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第一章 特別推薦入試編
第五話
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私の名前は桜庭有栖。
私は学園島の特別推薦入試を受験するために学園島行きの飛行機に乗っていました。
しかし、私の乗った飛行機は運悪くハイジャック犯の標的になっていたようです。
最近は異能で空港の持ち物検査をすり抜けての密輸が横行しているとニュースでよくやっていますが、まさかハイジャックまで起こるとは。
学力試験はともかく、特別推薦入試の実技試験は通常入試や普通の推薦入試に比べて遥かに高難易度だと聞いていたため、万全を期すべく荒事はなるべく避けたかったのですが、こんな事態になってしまえばそうも言って居られないでしょう。
幸いにも、ハイジャック犯は全員銃を携帯していました。
強力な異能犯罪者は銃を持ちません。
つまり、ハイジャック犯達は異能を持たないか、持っていても弱い異能なのでしょう。
行動を起こすべく、まずは隣で怖い顔をして座っている男の子に視線をやりました。
きっと混乱と恐怖で心の整理が付いていないのでしょう。
さっきからこの隣の男の子は一人で誰も居ない空間に向かってぶつぶつと独り言を呟いていたり、突然発狂したりと情緒不安定な様子でした。
騒がれないためにはに事前に「私今から何かしますよ」とそれとなく伝えた方がいいと判断した私は隣の席の男の子に話しかける事にしました。
しかし、彼から返答はありませんでした。
やはり自分の事でいっぱいいっぱいなのでしょうか?
騒がれるのは覚悟した方がいいですね。
私は仕方なく私の異能、『結界』の派生能力である『遮音結界』を発動し、音が外部に漏れないように対策しました。
すぐに、ハイジャック犯の一人――ハイジャック犯①――が後列の客席側の自動ドアを開けてやってきました。
隣の席の男の子は意外な事に、とても落ち着いた様子でハイジャック犯①にスマートフォンを渡していました。
まあいいでしょう。
私はタイミングを見てハイジャック犯①の周囲に『結界』を張り、掌底でハイジャック犯①の鳩尾を突き、昏倒させました。
しかし、その様子を見ても、隣の席の男の子は驚かず、落ち着いた様子を崩しませんでした。
まるで、この状況が何てことない日常の一幕だとでも言うように……。
思い返せば、ハイジャック犯が発砲した時、他の乗客達が声を上げる中、彼は静かだったように思います。
――もしや、ハイジャック犯の仲間なのでは?
そう思った私が彼にカマを掛けると、彼は先ほどまでとは打って変わって面白いくらい慌てた様子を見せました。
その変わりようは余りにも面白く、一瞬でも警戒していた自分が馬鹿馬鹿しく思えてきて思わず笑ってしまいました。
どうやら私の心配は杞憂だったようです。
さて、連絡が回らない内に早く全員処理しなければ。
私は自身の周りに『ステルス結界』を張って隣の席の男の子に別れを告げると、足音をたてないよう、慎重な足取りでまだ興奮冷めやらぬ客席を抜けると、中列と前列の間にある搭乗口で中列の客席に通信機器の回収に来るハイジャック犯を待ち伏せる事にしました。
ハイジャック犯が前列の自動ドアから搭乗口に入ってきました。
私は自動ドアが閉じるのを確認して、さっきと同じ手順でハイジャック犯②の鳩尾を掌底で以下略。
次はコックピットです。
コックピットの扉は閉じていました。
気付かれずに処理するのは無理でしょう。
仕方ありません、少し荒業です。
私は『遮音結界』を前列とコックピットの間に張った後、右手に立方体の『結界』を発生させ――それを身の丈程あるバトルアックスに変化させ、それを横薙ぎにします。
「ゴガッ!!!」
「何事だ!?」
即座に一人が反応してきます。
ではもう一方を処理しましょうか。
「誰かいるのか!ウッ!」
室内では振り回しずらいバトルアックス型の結界を解除し、ハイジャック犯③の鳩尾を以下略。
さて、もう一人は……。
「そこに誰かいるんだろう!異能者!三秒以内に姿を現せ!さもなくばこの機長を殺す!3、2――」
