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この姉妹の仲はずっと良好です
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「エグランティーヌ。新しいドレスを仕立ててあげるわ。こちらにいらっしゃい」
「お母様、素敵なお話ありがとう。けれどウージェニーにももちろん作ってくれるのよね?」
「その子にはまだ新しいドレスは要らないでしょう」
「じゃあ私も要らないわ」
「え、そんなことを言わないで?可愛い貴女は着飾るべきだわ」
母が姉にそういえば、姉は母を睨みつける。
「ウージェニーだって可愛らしいわ。私の双子の妹ですもの。ほら、並んで立てば私達はそっくり。違うのは髪の長さだけだわ」
「…」
「ウージェニーにこそ長い髪が似合うのに、自分が気に入らないからってウージェニーだけ無理矢理短髪にして。私はウージェニーを愛していると言っても、ウージェニーをもっと大切にしてと言っても聞き入れてもくれない。お母様なんて大嫌いよ」
「エグランティーヌ!私は貴女の母親なのよ!」
「『自分の双子の妹へのコンプレックス』を私達に押し付けて、双子として生まれた私達を妹であるウージェニーだけ差別して育てるような女、母親なんて思えないわ」
姉の言葉に、母は絶叫して気絶した。
「お前たち、お母様を部屋に運んでおいてちょうだい。…さ、ウージェニー。邪魔者も排除したし、さっさと叔母さまの元へ避難しましょ」
「は、はい。お姉様」
こうして私達は、実家を飛び出して叔母さま…母の妹の元へ逃げた。
お母様は、公爵家の娘だった。何不自由ない豊かな生活。優しい両親。幸せだったと言っていた。唯一気に入らないのは、双子の妹。
双子の妹は、双子なのにお母様よりいつもなんでも上手く出来たらしい。それが気に入らないと言っていた。
やがて大人になってもそれは変わらなかった。叔母さまは魔法が特に得意で、大人になっても政略結婚はせずに魔法省に登用され、政略結婚なんかよりはるかに実家に貢献。自慢の娘だと褒め称えられ、お母様はコンプレックスに支配されたらしい。
叔母さまは政略結婚はしなかったが、同じく魔法省に勤めるエリートの男性と結婚した。残念ながら子供には恵まれなかったが、その分私とお姉様を本当の子供のように可愛がってくれた。
その叔母さまが、お母様の元にこれ以上いるのは私達にとってストレスだろうと手を差し伸べてくれた。私達は産みの母を捨てて、叔母さまの元へ逃げ込む。養子になるのだ。お父様は、お兄様と弟さえ手元にいれば構わないと容認してくれたので問題ない。お母様には内緒。目が覚めて知ったら、きっと今度こそ発狂するだろう。
「叔母さま、来ましたわ!」
「叔母さま、お久しぶりです」
「いらっしゃい、よく来たわね」
「叔母さまには、本当に感謝に絶えませんわ」
「うふふ。そんなのいいのよ。ちゃんと妹を守って、エグランティーヌは偉いわね。ウージェニーもよく頑張ったわ」
叔母さまに抱きしめられて、安心して涙が溢れる。
叔母さまは頻繁に私達に会いに来ては、私達を差別して育てる母を諌めてくれた。
そんな叔母さまを見て、お姉様は私を守ってくださるようになって。
私は食事も満足に与えられていなかったが、叔母さまが来るたびこっそり非常食を与えてくれて、それを食べてなんとかしのいでいた。そして、お父様と話をつけて養子にしてくれて。
私はやっと、幸せになれそうです。
「ウージェニー!やっぱり貴女は可愛いわ!ほら、こちらも着て!こちらも!」
「もう、お姉様ったら」
あれから何年も経った。
お母様はあの後、結局は発狂して廃人になったらしい。そうなってすぐリゾート型の療養施設に入居した。が、今でも入居し続けている。お兄様と弟は、それでも父の元で幸せに過ごしている。たまに会うが三人とも元気で幸せそうだ。
