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翌日、松本さんのランチを食べてから、俺はハーブティーを買いにshockの近くを歩いていた。
えっと、どこだっけ?
…、キョロキョロしていると、「律」と呼ばれ、振り向いた。
振り向いた先には、昨日夢の中で見た、暖くんが立っていた。
「…暖くん」
暖くんは平日だけどスーツじゃなくて、シャツにチノパンとデニムジャケットを羽織っていた。
相変わらず綺麗な目鼻立ち、黒髪をウエットにスタイリングしててカッコよく、そして俺を見てニコッと微笑む。
「ああ、やっと会えた。探してたよ、律。
shockは辞めたって聞いたし、電話も繋がらないし。
マンションも引越してるし。
どこにいたの?
……とりあえず、どこかでお茶でも飲まない?」
暖くんは立ち話で目立つのを嫌がって、近くのカフェへと俺を導く。
エリアルコーヒーだ。
「……」
俺はアメリカンを飲みながら、ずっと口を聞いていない。
暖くんが結婚してアメリカへ行って、まだ1年ちょっとしか経ってないよな。
何か用事があって帰国したのか?
俺を探してた?何で?
もしヤリ目なら断固断るぞ。
浮気相手なんてごめんだし、もうウリ専でもないしな。
すると、カフェオレをソーサーに置いた暖くんが、
「俺、離婚したんだ」とにこっと笑う。
「……は?」
「…向こうに行って、しばらくは頑張ったんだ。
仕事は面白かったし、夫婦生活も…上手くやろうと思ったんだけど、なんか、やっぱり、無理だと思ってしまった」
「無理って…」
「やっぱり俺、律がいいなと思った。
だから、別れる事にしたんだ。
結構揉めたけど、やっとこの前話がついてね、仕事も辞めたんだ」
「辞めたの?!」
「うん。
本部長の娘と俺の理由で別れたとなると、うちの職場行き場がなくてね。
先週日本へ帰ってきて今ホテルにいる」
「そ、そう…」
何というか、何か、軽いな。。
暖くんて、前からだけど何でも軽く決めてしまう。
今回も、俺を選んでくれたってことなんだろうけど、あっさりと離婚も退職も決めたように見える。
なんだか、あっけらかんとした暖くんに拍子抜けしていた。
「次の仕事探しながら、律を探してたんだ。
良かったよ、会えて…、ねぇ、律、今何してるの?どこに引越した?
…彼氏、できたの?」
矢継ぎ早に質問され、俺は苦笑しながら、
「えーと、仕事は、してないよ。
実は3週間くらい前に階段から転んじゃって」
「えっ?大丈夫?」
「うん、身体は大丈夫。ただ、頭がね…」
「頭?」
「そう、ちょっと記憶が途切れてるところがあって」
「えっ」
「あ、暖くんとの事は覚えてるよ。
あっさり振られたこともね」
「……」バツの悪い顔で俯く暖くん。
「今、リハビリ中みたいな感じ。
徐々に記憶は復活してるから。
そんで、友達の家に居候してる」
「友達?」
「うん。
階段から落ちたのをその人が発見してくれて。彼氏はいないよ」
暖くんは俺をじっと見つめている。
「…なんか、怪しいな、その人」
「え?」
「律、なんで階段から落ちたの?
酒でも飲んでた?」
「…飲んでなかったみたいだよ、記憶にはないけど、俺、そもそも酒あまり飲まないもん」
「だよね。
律が階段から落ちるなんて、あまり想像できないんだよ。
…その人に、押されたのかも」
「は?なんで」
「分からないけど。
可愛さ余って憎さ百倍、だったりして」
「…意味わからない」
颯真が?俺を?
