魔王様に気に入られたので魔界で暮らします。

下菊みこと

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フォン様がいない日

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ご機嫌よう。ジャンティーです。今日はフォン様が一日中いません。なんでも、面倒な貴族連中を叩き潰しに行くとか。魔王様に逆らえる胆力のある方もいるのですね、ご愁傷様です。

フォン様は子供の姿こそしていますし、流石にお一人では聖騎士団には敵わないようですが、それでも魔王様なのです。魔族が逆らえる相手ではありません。

「…フォン様がいないと、寂しいなぁ」

フォン様以外に話す相手もいない私は、時間を持て余していました。すると…。

「おい!あのティアとか言う人間はどこだ!」

「コレリック様!ジャンティー様に近付かれてはいけません!魔王陛下に逆らうおつもりですか!」

「その魔王様の目を覚ましてやるんだよ!フォンの奴、人間なんかに入れ込みやがって!」

「不敬です!」

「なんとでもいえ!」

おっとこれは面倒な予感。うさちゃんを抱きしめてフォン様のベッドに包まります。

「ここだな。って!フォンの部屋じゃねーか!どんだけあの人間に入れ込んでんだよ!」

そのままノックもなしにドアを蹴破る音が聞こえます。野蛮だなぁ。

「おい、人間!どこにいやがる!」

怖い。フォン様がいない今私は無防備です。

ベッドに近づいてくるコレリック様とやら。天蓋付きベッドでよかった。でもこのままだと…。

「僕の部屋で何をしている?リック」

「フォン様!」

「フォン!…そこにいたのか、人間!」

何故かタイミングよく現れたフォン様に私が思わず声を漏らすと、コレリック様は私に敵意を向けてきます。が、コレリック様が天蓋に伸ばした手をフォン様が捻り上げます。

「フォン、痛えよ」

「もう一度聞こう。僕の部屋で何をしている?」

「…ガチギレかよ。お前が人間なんかに入れ込んでるって言うから、目を覚ましてやろうとしただけだ」

「…ティアは僕のペットだ。お前が気安く近寄っていい相手じゃない」

「なあ、どうしたんだよ。お前、人間嫌いだっただろ?」

「お披露目式の時に言ったはずだ。ティアは僕の命を助けた忠犬だ」

「たった一回助けられたくらいで…」

「うるさい。僕がティアを気に入ったんだ。それ以上の理由は必要ない」

「…っ、チッ!また来るぜ、人間。次はない。覚悟しておけよ」

「覚悟するのはお前だ、リック。次にティアに敵意を持って近づいてみろ、八つ裂きにするぞ」

こうして嵐のようにコレリック様は去っていきました。
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