機長の方の頭に拳銃を突き付けて脅迫してくるハイジャック犯でしたが、三秒も律義に待っているいわれはありませんよね。
「はっ!」
「ぐはぁ!」
私はハイジャック犯④に近づき、以下略。
「はぁ……」
私は小さく溜息を吐きます。
先程から同じ動きを繰り返し。
ちょっと飽きてきました。
「あ、ありがとうございます」
「助かりました」
突然の状況に戸惑いつつ、機長の方と副機長の方がお礼を言ってきました。
でもそれよりも、私は扉を壊してしまったことが申し訳ないです。
「いえ、お気になさらずに。お怪我はありませんか?」
私の問いに、二人は頷きました。
「では、私はもう一仕事してきますので」
そう言って、私はコックピットを後にします。
さて、最後は貨物室ですね。
私は前列、中列、後列を抜けてそのさらに奥にある貨物室へ向かいました。
その際、隣の席の男の子の隣を通り抜ける時、彼と目が合ったように感じました。
しかし、『ステルス結界』で姿が見えないのはさることながら、周りは騒がしい上に床はカーペットの為足音はしない筈です。
きっと気のせいでしょう。
貨物室に到着しました。
今回も扉は閉まっています。
私はコックピットの時と同様に遮音結界を張った後、バトルアックスを出現させました。
(鳩尾ばかり打つのには流石に飽きてきましたねぇ……)
そんな緩い考えを頭に浮かべながらバトルアックスを振りぬきます。
――そう、私は気が緩んでいました。
私のバトルアックスが扉を破ったその瞬間。
私の張った結界が全て消え去りました。
「!」
扉の奥には私をしっかりと見据えたハイジャック犯二人。
「ホントに居やがった!」
「だから言ったろ!?いくら姿が見えなかろうが俺の『熱感知』からは逃れられないぜ!」
拳銃を向けてくる二人のハイジャック犯の背後には、見たことは無いが知識だけは持っていたある装置があった。
あれはまさか……。
「異能、妨害装置ッ……!?」
あり得ない。
あれはただのハイジャック犯が持っているようなものでは無い。
「そうだ!コイツは異能妨害装置!お前ら異能者はコイツ一つで何もできねぇだろ!!!」
パンパァン!!
ハイジャック犯の二人が私の足元に威嚇射撃をしてくる。
「チッ……」
結界が生成できない。
私とハイジャック犯の距離は10m少々。
さっきの威嚇射撃を見る限り、この距離で銃を外すことはまずないでしょう。
「アンタには少し痛い目を見てもらおうか」
そう言って拳銃を私に向けてくるハイジャック犯。
「ッ!」
パンパンパァン!
引き金を指に掛けた時点で、横に飛びのいた私は何とか弾丸を避ける事が出来ました。
私がぶち破った金属製のドアを貫通し、自動ドアに弾丸が当たってキィィン!と言う金属音を立てます。
普通の拳銃は金属板を楽々貫通するような威力は無い筈。
あれはどうやら只のの拳銃じゃないようですね。
「無駄だ!」
そう言ってハイジャック犯が再度私に銃を向けてきます。
(まだ避けられる、けど)
私の背後には小窓がありました。
もし拳銃の弾丸が小窓に当たったりでもしたら……。
あの威力、いくら飛行機の小窓が頑丈に作られていたとしても、金属製のドアを貫通するほどの威力を持った弾丸を受け止めきれるとは限らないわけで。
もし窓が割れたら大惨事です。
(避けるわけには、いかない!)
避けない事を決めた瞬間、急に、世界がゆっくり見え始めました。
あぁ、これが死の間際に見るという走馬灯というものなのでしょうか……。
実在したんですね……。
でも走馬灯を見るという事は私は死ぬのでしょうか?
引き金が引かれて弾丸が発射されます。
走馬灯なだけあって、本来時速340㎞以上の速さで打ち出されている筈の弾丸はあり得ない程スローモーションでした。
今ならあの弾丸を指で摘まんで止めてしまえそうです。
まあ、そんな事が出来るわけが無いのですが。
弾丸が段々と私の腹部に近づいてきます。
あ、何ですかこれ、黒い手?
死神まで実在するとは驚きです。
どうせ死ぬのなら最後に死神の顔でも拝んでやるとしますかね。
死神もこんな美少女をこんな若さで殺す、なん、て?
