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第5章
最終決戦 ⑤
しおりを挟む最終決戦 ⑤
囲い石の空間内
そこは岩と膝位ある血の海が地平線まで続く世界だった。
辺りに叫びに似た声が木霊する。
大きな岩にリアムがモズを見下ろす様に姿を現わす。
モズ「お前、どうやって石を発動させた……私もその石の存在
は承知している。単体では発動出来ない事も、
伝承では、単体で石の力を発動出来るとされているが、
成し得た者は居ないただの世迷言だとは思っていたのだが……」
リアム「……語るに及ばず」
モズ「我等の力が源流となるその力、異世界に存在する物質か、
厄介なものですな……次元を超えた力は源が同じでも、
その世界の意思が宿っているとなれば……
同じ力とは言い切れない……源流の力が我等にあるとすれば
閉じ込めただけのモノに負けるはずは……」
(理の中の原則のルールにあがらう事は出来ぬ筈だが……)
リアム「お前は命を散らし過ぎた……魔物も人も生きる者、
存在する者には等しく命がある。
それは魔人とて同じ。お前は他人の命も、自分と等しく同じ
である事を知らない……」
静かに2本の光魔剣を抜刀しその眼からは魔人をも圧倒する
威圧感を放ち呟いた……
リアム「代償を持って帰る時だ……」
モズ「どうやったかは知らないが、貴方、よく見ると戦場で
見た時よりボロボロじゃありませんか」
「その体で私に勝てるとでも?冗談が……
笑え……過ぎて……
笑えナァァァアアイ!」
言うが早いか、四つ脚で凄まじい速さで崖を這い上がる魔人
目にリアムを捉えた瞬間、その大きな裂けた口でリアムに
噛み付いた。
「ブルグァリャ!」
言葉にならない奇声を発しリアムの肩を噛んだ口は激しく頭を
揺らし噛みちぎろうとする。
リアムはそれを冷徹な目で見据える。
モズ「……は?」
リアムは魔人に対抗出来ると言われた腕の指を、魔人の目に
親指をめり込ませ、頭ごと握る。
《メキメキメキ》
モズ「いいいいい痛でぇぇええ!」
手でリアムの腕を振り払い、飛び退くモズ
モズ「そんな馬鹿な……人間が鬼となった存在としても
我等、魔人と対等に戦うなどあってはならない事だ……
まして私は魔人の中でも上位な筈……」
片目を抑えながら呟くモズ
リアムの背後からネロが顔を出した。
ネロ「存在する命ある者は全て対等、そしてその力は
人により違いはあれど求め追求する者の力は等しい。
僕はそう聞いたよ」
モズ「 ‼︎ そのフレーズ……まさか……先程の女も何処かで見た
記憶があるとは思ってはいたが……まさか……」
「お前、あの男と繋がっていたのか!」
「取るに足らん存在ではあるが偉大なる、あのお方にとって
羽虫であろうとも組みする者は、捨ててはおけん!」
まして彼奴の存在は我等にとって屈辱……ふざけた掴み所の
ない彼奴の味方などぉぉお!」
「キェェェェ!」
叫ぶ声は耳をやられる程に高音の音波の様に、
リアムとネロを襲う。
周りの景色が歪んで見える程に空気が振動し視界がボヤける。
思わず耳を塞ぐリアムにモズの鋭い爪が襲いかかる。
正常な判断も出来ず切り刻まれ踊る様に飛ぶ彼に凄まじい
スピードで追撃する魔人の攻撃に為すすべもないリアムは
地面へと這いつくばった。
リアム「グハッ……」
モズ「こんなモノでは済まされんぞ!
あらゆる苦痛を味わいながら逝くが良いわ!その瞬間、魂にも
同じ苦しみを味わって存在自体、消し去ってやるわっ」
リアムに覆いかぶさるモズはリアムの顔面を執拗に殴り
噛み付く。
光矢により落とされた左手は蜘蛛の脚になり、その尖った
爪先をリアムの腕と地面とを抉り刺して身動きを取れなくした
モズ「我は吸血の存在、お前の血を吸い尽くしてやるわ、
これで終わりではないぞ、代わりに我の毒素を貴様の体内に
ブチ込んでやるわ」
モズ「お前……体内に血がもう少ないではないか……
これでは私の栄養素が楽しめないではないか!