お母様は、お姉様だけ幸せになって欲しかったらしいが私達は二人で幸せに過ごしている。
お姉様は、魔法の才能があったらしく若くして魔法省に登用された。そしてそのお給料を私にバンバン注ぎ込んでいる。ドレスを特注で作り、二人で色違いの同じデザインのドレスを着るのを趣味にしているのだ。
叔母さまは叔母さまで、育ての母としてとても私達を大切にしてくれている。お姉様と違って魔法の才能はない私だが、この人と生きて行きたいと思える相手を見つけた。そんな人との結婚を後押ししてくれたのは叔母さまだ。私はもうすぐその人に嫁ぐ。お姉様は、離れ離れになる前にとさらに私への溺愛に拍車がかかっている。
「叔母さま、お姉様。本当にありがとう。二人のおかげで私は今日も幸せです」
「ふふ、何言ってるの?私もウージェニーのおかげで今日も幸せだわ」
「私も、二人を養子にもらえて幸せだわ。…もっとも、私は貴女達の実の母を不幸にして貴女達に自己満足を無理矢理押し付けてると言われてしまうかもしれないけれど」
叔母さまの言葉を即座に否定する。
「そんな!産みの母より叔母さまの方が、私達を愛して慈しんでくださいました!私は産みの母より育ての母である叔母さま…いえ、お義母様の方が好きです!」
「私もよ、叔母さま!…いえ、お義母様!」
「…!」
お義母様の瞳から涙が溢れる。
「…こんなに幸せでいいのかしら」
「私達はお義母様に幸せにしてもらったのよ。お義母様だって幸せになっていいに決まってるわ」
「お義母様、大好きです」
嫁いで、出て行く前に言えて良かった。
もちろん、お母様には産んでもらって感謝はしている。でも、産んだらそれだけで良い母かと言われればそうではないと思う。
愛情を感じる瞬間がなければ、所詮はそれまで。
それよりも、愛情を注いで温かく育ててくれたお義母様の方が、私にとっては『母親』だ。
私は、愛する彼と結婚したら、子供にはお義母様のような良い母になろうと心に誓った。
「お母様、素敵なお話ありがとう。けれどウージェニーにももちろん作ってくれるのよね?」
「その子にはまだ新しいドレスは要らないでしょう」
「じゃあ私も要らないわ」
「え、そんなことを言わないで?可愛い貴女は着飾るべきだわ」
母が姉にそういえば、姉は母を睨みつける。
「ウージェニーだって可愛らしいわ。私の双子の妹ですもの。ほら、並んで立てば私達はそっくり。違うのは髪の長さだけだわ」
「…」
「ウージェニーにこそ長い髪が似合うのに、自分が気に入らないからってウージェニーだけ無理矢理短髪にして。私はウージェニーを愛していると言っても、ウージェニーをもっと大切にしてと言っても聞き入れてもくれない。お母様なんて大嫌いよ」
「エグランティーヌ!私は貴女の母親なのよ!」
「『自分の双子の妹へのコンプレックス』を私達に押し付けて、双子として生まれた私達を妹であるウージェニーだけ差別して育てるような女、母親なんて思えないわ」
姉の言葉に、母は絶叫して気絶した。
「お前たち、お母様を部屋に運んでおいてちょうだい。…さ、ウージェニー。邪魔者も排除したし、さっさと叔母さまの元へ避難しましょ」
「は、はい。お姉様」
こうして私達は、実家を飛び出して叔母さま…母の妹の元へ逃げた。
お母様は、公爵家の娘だった。何不自由ない豊かな生活。優しい両親。幸せだったと言っていた。唯一気に入らないのは、双子の妹。
双子の妹は、双子なのにお母様よりいつもなんでも上手く出来たらしい。それが気に入らないと言っていた。
やがて大人になってもそれは変わらなかった。叔母さまは魔法が特に得意で、大人になっても政略結婚はせずに魔法省に登用され、政略結婚なんかよりはるかに実家に貢献。自慢の娘だと褒め称えられ、お母様はコンプレックスに支配されたらしい。