暖くんの言葉で何が本当かよく分からなくなってきた。
次会った時どんな顔で颯真と会えば良いかも。
そんな俺を見ていた暖くんから、この後の夕食に誘われて、俺は久々二人の行きつけだった中華屋に行った。
少し悩んだけど、ラーメンも食べたくて俺は松本さんに連絡して食べて帰ることにした。
やっぱここの塩ラーメンと焼豚チャーシュー丼は美味いな。
…こういうとこ、颯真は来た事ないだろうなあ、なんて考えながら完食する。
それから、俺はそんな飲まないけど、バーへ誘われ俺はハイボール、暖くんはウィスキーをちびちび飲みながらまた世間話をする。
店では暖くんは絶対外で甘い雰囲気を出さない。
これが颯真なら囲い込まれるな、きっと。
暖くんは態度には出さないが、俺を見る目に少しずつ欲が孕んでいる気がする。
「律、もう帰る?」
「うーん…」どうしようかな。
スマホを見るとまだ21時。
「その人のところ、危ないんじゃないかな。
友達っていっても、やる事はやってるよね、二人」
「!……」
「…あのさ、俺のホテルで飲み直さない?
大丈夫。襲ったりしないから」
「え…」
「俺と昔の事話してたら、もっと記憶が鮮明になるかもよ」
…そうかも。
そして最後まで思い出さない限り、颯真の話はまだ信用できないって再認識した。
「…じゃあ、飲みなおそっか」
「うん、行こう」
友達のところに泊まる、とメールしてしばらく、颯真から了解、と返信がきた。
いろいろ買い出しして暖くんのホテルに向かう。
部屋は思ったより広めのダブルルーム、最初は落ち着かなかったけど、ツマミと酒で段々と慣れてきて昔話もポツポツと出てきた。
「相変わらず、雷苦手?」
暖くんがニヤニヤして聞いてくる。
「もう、1年で克服できるはずないでしょ」
昔暖くんの部屋にいたら雷が鳴って、怖くて怖くてずっとベッドの中で暖くんに抱きついていた。
小さい頃から雷は苦手だ。
養護施設の近くに鉄塔があって、雷がよく落ちるのか音が凄まじく俺は雷恐怖症になってしまったのだ。
「子供みたい」
と笑いながら暖くんはずっと抱っこしてくれていた。そんな時もあったなあ。。
俺と暖くんは思い出話をしながら、いつのまにか寝落ちてしまった
えっと、どこだっけ?
…、キョロキョロしていると、「律」と呼ばれ、振り向いた。
振り向いた先には、昨日夢の中で見た、暖くんが立っていた。
「…暖くん」
暖くんは平日だけどスーツじゃなくて、シャツにチノパンとデニムジャケットを羽織っていた。
相変わらず綺麗な目鼻立ち、黒髪をウエットにスタイリングしててカッコよく、そして俺を見てニコッと微笑む。
「ああ、やっと会えた。探してたよ、律。
shockは辞めたって聞いたし、電話も繋がらないし。
マンションも引越してるし。
どこにいたの?
……とりあえず、どこかでお茶でも飲まない?」
暖くんは立ち話で目立つのを嫌がって、近くのカフェへと俺を導く。
エリアルコーヒーだ。
「……」
俺はアメリカンを飲みながら、ずっと口を聞いていない。
暖くんが結婚してアメリカへ行って、まだ1年ちょっとしか経ってないよな。
何か用事があって帰国したのか?
俺を探してた?何で?
もしヤリ目なら断固断るぞ。
浮気相手なんてごめんだし、もうウリ専でもないしな。
すると、カフェオレをソーサーに置いた暖くんが、
「俺、離婚したんだ」とにこっと笑う。
「……は?」
「…向こうに行って、しばらくは頑張ったんだ。
仕事は面白かったし、夫婦生活も…上手くやろうと思ったんだけど、なんか、やっぱり、無理だと思ってしまった」
「無理って…」
「やっぱり俺、律がいいなと思った。
だから、別れる事にしたんだ。
結構揉めたけど、やっとこの前話がついてね、仕事も辞めたんだ」
「辞めたの?!」
「うん。
本部長の娘と俺の理由で別れたとなると、うちの職場行き場がなくてね。
先週日本へ帰ってきて今ホテルにいる」
「そ、そう…」
何というか、何か、軽いな。。
暖くんて、前からだけど何でも軽く決めてしまう。
今回も、俺を選んでくれたってことなんだろうけど、あっさりと離婚も退職も決めたように見える。
なんだか、あっけらかんとした暖くんに拍子抜けしていた。
「次の仕事探しながら、律を探してたんだ。
良かったよ、会えて…、ねぇ、律、今何してるの?どこに引越した?
