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婚約者に正直に話します

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「…ミレイユ?どうかした?」

「あ、い、いえ…その…」

「どうしたの?何かあったのかな?普段の君ならこの程度の戯れ合いで狼狽えることないだろ?」

フェリクス様は心底心配そう。…もしかして、ミレイユ様とは喧嘩友達的な仲だったのかな?

「…人払いをしてくださいますか?」

「…わかった。お前達は下がっていろ」

フェリクス様が侍従を下がらせる。私はフェリクス様に真実をお伝えした。

ー…

「ふーん…なるほど。我が婚約者は俺…僕を置いていったばかりか、冷血野郎呼ばわりしたと。…後で覚えてろよ」

「ひぇっ」

「…さて、まあ、君なんだけど」

「は、はい」

「今までミレイユが頑張って覚えてきた王妃教育の内容、頭に入ってる?」

「いえ全く」

「だろうね。…本当にもう。ミレイユは抜けてるんだから。ミレイって呼んでいいかい?周りは勝手に愛称で呼んでると誤解するだろうし」

「はい」

「これからミレイの身体に触れて、ミレイユの知識や技術を呼び起こす。そうすれば君はミレイユが努力して身に付けたそれらを手に出来る。その代わり丸三日は頭痛で動けなくなるから、覚悟しておいて」

「…は、はい」

フェリクス様は私の頭に触れた。そして私に魔力を流し込む。私はミレイユ様の知識や技術、記憶を継承した。フェリクス様、皮肉屋さんだけどミレイユ様と本当に仲良かったんだなぁ。だけどだからこそ、仲の良い自分がミレイユ様の味方に付いたところで信じてもらえないから神の愛し子問題には首を突っ込まなかったと。

「…うん。これでよし」

「ありがとうございます、フェリクス様」

「あはは。余裕だねぇ、君。丸三日は動けなくなるほどの頭痛が襲うと言っただろう?」

「それでも、ありがとうございました。…痛っ、いったーい!」

「あはははははは!だから言ったのにー!仕方のない子だね。ベッドに運んであげるよ」

ひょいと私を持ち上げてベッドに寝かせてくれるフェリクス様。頭を撫でられると眠くなった。

「どうせ起きていても食欲が湧かない程の苦痛なんだ。寝ておくといいよ」

「…魔法、ですか…?」

「うん。君の身体に溜まった毒素を排出する魔法も掛けておくから、ダイエットの効率も上がると思うよ。あとね、マノンが仕掛けた毒は多分魔術回路を汚染する系のものだから、運動するより魔力を積極的に使って毒を押し流す方が効率良いよ。ミレイユの記憶で魔法薬の作り方はわかったでしょ?錬金術で魔法薬を作るといい」

「あー…はい…」

「…ま、とりあえずは今はお休み。良い夢を」

「…お休みなさい」

目が覚めた時には丸三日経っていて、ルナさんがボロ泣きしていました。
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