叔母さまは政略結婚はしなかったが、同じく魔法省に勤めるエリートの男性と結婚した。残念ながら子供には恵まれなかったが、その分私とお姉様を本当の子供のように可愛がってくれた。
その叔母さまが、お母様の元にこれ以上いるのは私達にとってストレスだろうと手を差し伸べてくれた。私達は産みの母を捨てて、叔母さまの元へ逃げ込む。養子になるのだ。お父様は、お兄様と弟さえ手元にいれば構わないと容認してくれたので問題ない。お母様には内緒。目が覚めて知ったら、きっと今度こそ発狂するだろう。
「叔母さま、来ましたわ!」
「叔母さま、お久しぶりです」
「いらっしゃい、よく来たわね」
「叔母さまには、本当に感謝に絶えませんわ」
「うふふ。そんなのいいのよ。ちゃんと妹を守って、エグランティーヌは偉いわね。ウージェニーもよく頑張ったわ」
叔母さまに抱きしめられて、安心して涙が溢れる。
叔母さまは頻繁に私達に会いに来ては、私達を差別して育てる母を諌めてくれた。
そんな叔母さまを見て、お姉様は私を守ってくださるようになって。
私は食事も満足に与えられていなかったが、叔母さまが来るたびこっそり非常食を与えてくれて、それを食べてなんとかしのいでいた。そして、お父様と話をつけて養子にしてくれて。
私はやっと、幸せになれそうです。
「ウージェニー!やっぱり貴女は可愛いわ!ほら、こちらも着て!こちらも!」
「もう、お姉様ったら」
あれから何年も経った。
お母様はあの後、結局は発狂して廃人になったらしい。そうなってすぐリゾート型の療養施設に入居した。が、今でも入居し続けている。お兄様と弟は、それでも父の元で幸せに過ごしている。たまに会うが三人とも元気で幸せそうだ。
お母様は、お姉様だけ幸せになって欲しかったらしいが私達は二人で幸せに過ごしている。
お姉様は、魔法の才能があったらしく若くして魔法省に登用された。そしてそのお給料を私にバンバン注ぎ込んでいる。ドレスを特注で作り、二人で色違いの同じデザインのドレスを着るのを趣味にしているのだ。
叔母さまは叔母さまで、育ての母としてとても私達を大切にしてくれている。お姉様と違って魔法の才能はない私だが、この人と生きて行きたいと思える相手を見つけた。そんな人との結婚を後押ししてくれたのは叔母さまだ。私はもうすぐその人に嫁ぐ。お姉様は、離れ離れになる前にとさらに私への溺愛に拍車がかかっている。
「叔母さま、お姉様。本当にありがとう。二人のおかげで私は今日も幸せです」
「ふふ、何言ってるの?私もウージェニーのおかげで今日も幸せだわ」
「私も、二人を養子にもらえて幸せだわ。…もっとも、私は貴女達の実の母を不幸にして貴女達に自己満足を無理矢理押し付けてると言われてしまうかもしれないけれど」
叔母さまの言葉を即座に否定する。
「そんな!産みの母より叔母さまの方が、私達を愛して慈しんでくださいました!私は産みの母より育ての母である叔母さま…いえ、お義母様の方が好きです!」
「私もよ、叔母さま!…いえ、お義母様!」
「…!」
お義母様の瞳から涙が溢れる。
「…こんなに幸せでいいのかしら」
「私達はお義母様に幸せにしてもらったのよ。お義母様だって幸せになっていいに決まってるわ」
「お義母様、大好きです」
嫁いで、出て行く前に言えて良かった。
もちろん、お母様には産んでもらって感謝はしている。でも、産んだらそれだけで良い母かと言われればそうではないと思う。
愛情を感じる瞬間がなければ、所詮はそれまで。
それよりも、愛情を注いで温かく育ててくれたお義母様の方が、私にとっては『母親』だ。
私は、愛する彼と結婚したら、子供にはお義母様のような良い母になろうと心に誓った。
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