「「「へ?」」」
私とハイジャック犯達の三人は同時に間抜けな声を出しました。
ハイジャック犯は自分の放った弾丸が指で摘ままれている事に。
私は――死神の正体がさっきまで隣の席に座っていた男の子だった事に。
私は学園島の特別推薦入試を受験するために学園島行きの飛行機に乗っていました。
しかし、私の乗った飛行機は運悪くハイジャック犯の標的になっていたようです。
最近は異能で空港の持ち物検査をすり抜けての密輸が横行しているとニュースでよくやっていますが、まさかハイジャックまで起こるとは。
学力試験はともかく、特別推薦入試の実技試験は通常入試や普通の推薦入試に比べて遥かに高難易度だと聞いていたため、万全を期すべく荒事はなるべく避けたかったのですが、こんな事態になってしまえばそうも言って居られないでしょう。
幸いにも、ハイジャック犯は全員銃を携帯していました。
強力な異能犯罪者は銃を持ちません。
つまり、ハイジャック犯達は異能を持たないか、持っていても弱い異能なのでしょう。
行動を起こすべく、まずは隣で怖い顔をして座っている男の子に視線をやりました。
きっと混乱と恐怖で心の整理が付いていないのでしょう。
さっきからこの隣の男の子は一人で誰も居ない空間に向かってぶつぶつと独り言を呟いていたり、突然発狂したりと情緒不安定な様子でした。
騒がれないためにはに事前に「私今から何かしますよ」とそれとなく伝えた方がいいと判断した私は隣の席の男の子に話しかける事にしました。
しかし、彼から返答はありませんでした。
やはり自分の事でいっぱいいっぱいなのでしょうか?
騒がれるのは覚悟した方がいいですね。
私は仕方なく私の異能、『結界』の派生能力である『遮音結界』を発動し、音が外部に漏れないように対策しました。
すぐに、ハイジャック犯の一人――ハイジャック犯①――が後列の客席側の自動ドアを開けてやってきました。
隣の席の男の子は意外な事に、とても落ち着いた様子でハイジャック犯①にスマートフォンを渡していました。
まあいいでしょう。
私はタイミングを見てハイジャック犯①の周囲に『結界』を張り、掌底でハイジャック犯①の鳩尾を突き、昏倒させました。
しかし、その様子を見ても、隣の席の男の子は驚かず、落ち着いた様子を崩しませんでした。
まるで、この状況が何てことない日常の一幕だとでも言うように……。
思い返せば、ハイジャック犯が発砲した時、他の乗客達が声を上げる中、彼は静かだったように思います。
――もしや、ハイジャック犯の仲間なのでは?
そう思った私が彼にカマを掛けると、彼は先ほどまでとは打って変わって面白いくらい慌てた様子を見せました。
その変わりようは余りにも面白く、一瞬でも警戒していた自分が馬鹿馬鹿しく思えてきて思わず笑ってしまいました。
どうやら私の心配は杞憂だったようです。
さて、連絡が回らない内に早く全員処理しなければ。
私は自身の周りに『ステルス結界』を張って隣の席の男の子に別れを告げると、足音をたてないよう、慎重な足取りでまだ興奮冷めやらぬ客席を抜けると、中列と前列の間にある搭乗口で中列の客席に通信機器の回収に来るハイジャック犯を待ち伏せる事にしました。
ハイジャック犯が前列の自動ドアから搭乗口に入ってきました。
私は自動ドアが閉じるのを確認して、さっきと同じ手順でハイジャック犯②の鳩尾を掌底で以下略。
次はコックピットです。
コックピットの扉は閉じていました。
気付かれずに処理するのは無理でしょう。
仕方ありません、少し荒業です。
私は『遮音結界』を前列とコックピットの間に張った後、右手に立方体の『結界』を発生させ――それを身の丈程あるバトルアックスに変化させ、それを横薙ぎにします。
「ゴガッ!!!」
「何事だ!?」
即座に一人が反応してきます。
ではもう一方を処理しましょうか。
「誰かいるのか!ウッ!」
室内では振り回しずらいバトルアックス型の結界を解除し、ハイジャック犯③の鳩尾を以下略。
さて、もう一人は……。
「そこに誰かいるんだろう!異能者!三秒以内に姿を現せ!さもなくばこの機長を殺す!3、2――」
機長の方の頭に拳銃を突き付けて脅迫してくるハイジャック犯でしたが、三秒も律義に待っているいわれはありませんよね。
「はっ!」
「ぐはぁ!」
