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第一章 特別推薦入試編
第二十六話
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「目逸らしていないでさっさと助けてあげたら?」
シャロの一言に我に返る。
いかんいかん、受け入れがたい現実についつい現実逃避してた。
現実へと視線を戻すと、再び現実逃避したくなるほどピキっているキースの顔と、褒めてくれとばかりに目を輝かせる有栖の顔が見えた。
再び目を逸らしたくなる気持ちを抑え、俺は有栖に話しかける。
「おい、有栖」
「はい、何でしょう師匠!」
「……取り敢えず放してやれ、そいつは味方だ」
「何と、師匠の味方だったのですか」
「だからそうだと何度も言っていただろう!」
「煩い。師匠との会話に割り込むな不埒者「痛ッ、おい、ふざけ」申し訳ありません師匠。てっきり師匠を狙う不埒者と勘違いしてしまいまして……」
「うん。だから不埒者じゃないんだから刺しちゃだめだよね」
相変わらず人の話を聞かないな、我が弟子は。
「あ、間違えました。申し訳ありません、えーと、……そこの何某さん」
おいおい我が弟子、それは拙いぞ。
「こっ、こっ、こっ、こっ」
あーあ、キースが白目剥いてニワトリになっちゃったよ。
「エイタ、また目逸らそうとしてるでしょ」
「……そらがきれいだなあ」
「そうね、でも貴方が見るべきは正面よ」
*
「いいか、有栖、ここは戦略的土下座だ。それしかない」
「戦略的土下座、ですか」
取り敢えずキースの拘束を解いた俺は、場が動く前に有栖を拠点の端へと連れ出して、これからの作戦を伝えた。
その名も『土下座大作戦』だ。
この作戦は単純明快。
「俺が合図したら土下座だ。一に土下座、二に土下座、三四土下座に語も土下座だ。とにかく土下座だ。OK?」
「はい師匠。しかしこれにはどんな意味が?」
「ああ、俺の経験上、自分たちに非がある場合、即座に頭を下げるのが最も効果的だ。直接事案に関係ない上役が一緒に謝ればなおの事謝罪の効果は高い。今回の場合、有栖の師匠である俺が有栖と一緒に土下座をすることで謝罪の効果を上げる。但し、相手が悪人や犯罪者の類の場合は、死んでも頭を下げてはならない。そこに付け込まれるからな。だが、今回の相手はキース。腐っても職業系の異能を継承する由緒正しい名家の生まれだ。ならばこそ、ここは全力で謝罪すれば難を逃れられるはずだ!」
俺が適当に思いついたことを力説すると、有栖は目を輝かせて。
「成程! 勉強になります!」
「じゃあ行くぞ、せーので土下座だ。大きな声ではっきりと言うのがコツだ」
*
「「(せーの)大変申し訳ございませんでした!」」
『土下座大作戦』、決行。
俺と有栖はキース相手に盛大に土下座をした。
まあキースの事だ、暫くはぐちぐち言われるだろうが、謝り倒せば許してくれるだろう。
今後のダンジョン攻略の為にも、ここで余計なわだかまりは無くしておきたい。
土下座体勢のまま、視線だけをシャロに送る。
シャロは他人の心を若干読む能力があるらしいので、俺の考えを何となく察している筈だ。
俺の視線を受け取ったシャロは何も言わずに軽く目を瞑った。
今、特に何か口をはさむつもりは無いらしい。
「この通りだ! 有栖もほらもう一回謝って!」
「この度は本当に申し訳ございませんでした!」
「もう一回行くぞ!」
「はい! 申し訳ございませんでした!」
「もう一回だぁ!「はあ、仕方がない。許そう」……あ、そう?」
やれやれとため息をつきながら言うキース。
あれ? 案外さらっと許してくれたな。
まあいい、作戦成功だ!
「ありがとう! 実はお前って良い奴だったんだな!」
「じゃあ首を落すからそのまま地に頭を付けていろ」
うん?
「今何て言った?」
恐る恐る顔を上げると――
「ああ、首を落すからそのまま地に頭を付けていろ。その謝意に免じてせめて苦しまないよう一撃で殺してやるから安心してくれ」
――満面の笑みを浮かべたキースが居た。
だが、分かる、この笑みはイっちゃってる奴の笑みだ。
「いや何でだよ! 許してくれたんじゃないのか!?」
「ああ、許すとも、貴様ら二人の死をもってな!」
「俺が何をしたって言うんだ!」
「そもそも貴様が勝手に単独行動しなければこの女に襲われることも無かっただろうが!」
返す言葉もございません!
