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今日はデートです!
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ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。今日も休日です!今日はパパと姉姫さまとノルと三人でお茶会をしていたのですが、シュテル様が遊びにきてくれました。
「メグ!国王陛下、ノル王子殿下、リュディヴィーヌ王女殿下、ご機嫌よう」
「シュテル様!ご機嫌よう。どうかされましたか?」
「ご機嫌よう、シュトラール殿下」
「ご機嫌よう、シュテル様」
「ご機嫌よう、義兄さま」
「今日、ちょっと一緒に出かけないか?俺の国で妖精達の祭りがあるんだ」
「まあ、妖精達の?」
アルカンシエルが魔法と錬金術で栄えているように、シュテルンヒンメルは妖精達の加護と祝福で栄えている。妖精達の祭りなんて、アルカンシエルでは見られない。
「パパ、行ってきてもいい?」
「…家族水入らずで楽しんでいたんだがな」
パパはちょっと面白くなさそうな顔でシュテル様を見ます。シュテル様はたじたじです。
「まあ、メグが見たいならそうするといい」
「パパ!ありがとう!」
パパの優しさが嬉しくてパパに飛びつき頬にキスをする。パパは一瞬ぽかーんとした後、咳払いをしてシュテル様に向き直る。
「娘をよろしく頼む」
「ええ、お任せください。さあ、行くぞ、メグ」
「はい、シュテル様!」
シュテル様の転移魔法で早速シュテルンヒンメルに移動する。移動した先は、とても幻想的で綺麗なお花畑だった。妖精達が忙しそうに飛び回っている。きらきらしていてとても綺麗。
「わあ、綺麗…」
「美しい花畑だろう?人の手は一切入っていないんだ」
「え、本当ですか!?」
「ああ、妖精達が管理しているがな」
「へぇ、すごい!」
「この花畑は特別な場所でな。王家だけが立ち入りを許され、厳重に保護されているんだ」
「え?」
私、来ても良かったの?
「メグは俺の婚約者だから、大丈夫だ」
余計な心配はするな、と私の頬を突くシュテル様。
「でも、花畑が特別って?妖精達が管理しているからですか?」
「妖精がどこからどのように生まれるかは知ってるか?」
「はい。年に一度、美しく澄んだ空気と水のある場所で花が咲くように生まれるのですよね」
「ああ。それがこの花畑だ」
「え?そうなのですか?」
「ああ」
なるほど、それならこの美しく幻想的な雰囲気も納得だ。
「この花は妖精の命そのものだ。これが咲くと同時に妖精達が生まれる」
優しく、もう咲いている花を撫でるシュテル様。
「じゃあ、まだ蕾のこの花たちに妖精の赤ちゃんがいるのですね…」
生命の神秘を感じる。すごいなぁ。なるほど、妖精達のお祭りって新しい命の生誕祭なんだね。
でも、この場所は原作では触れられていなかった。シュテル様と姉姫さまのデートは決まってアルカンシエルばかりだったし。…私、そんなにシュテル様に信頼して貰えてるんだ。
「嬉しい…」
「うん?どうした?」
「シュテル様、だーいすきです!」
シュテル様に抱きつくと、シュテル様は抱きしめ返してくれました。
「俺もだーいすきだよ。そんなに感動したのか?」
「はい、とっても!シュテル様、愛してます!」
「…はは、今日はいつにも増して可愛いな」
いつも可愛いけどな、と言って頬にキスをくれるシュテル様。好き!