血は命の源、至福の快楽が……このクソがぁ!」
「まぁ良いわ……入る毒素が増える分、楽しめる
まずは痒みから、成そうか」
リアムの心臓が高鳴る……
リアム「蚊やノミといった痒みが彼の身体を駆け巡る。
その痒みは皮膚を痒み以外から神経をなくして行く」
モズ「どうだ?前菜は、痒みというのは快楽に近いであろう?
その痒みはやがてアレルギーとして身体を腫れさせ苦しみを
連れてくるのだ」
叫び、足掻く彼の全身が赤く焼ける様に膨れ上がる。
「次は血を少し分けて貰えますかな?アヒャアヒャ
水分を欲する器官の水分をいただきましょうかね……」
伸びる舌がヒルと化してリアムの身体にめり込んんで行く
体液を吸うモズの顔が悦に変化する度にリアムは猛烈な
喉の渇きに襲われる。
最早、声も出せず呼吸音はヒュヒュウと音を立てるの留まる。
「あ、言い忘れましたが自害しても結構ですよ、術者がその
意思を失えば囲い石の呪いは消えますからね、
しかぁし……それは同時に貴方の行動は全て自分が苦痛から
逃れるために行った行動として、貴方の勇気、行動、生き様
全て、いいですか、すーべーてー否定する事となりますがね。
全てを後悔し、己を憎み、卑下し、身も心も干からびて
召されるが良い……プププ」
「所詮人間の行動などそんなものですよ、我等魔族のもの
こそが、自由に行き本来の生命体のあるべき姿なのですから」
「恥じる事は有りません、貴方、所詮そんなものの
存在なのですから」
「さて次は恐怖を注入しましょうか、まずは視神経を遮断」
突然リアムの目から景色が消え闇に覆われる
体内のモズの舌が視神経に入り込み、神経から水分を奪い
視覚伝達を遮る。
「ツーギーわぁハァハァ聴覚、暗闇の中で頼れる神経が1つ
1つ失われる感覚はどうですかぁ?」
「声も出せずその表情……アハッ、いい……いいですよぉぉ!」
突然、モズの舌が2つに割れ、1つはリアムの体液を奪い
1つは興奮したモズ自身が自らの腕を噛みちぎり、その血液を
飲み始める」
「人の恐怖の血も美味い、が……悦に……悦に浸った我の血も
うまぁぁいいい!」
「そして嗅覚!触覚……はすでに麻痺してましたね
五感を失われた人間の恐怖と狂気とは……私とて味わった
事がない……未知なる世界貴方貴重な経験されてますよ」
「さてと、これでは面白くない……メインに行きますか」
モズの舌がひゅるひゅるとリアムの体内から出て
口内へ収まる。
次第に奪われた五感が戻り始める。
しかし胴体以外の身体は動かない。
「胴体と頭部のみ神経を戻しました、この意味解ります?」
モズの口は大きく飽き蝙蝠のような舌で血を舐める。
ボロボロになったスーツのポケットからナイフとフォークを
取り出す。
「今から貴方の見てる前で臓物をいただきます。活き造り
と言うわけですね。貴方がすぐに逝ってしまわぬ様、細心の
注意をしながら頂きますので」
「でないと……血から恐怖による酸味が消えてしまっては
勿体のう御座いますからねぇ……」
「さて……どの臓物からにいたしましょうか……」
風体からは想像もつかない程に、子供の様な純真な目を
輝かせるモズ。
その挙動1つ1つが、いやらしく、そして怒り、悲しみ、恐怖
絶望、苦痛、もどかしさ、全ての負の感覚が混濁していた。
徐々にナイフがリアムの腹部に近づく……
ーー吸血する生き物ーー
代表的な生き物では
ヒル・蚊・アブ・ノミ・ダニ・蝙蝠・ヤツメウナギ・
等他にも様々な生き物が生息する。
哺乳類を襲うもの意外にも体液を餌とする昆虫
牛等、貴重な栄養素としてアフリカ等の原住民が摂取する
事は知られている。
現代においてヘアケア等に使われるヘマチン等は豚や牛の
血液が原材料として使われている。
人も虫も、鳥ですら、生きるモノ全て
本来は吸血という行為は当たり前のように使われる。
リアム「……囲い石よ……俺に力を貸してくれ……」
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