「師匠、予想以上にコイツ心が狭いです。どうしましょう」
おい、我が弟子よ、火に油を注ぐでない。
「誰のせいだ誰の! 貴様ら、そんなふざけた謝罪で本当に謝っているつもりか! エイタは百歩譲って許しても、貴様は許さん!」
「謝ったじゃないですか。怪我をしたわけでもあるまいし。一々喚きすぎなんですよ」
「何だと!」
言い争いを始める二人。
「半分くらいエイタのせいだけどね」
ここにきて、静観していたシャロが沈黙を破る。
「うっせ」
「貴方はあの二人と面識があるようだから任せてみたけど……、エイタって喧嘩の仲裁とか苦手なのね。意外だわ」
「悪かったな」
まあ、今まで喧嘩何てするような友達、麗華以外居なかったからな。
ちなみに喧嘩の結果は俺の全敗。
『戦略的土下座』はこの時に習得した。
「別に悪いことは無いわ、人には向き不向きがあるもの。だからここは私に任せなさい。仕事柄、仲裁は得意なの」
シャロはいがみ合う二人の間に入っていくと。
「ねえ、勝負をしない?」
シャロの一言に我に返る。
いかんいかん、受け入れがたい現実についつい現実逃避してた。
現実へと視線を戻すと、再び現実逃避したくなるほどピキっているキースの顔と、褒めてくれとばかりに目を輝かせる有栖の顔が見えた。
再び目を逸らしたくなる気持ちを抑え、俺は有栖に話しかける。
「おい、有栖」
「はい、何でしょう師匠!」
「……取り敢えず放してやれ、そいつは味方だ」
「何と、師匠の味方だったのですか」
「だからそうだと何度も言っていただろう!」
「煩い。師匠との会話に割り込むな不埒者「痛ッ、おい、ふざけ」申し訳ありません師匠。てっきり師匠を狙う不埒者と勘違いしてしまいまして……」
「うん。だから不埒者じゃないんだから刺しちゃだめだよね」
相変わらず人の話を聞かないな、我が弟子は。
「あ、間違えました。申し訳ありません、えーと、……そこの何某さん」
おいおい我が弟子、それは拙いぞ。
「こっ、こっ、こっ、こっ」
あーあ、キースが白目剥いてニワトリになっちゃったよ。
「エイタ、また目逸らそうとしてるでしょ」
「……そらがきれいだなあ」
「そうね、でも貴方が見るべきは正面よ」
*
「いいか、有栖、ここは戦略的土下座だ。それしかない」
「戦略的土下座、ですか」
取り敢えずキースの拘束を解いた俺は、場が動く前に有栖を拠点の端へと連れ出して、これからの作戦を伝えた。
その名も『土下座大作戦』だ。
この作戦は単純明快。
「俺が合図したら土下座だ。一に土下座、二に土下座、三四土下座に語も土下座だ。とにかく土下座だ。OK?」
「はい師匠。しかしこれにはどんな意味が?」
「ああ、俺の経験上、自分たちに非がある場合、即座に頭を下げるのが最も効果的だ。直接事案に関係ない上役が一緒に謝ればなおの事謝罪の効果は高い。今回の場合、有栖の師匠である俺が有栖と一緒に土下座をすることで謝罪の効果を上げる。但し、相手が悪人や犯罪者の類の場合は、死んでも頭を下げてはならない。そこに付け込まれるからな。だが、今回の相手はキース。腐っても職業系の異能を継承する由緒正しい名家の生まれだ。ならばこそ、ここは全力で謝罪すれば難を逃れられるはずだ!」
俺が適当に思いついたことを力説すると、有栖は目を輝かせて。
「成程! 勉強になります!」
「じゃあ行くぞ、せーので土下座だ。大きな声ではっきりと言うのがコツだ」
*
「「(せーの)大変申し訳ございませんでした!」」
『土下座大作戦』、決行。
俺と有栖はキース相手に盛大に土下座をした。
まあキースの事だ、暫くはぐちぐち言われるだろうが、謝り倒せば許してくれるだろう。
今後のダンジョン攻略の為にも、ここで余計なわだかまりは無くしておきたい。
土下座体勢のまま、視線だけをシャロに送る。
シャロは他人の心を若干読む能力があるらしいので、俺の考えを何となく察している筈だ。
俺の視線を受け取ったシャロは何も言わずに軽く目を瞑った。
今、特に何か口をはさむつもりは無いらしい。
「この通りだ! 有栖もほらもう一回謝って!」
「この度は本当に申し訳ございませんでした!」
「もう一回行くぞ!」
「はい! 申し訳ございませんでした!」
「もう一回だぁ!「はあ、仕方がない。許そう」……あ、そう?」
やれやれとため息をつきながら言うキース。
あれ? 案外さらっと許してくれたな。
まあいい、作戦成功だ!
「ありがとう! 実はお前って良い奴だったんだな!」
「じゃあ首を落すからそのまま地に頭を付けていろ」
うん?
「今何て言った?」
恐る恐る顔を上げると――
「ああ、首を落すからそのまま地に頭を付けていろ。その謝意に免じてせめて苦しまないよう一撃で殺してやるから安心してくれ」
――満面の笑みを浮かべたキースが居た。
だが、分かる、この笑みはイっちゃってる奴の笑みだ。
「いや何でだよ! 許してくれたんじゃないのか!?」
「ああ、許すとも、貴様ら二人の死をもってな!」
「俺が何をしたって言うんだ!」
「そもそも貴様が勝手に単独行動しなければこの女に襲われることも無かっただろうが!」
返す言葉もございません!
「師匠、予想以上にコイツ心が狭いです。どうしましょう」
おい、我が弟子よ、火に油を注ぐでない。
「誰のせいだ誰の! 貴様ら、そんなふざけた謝罪で本当に謝っているつもりか! エイタは百歩譲って許しても、貴様は許さん!」
「謝ったじゃないですか。怪我をしたわけでもあるまいし。一々喚きすぎなんですよ」
「何だと!」
言い争いを始める二人。
「半分くらいエイタのせいだけどね」
ここにきて、静観していたシャロが沈黙を破る。
「うっせ」
「貴方はあの二人と面識があるようだから任せてみたけど……、エイタって喧嘩の仲裁とか苦手なのね。意外だわ」
「悪かったな」
まあ、今まで喧嘩何てするような友達、麗華以外居なかったからな。
ちなみに喧嘩の結果は俺の全敗。
『戦略的土下座』はこの時に習得した。
「別に悪いことは無いわ、人には向き不向きがあるもの。だからここは私に任せなさい。仕事柄、仲裁は得意なの」
シャロはいがみ合う二人の間に入っていくと。
「ねえ、勝負をしない?」
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