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やっぱりインモラルだよね…
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ある日、突然おじさんが我が家に訪ねてきた。
親戚とはほぼ没交渉だったので驚いた。
「…コトハ、大きくなったな」
「えっと…おじさん…?」
「ああ。ナギはいるか?」
「う、うん…ナギさん、おじさんがきたよ…」
「…何の用事?父さん」
ナギさんは警戒モード。
そしておじさんは…突然ナギさんを殴った。
「いっ…たいな」
「おじさん、何するの!?」
「コトハは黙っていなさい。ナギ、コトハに手を出すとはどういうつもりだ」
おじさんはすごい剣幕でナギさんに掴み掛かる。
「愛しているから、結婚したい。それだけだよ」
「従妹だぞ」
「法律上従妹とも結婚できるはずだけど?」
「それでも幼い頃から育ててきた女性が相手だぞ。どう考えてもインモラルだろう」
ああ、そうか。
やっぱりインモラルだよね…。
やっぱり反対されるよね…。
「インモラルだろうが関係ない。僕はコトハを愛してる。絶対これは覆さない」
「ナギ、他に良いお嬢さんを紹介してやるから」
「コトハ以外なんていらない。僕のことは勘当したらいい」
「ナギ!」
「これは僕とコトハの問題だ!血のつながりもないし問題はない!口出しするなよ!」
しんと部屋が静まり返る。
気まずい雰囲気。
そこでふと、マミちゃんに言われた言葉を思い出した。
『コトハちゃん、もしそのことでコトハちゃんやナギさんが責められても、聞く耳を持つことないよ。従兄との結婚は法律上問題ないし、モラル的にも…お互い惹かれあっての恋愛結婚なんだから、負い目を感じることなんてないもん』
…そうだよね。
いいんだよね、負い目を感じなくても。
決意して、おじさんに向き直る。
「おじさん」
「コトハ、他にいい男性を紹介するから…」
「どんなに反対されても、私たちは結婚するよ」
「コトハ!」
「親戚同士の結婚は認められないって言うなら、私たちを勘当してください。ナギさんが言ったように法律上従妹との結婚は問題ないし…モラルがどうこう言うなら、ナギさんとはお互いに惹かれあっての恋愛結婚。負い目なんて感じません」
ナギさんはすかさず私の隣に来て、私の手を握る。
「コトハの言うとおりだよ。それにモラル云々言うなら、好き合っている男女にそれぞれ『他に良い人を紹介する』とか言い放つのもモラルがないんじゃない?」
「それは…」
おじさんは黙り込む。
そして言った。
「たしかに、酷いことを言った…申し訳ない。お前たちはもう勘当する。財産も何一つ相続できないと考えてくれ。それでもいいなら、これで終わりだ」
「それでもいいよ、別に。困らないし」
「…お前は占い師として人気になったんだったな。なら資産を相続出来なくても生きていけそうだ」
「うん」
「お前にそんな才能があったとはな。気付かなかった…」
おじさんは何故か次の瞬間私に頭を下げた。
「幼い頃、うちの弟が申し訳ないことをした。村八分にしたことも申し訳ないと思っている。その上、今回ナギとの仲も引き裂こうとした。君には謝っても謝っても足りないな」
「おじさん…」
「…もう口を出さない。親族一同、誰にも口を挟ませない。本当に申し訳なかった。さようなら」
「…さようなら、おじさん」
「…さようなら、父さん」
こうして結婚に向けた最大の難関は、なんとか乗り越えることができた。
親戚とはほぼ没交渉だったので驚いた。
「…コトハ、大きくなったな」
「えっと…おじさん…?」
「ああ。ナギはいるか?」
「う、うん…ナギさん、おじさんがきたよ…」
「…何の用事?父さん」
ナギさんは警戒モード。
そしておじさんは…突然ナギさんを殴った。
「いっ…たいな」
「おじさん、何するの!?」
「コトハは黙っていなさい。ナギ、コトハに手を出すとはどういうつもりだ」
おじさんはすごい剣幕でナギさんに掴み掛かる。
「愛しているから、結婚したい。それだけだよ」
「従妹だぞ」
「法律上従妹とも結婚できるはずだけど?」
「それでも幼い頃から育ててきた女性が相手だぞ。どう考えてもインモラルだろう」
ああ、そうか。
やっぱりインモラルだよね…。
やっぱり反対されるよね…。
「インモラルだろうが関係ない。僕はコトハを愛してる。絶対これは覆さない」
「ナギ、他に良いお嬢さんを紹介してやるから」
「コトハ以外なんていらない。僕のことは勘当したらいい」
「ナギ!」
「これは僕とコトハの問題だ!血のつながりもないし問題はない!口出しするなよ!」
しんと部屋が静まり返る。
気まずい雰囲気。
そこでふと、マミちゃんに言われた言葉を思い出した。
『コトハちゃん、もしそのことでコトハちゃんやナギさんが責められても、聞く耳を持つことないよ。従兄との結婚は法律上問題ないし、モラル的にも…お互い惹かれあっての恋愛結婚なんだから、負い目を感じることなんてないもん』
…そうだよね。
いいんだよね、負い目を感じなくても。
決意して、おじさんに向き直る。
「おじさん」
「コトハ、他にいい男性を紹介するから…」
「どんなに反対されても、私たちは結婚するよ」
「コトハ!」
「親戚同士の結婚は認められないって言うなら、私たちを勘当してください。ナギさんが言ったように法律上従妹との結婚は問題ないし…モラルがどうこう言うなら、ナギさんとはお互いに惹かれあっての恋愛結婚。負い目なんて感じません」
ナギさんはすかさず私の隣に来て、私の手を握る。
「コトハの言うとおりだよ。それにモラル云々言うなら、好き合っている男女にそれぞれ『他に良い人を紹介する』とか言い放つのもモラルがないんじゃない?」
「それは…」
おじさんは黙り込む。
そして言った。
「たしかに、酷いことを言った…申し訳ない。お前たちはもう勘当する。財産も何一つ相続できないと考えてくれ。それでもいいなら、これで終わりだ」
「それでもいいよ、別に。困らないし」
「…お前は占い師として人気になったんだったな。なら資産を相続出来なくても生きていけそうだ」
「うん」
「お前にそんな才能があったとはな。気付かなかった…」
おじさんは何故か次の瞬間私に頭を下げた。
「幼い頃、うちの弟が申し訳ないことをした。村八分にしたことも申し訳ないと思っている。その上、今回ナギとの仲も引き裂こうとした。君には謝っても謝っても足りないな」
「おじさん…」
「…もう口を出さない。親族一同、誰にも口を挟ませない。本当に申し訳なかった。さようなら」
「…さようなら、おじさん」
「…さようなら、父さん」
こうして結婚に向けた最大の難関は、なんとか乗り越えることができた。
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