「俺も愛してるよ、メグ」
そうしていちゃいちゃしていると、妖精達が私達の周りを飛び回ります。
「はは、妖精達からも祝福されてるな」
「妖精さん、ありがとう!」
きらきらと光りながら飛ぶ妖精達も喜んでいるようです。
「…さあ、そろそろ刻限だ。しっかりと見てろよ」
「はい、シュテル様!」
シュテル様にそっと寄り添って、お花畑に目を向ける。お花畑は幻想的に輝き出し、風が歌うようにそよそよと吹いて、妖精達が舞い踊る。そして花が咲き始め、眩い光が零れ落ちる。生まれたばかりの妖精達は、ふわふわと飛び回りながらそれを見守っていた妖精達の元へ行く。
「…すごい」
きらきら、きらきら。その輝きは、陽の光さえも凌駕した。
「メグ。これがお前が嫁いで来る国の守護者だよ」
「はい…とても素敵です」
「俺たちシュテルンヒンメルの王族の役目は、この美しい光景を守り後世に受け継ぐことだ」
「はい。…そのためにも、シュテル様をお支えできるように頑張ります」
私がそういうと、満足そうにシュテル様は微笑む。
「…やっぱり、お前を連れてきてよかった」
「え?」
「お前は、このシュテルンヒンメルの王妃にふさわしい」
「…!光栄です」
照れるー。でも嬉しい。
「妖精達はこれから当分舞い踊り続けるけど、まだ見ていくか?」
「はい。妖精達の邪魔にならないなら、もう少しだけ…」
「…お前を婚約者にして、本当に良かったよ」
「?」
「妖精のほとんどいない国に生まれたはずなのに、こんなにも我が国の妖精達を愛してくれるなんて…他の王女や令嬢達じゃ、きっとダメだった」
「…シュテル様」
「…大切にする。ずっと、俺の側に居てくれ」
「もちろんです!」
こうして私達は、妖精達の生まれる瞬間と妖精達の祝福を目に焼き付けてアルカンシエルに帰ってきました。
「…ただいま帰りました」
「ただいまー!」
「メグ!おかえりなさい。妖精のお祭りはどうだった?」
「すごく綺麗だったよ!」
「よかったわね!」
「うん!」
「メグ姉さまいいなぁ」
「はは、ノル王子殿下も妖精に興味があるのか?」
「はい!」
「可愛い義弟の頼みでもこればっかりはな。…お詫びに、今度少し妖精の力を借りた魔法でも見せてやるよ」
「なにそれすごーい!みたいです義兄さま!」
「…メグ、楽しめたか?」
「パパ!うん、すごく幻想的でね!きらきらしてて…」
「そうか。お前が楽しめたならそれでいい。礼を言おう、シュトラール殿下」
「光栄です」
はぁ。また見たいなぁ。
「メグ、どうした?」
「また見たいなぁって思って…」
「そんなに感動したのか」
「はい、もちろんです!」
「…はは。じゃあ、また来年も見に行こう」
「はい、シュテル様!」
「…随分と見せつけてくれるものだな」
その後はシュテル様にやきもちを妬いたパパがちょっとシュテル様に意地悪を言ったりと色々ありましたが、とっても楽しかったです!
「メグ!国王陛下、ノル王子殿下、リュディヴィーヌ王女殿下、ご機嫌よう」
「シュテル様!ご機嫌よう。どうかされましたか?」
「ご機嫌よう、シュトラール殿下」
「ご機嫌よう、シュテル様」
「ご機嫌よう、義兄さま」
「今日、ちょっと一緒に出かけないか?俺の国で妖精達の祭りがあるんだ」
「まあ、妖精達の?」
アルカンシエルが魔法と錬金術で栄えているように、シュテルンヒンメルは妖精達の加護と祝福で栄えている。妖精達の祭りなんて、アルカンシエルでは見られない。
「パパ、行ってきてもいい?」
「…家族水入らずで楽しんでいたんだがな」
パパはちょっと面白くなさそうな顔でシュテル様を見ます。シュテル様はたじたじです。
「まあ、メグが見たいならそうするといい」
「パパ!ありがとう!」
パパの優しさが嬉しくてパパに飛びつき頬にキスをする。パパは一瞬ぽかーんとした後、咳払いをしてシュテル様に向き直る。
「娘をよろしく頼む」
「ええ、お任せください。さあ、行くぞ、メグ」
「はい、シュテル様!」
シュテル様の転移魔法で早速シュテルンヒンメルに移動する。移動した先は、とても幻想的で綺麗なお花畑だった。妖精達が忙しそうに飛び回っている。きらきらしていてとても綺麗。
「わあ、綺麗…」
「美しい花畑だろう?人の手は一切入っていないんだ」
「え、本当ですか!?」
「ああ、妖精達が管理しているがな」
「へぇ、すごい!」
「この花畑は特別な場所でな。王家だけが立ち入りを許され、厳重に保護されているんだ」
「え?」
私、来ても良かったの?