私はハイジャック犯④に近づき、以下略。
「はぁ……」
私は小さく溜息を吐きます。
先程から同じ動きを繰り返し。
ちょっと飽きてきました。
「あ、ありがとうございます」
「助かりました」
突然の状況に戸惑いつつ、機長の方と副機長の方がお礼を言ってきました。
でもそれよりも、私は扉を壊してしまったことが申し訳ないです。
「いえ、お気になさらずに。お怪我はありませんか?」
私の問いに、二人は頷きました。
「では、私はもう一仕事してきますので」
そう言って、私はコックピットを後にします。
さて、最後は貨物室ですね。
私は前列、中列、後列を抜けてそのさらに奥にある貨物室へ向かいました。
その際、隣の席の男の子の隣を通り抜ける時、彼と目が合ったように感じました。
しかし、『ステルス結界』で姿が見えないのはさることながら、周りは騒がしい上に床はカーペットの為足音はしない筈です。
きっと気のせいでしょう。
貨物室に到着しました。
今回も扉は閉まっています。
私はコックピットの時と同様に遮音結界を張った後、バトルアックスを出現させました。
(鳩尾ばかり打つのには流石に飽きてきましたねぇ……)
そんな緩い考えを頭に浮かべながらバトルアックスを振りぬきます。
――そう、私は気が緩んでいました。
私のバトルアックスが扉を破ったその瞬間。
私の張った結界が全て消え去りました。
「!」
扉の奥には私をしっかりと見据えたハイジャック犯二人。
「ホントに居やがった!」
「だから言ったろ!?いくら姿が見えなかろうが俺の『熱感知』からは逃れられないぜ!」
拳銃を向けてくる二人のハイジャック犯の背後には、見たことは無いが知識だけは持っていたある装置があった。
あれはまさか……。
「異能、妨害装置ッ……!?」
あり得ない。
あれはただのハイジャック犯が持っているようなものでは無い。
「そうだ!コイツは異能妨害装置!お前ら異能者はコイツ一つで何もできねぇだろ!!!」
パンパァン!!
ハイジャック犯の二人が私の足元に威嚇射撃をしてくる。
「チッ……」
結界が生成できない。
私とハイジャック犯の距離は10m少々。
さっきの威嚇射撃を見る限り、この距離で銃を外すことはまずないでしょう。
「アンタには少し痛い目を見てもらおうか」
そう言って拳銃を私に向けてくるハイジャック犯。
「ッ!」
パンパンパァン!
引き金を指に掛けた時点で、横に飛びのいた私は何とか弾丸を避ける事が出来ました。
私がぶち破った金属製のドアを貫通し、自動ドアに弾丸が当たってキィィン!と言う金属音を立てます。
普通の拳銃は金属板を楽々貫通するような威力は無い筈。
あれはどうやら只のの拳銃じゃないようですね。
「無駄だ!」
そう言ってハイジャック犯が再度私に銃を向けてきます。
(まだ避けられる、けど)
私の背後には小窓がありました。
もし拳銃の弾丸が小窓に当たったりでもしたら……。
あの威力、いくら飛行機の小窓が頑丈に作られていたとしても、金属製のドアを貫通するほどの威力を持った弾丸を受け止めきれるとは限らないわけで。
もし窓が割れたら大惨事です。
(避けるわけには、いかない!)
避けない事を決めた瞬間、急に、世界がゆっくり見え始めました。
あぁ、これが死の間際に見るという走馬灯というものなのでしょうか……。
実在したんですね……。
でも走馬灯を見るという事は私は死ぬのでしょうか?
引き金が引かれて弾丸が発射されます。
走馬灯なだけあって、本来時速340㎞以上の速さで打ち出されている筈の弾丸はあり得ない程スローモーションでした。
今ならあの弾丸を指で摘まんで止めてしまえそうです。
まあ、そんな事が出来るわけが無いのですが。
弾丸が段々と私の腹部に近づいてきます。
あ、何ですかこれ、黒い手?
死神まで実在するとは驚きです。
どうせ死ぬのなら最後に死神の顔でも拝んでやるとしますかね。
死神もこんな美少女をこんな若さで殺す、なん、て?
「「「へ?」」」
私とハイジャック犯達の三人は同時に間抜けな声を出しました。
ハイジャック犯は自分の放った弾丸が指で摘ままれている事に。
私は――死神の正体がさっきまで隣の席に座っていた男の子だった事に。
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