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婚約者の心はこちらにはない
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リリアナ・マリン・オルコット。
ヒューゴの婚約者である彼女は、今日何回目かもわからないため息をついた。
原因はもちろん、ヒューゴの浮気である。
いや、浮気というと語弊はある。
ヒューゴは決して、聖女に手は出していない。
ただ、惹かれているだけ。
「ヒューゴ様…」
だが、それがリリアナの悩みだった。
リリアナはヒューゴを愛している。
婚約者として、幼馴染として、生涯を共にするパートナーなのだ。
本当に、心の底から愛していた。
なのに。
「ヒューゴ様、どうして…」
彼女は大人しい性格だ。
あまり熱烈なラブコールをヒューゴに送ることは出来なかった。
だが、本当に心の底から…静かに、深く愛していた。
「どうして、私ではいけないのですか…」
リリアナは今日も静かに泣いていた。
泣く時すら静かな彼女。
穏やかな淑女である彼女は、ユリアのようにアピールも出来ないし、グレースのように気にしないなんてこともできない。
ただただずっと愛していた人の気移りに涙を流してため息をつくしか出来なかった。
「ユリア様…恨みます」
リリアナはユリアを心の底から恨む。
だがリリアナがユリアに手をあげることはなかった。
それは彼女の高い自制心だけが理由ではない。
グレースが、リリアナに代わってユリアを罰してくれていたからだ。
いや、もちろんグレースにはそのつもりはない。
グレースは自分のために気に入らない相手を排除しようとしただけだ。
けれどリリアナの目には、自分に代わってお仕置きをしてくれたように映った。
だからリリアナは、ユリアへの気持ちをなんとか抑え込むことができたのだ。
「お義姉様…」
だがそのグレースはユリアへのいじめを断罪されて謹慎処分を喰らった。
リリアナは納得がいかない。
どうしてお義姉様がこんな目に遭うのか。
お義姉様はただ、数々の貴公子たちを堕として逆ハーレムを作る聖女を…その貴公子の婚約者たちが断罪する前に私刑してくれただけだ。
繰り返すがグレースにそんなつもりはない。
だが、リリアナを筆頭に他の令嬢方もそう認識していた。
それだけユリアはたくさんの貴公子たちを堕として、その婚約者たちから恨みを買っていたのだ。
だがユリアは貴公子たちの婚約者以外からは大人気の聖女様。
それを断罪するのは色々難しい。
だから貴公子たちの婚約者は皆グレースに感謝していた。
だから貴公子たちの婚約者は全員、グレースが謹慎処分されたことに憤りを覚えていた。
しかし学園に抗議しても決定は覆らない。
貴公子たちの婚約者は皆、余計にユリアに恨みを持つこととなった。
ヒューゴの婚約者である彼女は、今日何回目かもわからないため息をついた。
原因はもちろん、ヒューゴの浮気である。
いや、浮気というと語弊はある。
ヒューゴは決して、聖女に手は出していない。
ただ、惹かれているだけ。
「ヒューゴ様…」
だが、それがリリアナの悩みだった。
リリアナはヒューゴを愛している。
婚約者として、幼馴染として、生涯を共にするパートナーなのだ。
本当に、心の底から愛していた。
なのに。
「ヒューゴ様、どうして…」
彼女は大人しい性格だ。
あまり熱烈なラブコールをヒューゴに送ることは出来なかった。
だが、本当に心の底から…静かに、深く愛していた。
「どうして、私ではいけないのですか…」
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ただただずっと愛していた人の気移りに涙を流してため息をつくしか出来なかった。
「ユリア様…恨みます」
リリアナはユリアを心の底から恨む。
だがリリアナがユリアに手をあげることはなかった。
それは彼女の高い自制心だけが理由ではない。
グレースが、リリアナに代わってユリアを罰してくれていたからだ。
いや、もちろんグレースにはそのつもりはない。
グレースは自分のために気に入らない相手を排除しようとしただけだ。
けれどリリアナの目には、自分に代わってお仕置きをしてくれたように映った。
だからリリアナは、ユリアへの気持ちをなんとか抑え込むことができたのだ。
「お義姉様…」
だがそのグレースはユリアへのいじめを断罪されて謹慎処分を喰らった。
リリアナは納得がいかない。
どうしてお義姉様がこんな目に遭うのか。
お義姉様はただ、数々の貴公子たちを堕として逆ハーレムを作る聖女を…その貴公子の婚約者たちが断罪する前に私刑してくれただけだ。
繰り返すがグレースにそんなつもりはない。
だが、リリアナを筆頭に他の令嬢方もそう認識していた。
それだけユリアはたくさんの貴公子たちを堕として、その婚約者たちから恨みを買っていたのだ。
だがユリアは貴公子たちの婚約者以外からは大人気の聖女様。
それを断罪するのは色々難しい。
だから貴公子たちの婚約者は皆グレースに感謝していた。
だから貴公子たちの婚約者は全員、グレースが謹慎処分されたことに憤りを覚えていた。
しかし学園に抗議しても決定は覆らない。
貴公子たちの婚約者は皆、余計にユリアに恨みを持つこととなった。
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