悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました

下菊みこと

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ところで、公爵家のお嬢様というのは親から愛を受けられなくともかなりの額のお小遣いは与えられる。

生活に必要なものは全て揃えられていて、その上でのお小遣いだ。

なので完全に自分のためのお金。

これ、どうやって使い切ろう。

使わないと経済が回らないし、かと言って使い道もない。

「先生、先生」

「どうしました、お嬢様」

「我が家の領内での様子ってどんな感じですか?」

「公爵家の領地だけあって発展してますよ」

ふむふむ。

「スラム街とかもない?」

「ありませんね」

「孤児院と養老院は?」

「ありますよ」

じゃあそっちに支援する方向でいいか。

「たとえば孤児院の環境整備っていくらかかります?」

「…かなり掛かりますね、今の孤児院は古い建物ですし」

「では、その後の孤児院の維持には?」

「それなりにかかりますね」

「では、孤児院の子供達への教育を施すとしたら?」

「…全部合わせて、お嬢様の一年分のお小遣いちょうどくらい………ですね」

おっし。

ならば。

「一年間貯めっぱなしだったお小遣いです。これを使って先生の権力で孤児院を支援してください」

「その際に君の名前を出してもいいですか?その方が動きやすい」

「あ、ならどうぞ」

ということで私は、貯まりに貯まったお小遣いを見事に使い切った。

これで経済も回るでしょう、うん。
















お嬢様はやはり天才だ。

そしてお優しい。

孤児院の再建のためにお小遣いを全て私に託した。

ならば私も頑張ろう。

私は私とお嬢様の名の下に孤児院を再建し、維持して、子供達に教育を授けた。

子供達の先生には信頼できる弟子たちを選んだ。

公爵家の孤児院は、随分と立派になった。

職員たちも子供達も喜ぶ。

そしてお嬢様に密かに忠誠を誓っていた。

















俺は孤児院の子供、エース。

ぼろっちい孤児院に住んで、ぼろっちい衣服を着て、美味しくないご飯を食べていた毎日だった。

ところがある日、お嬢様の温情だと言って孤児院が新しくなった

衣服も新しくなった。

ご飯も栄養満点で美味しくなった。

「お嬢様…ありがとう」

お嬢様という人に、人知れず忠誠を誓う。

お嬢様にいつか、ご恩返しができるといいけど。
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