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私の人生

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私はミレイ。平凡な平民の孤児。生まれてすぐに母を亡くした。父は、母の死を悲しむ暇すらなく、男手一つで私を育ててくれた。母の顔は絵でしか見たことがないけれど、優しそうな人だと思った。父は普段は無口でぶっきらぼう。けれども、母の話をする時だけはスルスルと言葉が出てくる。優しい笑顔で母の話をしてくれるから、私は会ったこともない母のことをとても大好きになった。父も母も私にとってとても大事な存在だった。けれども、そんな父は仕事場の事故で即死。死に目にあうことも出来なかった。その後は村の神父様がひっそりと葬式を行なってくれた。棺の中は酷い状態らしく父の顔を見ることは叶わなかったけれど、神父様の優しさでお金がないのにきちんと父を送り出せたのは、よかったと思う。そして私は村の孤児院に預けられた。けれど、孤児院の兄弟達はみんな優しくてすぐに仲良しになった。両親のことを思うと寂しいが、兄弟達が励ましてくれるから、私は大丈夫だ。

さて、そんな我が孤児院の経営は実に厳しいらしい。神父様が頑張って寄付金を集めてくれているけれど、限界がある。だから私は子供でもできる仕事を近隣の住民から貰って、働かせてもらっている。近隣の住民は私達孤児院の子供をいつも優しく気にかけてくれて、草むしりやら家事手伝いやらの簡単な仕事をくれる。私の周りはみんな、良い人ばかりで幸せだなぁ。

そんなこんなで今日も朝を迎える。孤児院の朝は早い。起きて、顔を洗って、歯磨きをして、着替えて、ベッドの上を整えて、食堂に向かう。その途中でみんなに挨拶をする。

「みんな、おっはよー!」

「ミレイ、おはよー!」

「今日のご飯何かなぁ?」

「楽しみだねー」

「シスター、おはようございます!」

「おはようございます、ミレイ。今日も元気でよかったわ」

「神父様ー!」

「おはようございます、ミレイ」

「おはようございます!今日もよろしくお願いします!」

「ええ、こちらこそ」

そしてみんなでシスターの作ってくれたご飯の配膳をして、食べる。

「いただきまーす!」

あー、美味しい。みんなで食べる食事はとっても美味しい。もちろんかなり質素な食事だけれど…でも、私にはなによりものご馳走なのだ。

食事が終わると、施設のお掃除とお洗濯と洗濯物干し。それが終わるとお仕事に向かう。今日のお仕事は、イヴおばあちゃんの家の草むしりと、リーグルおじちゃんの所の食材の買い出し。先に買い出しから行こうかな。
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