…彼氏、できたの?」
矢継ぎ早に質問され、俺は苦笑しながら、
「えーと、仕事は、してないよ。
実は3週間くらい前に階段から転んじゃって」
「えっ?大丈夫?」
「うん、身体は大丈夫。ただ、頭がね…」
「頭?」
「そう、ちょっと記憶が途切れてるところがあって」
「えっ」
「あ、暖くんとの事は覚えてるよ。
あっさり振られたこともね」
「……」バツの悪い顔で俯く暖くん。
「今、リハビリ中みたいな感じ。
徐々に記憶は復活してるから。
そんで、友達の家に居候してる」
「友達?」
「うん。
階段から落ちたのをその人が発見してくれて。彼氏はいないよ」
暖くんは俺をじっと見つめている。
「…なんか、怪しいな、その人」
「え?」
「律、なんで階段から落ちたの?
酒でも飲んでた?」
「…飲んでなかったみたいだよ、記憶にはないけど、俺、そもそも酒あまり飲まないもん」
「だよね。
律が階段から落ちるなんて、あまり想像できないんだよ。
…その人に、押されたのかも」
「は?なんで」
「分からないけど。
可愛さ余って憎さ百倍、だったりして」
「…意味わからない」
颯真が?俺を?
暖くんの言葉で何が本当かよく分からなくなってきた。
次会った時どんな顔で颯真と会えば良いかも。
そんな俺を見ていた暖くんから、この後の夕食に誘われて、俺は久々二人の行きつけだった中華屋に行った。
少し悩んだけど、ラーメンも食べたくて俺は松本さんに連絡して食べて帰ることにした。
やっぱここの塩ラーメンと焼豚チャーシュー丼は美味いな。
…こういうとこ、颯真は来た事ないだろうなあ、なんて考えながら完食する。
それから、俺はそんな飲まないけど、バーへ誘われ俺はハイボール、暖くんはウィスキーをちびちび飲みながらまた世間話をする。
店では暖くんは絶対外で甘い雰囲気を出さない。
これが颯真なら囲い込まれるな、きっと。
暖くんは態度には出さないが、俺を見る目に少しずつ欲が孕んでいる気がする。
「律、もう帰る?」
「うーん…」どうしようかな。
スマホを見るとまだ21時。
「その人のところ、危ないんじゃないかな。
友達っていっても、やる事はやってるよね、二人」
「!……」
「…あのさ、俺のホテルで飲み直さない?
大丈夫。襲ったりしないから」
「え…」
「俺と昔の事話してたら、もっと記憶が鮮明になるかもよ」
…そうかも。
そして最後まで思い出さない限り、颯真の話はまだ信用できないって再認識した。
「…じゃあ、飲みなおそっか」
「うん、行こう」
友達のところに泊まる、とメールしてしばらく、颯真から了解、と返信がきた。
いろいろ買い出しして暖くんのホテルに向かう。
部屋は思ったより広めのダブルルーム、最初は落ち着かなかったけど、ツマミと酒で段々と慣れてきて昔話もポツポツと出てきた。
「相変わらず、雷苦手?」
暖くんがニヤニヤして聞いてくる。
「もう、1年で克服できるはずないでしょ」
昔暖くんの部屋にいたら雷が鳴って、怖くて怖くてずっとベッドの中で暖くんに抱きついていた。
小さい頃から雷は苦手だ。
養護施設の近くに鉄塔があって、雷がよく落ちるのか音が凄まじく俺は雷恐怖症になってしまったのだ。
「子供みたい」
と笑いながら暖くんはずっと抱っこしてくれていた。そんな時もあったなあ。。
俺と暖くんは思い出話をしながら、いつのまにか寝落ちてしまった
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