「メグは俺の婚約者だから、大丈夫だ」
余計な心配はするな、と私の頬を突くシュテル様。
「でも、花畑が特別って?妖精達が管理しているからですか?」
「妖精がどこからどのように生まれるかは知ってるか?」
「はい。年に一度、美しく澄んだ空気と水のある場所で花が咲くように生まれるのですよね」
「ああ。それがこの花畑だ」
「え?そうなのですか?」
「ああ」
なるほど、それならこの美しく幻想的な雰囲気も納得だ。
「この花は妖精の命そのものだ。これが咲くと同時に妖精達が生まれる」
優しく、もう咲いている花を撫でるシュテル様。
「じゃあ、まだ蕾のこの花たちに妖精の赤ちゃんがいるのですね…」
生命の神秘を感じる。すごいなぁ。なるほど、妖精達のお祭りって新しい命の生誕祭なんだね。
でも、この場所は原作では触れられていなかった。シュテル様と姉姫さまのデートは決まってアルカンシエルばかりだったし。…私、そんなにシュテル様に信頼して貰えてるんだ。
「嬉しい…」
「うん?どうした?」
「シュテル様、だーいすきです!」
シュテル様に抱きつくと、シュテル様は抱きしめ返してくれました。
「俺もだーいすきだよ。そんなに感動したのか?」
「はい、とっても!シュテル様、愛してます!」
「…はは、今日はいつにも増して可愛いな」
いつも可愛いけどな、と言って頬にキスをくれるシュテル様。好き!
「俺も愛してるよ、メグ」
そうしていちゃいちゃしていると、妖精達が私達の周りを飛び回ります。
「はは、妖精達からも祝福されてるな」
「妖精さん、ありがとう!」
きらきらと光りながら飛ぶ妖精達も喜んでいるようです。
「…さあ、そろそろ刻限だ。しっかりと見てろよ」
「はい、シュテル様!」
シュテル様にそっと寄り添って、お花畑に目を向ける。お花畑は幻想的に輝き出し、風が歌うようにそよそよと吹いて、妖精達が舞い踊る。そして花が咲き始め、眩い光が零れ落ちる。生まれたばかりの妖精達は、ふわふわと飛び回りながらそれを見守っていた妖精達の元へ行く。
「…すごい」
きらきら、きらきら。その輝きは、陽の光さえも凌駕した。
「メグ。これがお前が嫁いで来る国の守護者だよ」
「はい…とても素敵です」
「俺たちシュテルンヒンメルの王族の役目は、この美しい光景を守り後世に受け継ぐことだ」
「はい。…そのためにも、シュテル様をお支えできるように頑張ります」
私がそういうと、満足そうにシュテル様は微笑む。
「…やっぱり、お前を連れてきてよかった」
「え?」
「お前は、このシュテルンヒンメルの王妃にふさわしい」
「…!光栄です」
照れるー。でも嬉しい。
「妖精達はこれから当分舞い踊り続けるけど、まだ見ていくか?」
「はい。妖精達の邪魔にならないなら、もう少しだけ…」
「…お前を婚約者にして、本当に良かったよ」
「?」
「妖精のほとんどいない国に生まれたはずなのに、こんなにも我が国の妖精達を愛してくれるなんて…他の王女や令嬢達じゃ、きっとダメだった」
「…シュテル様」
「…大切にする。ずっと、俺の側に居てくれ」
「もちろんです!」
こうして私達は、妖精達の生まれる瞬間と妖精達の祝福を目に焼き付けてアルカンシエルに帰ってきました。
「…ただいま帰りました」
「ただいまー!」
「メグ!おかえりなさい。妖精のお祭りはどうだった?」
「すごく綺麗だったよ!」
「よかったわね!」
「うん!」
「メグ姉さまいいなぁ」
「はは、ノル王子殿下も妖精に興味があるのか?」
「はい!」
「可愛い義弟の頼みでもこればっかりはな。…お詫びに、今度少し妖精の力を借りた魔法でも見せてやるよ」
「なにそれすごーい!みたいです義兄さま!」
「…メグ、楽しめたか?」
「パパ!うん、すごく幻想的でね!きらきらしてて…」
「そうか。お前が楽しめたならそれでいい。礼を言おう、シュトラール殿下」
「光栄です」
はぁ。また見たいなぁ。
「メグ、どうした?」
「また見たいなぁって思って…」
「そんなに感動したのか」
「はい、もちろんです!」
「…はは。じゃあ、また来年も見に行こう」
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