはず。それに、お金を使えば使うだけ領民へ流れる。領内の経済活動が活発になればそれだけ税金も納めてもらえる。いくら出費が大きかろうと何の問題もないのだ。

ー…

「…」

アンジェリクはとても集中している。執務の最中なのだ。面倒だがこれも仕事。ガトーショコラのために頑張る他ない。

「ご主人様」

「あら、リュカ」

「本日のお茶とお茶菓子をお持ち致しました」

「ありがとう。まあ、すごく美味しそうね」

「ええ。お茶もガトーショコラに合うものをご用意させていただきました」

「うふふ。ああ、これこれ。疲れた時には糖分ね!」

「ええ。そうですね」

「ふふ。この後少しだけ、中庭に行ってもいいかしら?」

「…ええ、構いませんよ」

「ありがとう。ご馳走様でした。行ってくるわね」

「はい、ご主人様」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

あなたのためなら

天海月
恋愛
エルランド国の王であるセルヴィスは、禁忌魔術を使って偽の番を騙った女レクシアと婚約したが、嘘は露見し婚約破棄後に彼女は処刑となった。 その後、セルヴィスの真の番だという侯爵令嬢アメリアが現れ、二人は婚姻を結んだ。 アメリアは心からセルヴィスを愛し、彼からの愛を求めた。 しかし、今のセルヴィスは彼女に愛を返すことが出来なくなっていた。 理由も分からないアメリアは、セルヴィスが愛してくれないのは自分の行いが悪いからに違いないと自らを責めはじめ、次第に歯車が狂っていく。 全ては偽の番に過度のショックを受けたセルヴィスが、衝動的に行ってしまった或ることが原因だった・・・。

大嫌いな従兄と結婚するぐらいなら…

みみぢあん
恋愛
子供の頃、両親を亡くしたベレニスは伯父のロンヴィル侯爵に引き取られた。 隣国の宣戦布告で戦争が始まり、伯父の頼みでベレニスは病弱な従妹のかわりに、側妃候補とは名ばかりの人質として、後宮へ入ることになった。 戦争が終わりベレニスが人質生活から解放されたら、伯父は後継者の従兄ジャコブと結婚させると約束する。 だがベレニスはジャコブが大嫌いなうえ、密かに思いを寄せる騎士フェルナンがいた。   

【完結】1王妃は、幸せになれる?

華蓮
恋愛
サウジランド王国のルーセント王太子とクレスタ王太子妃が政略結婚だった。 側妃は、学生の頃の付き合いのマリーン。 ルーセントとマリーンは、仲が良い。ひとりぼっちのクレスタ。 そこへ、隣国の皇太子が、視察にきた。 王太子妃の進み道は、王妃?それとも、、、、?

侯爵様の懺悔

宇野 肇
恋愛
 女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。  そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。  侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。  その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。  おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。  ――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

乙女ゲームは見守るだけで良かったのに

冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した私。 ゲームにはほとんど出ないモブ。 でもモブだから、純粋に楽しめる。 リアルに推しを拝める喜びを噛みしめながら、目の前で繰り広げられている悪役令嬢の断罪劇を観客として見守っていたのに。 ———どうして『彼』はこちらへ向かってくるの?! 全三話。 「小説家になろう」にも投稿しています。

処理中です...