貴方が呼んでくれるから

ツナコ

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 俺たちは昼ごろまでぐっすり寝てしまって、ゆっくりブランチをとってから暖くんの賃貸探しにつきあうことにした。

 ついでに俺は新しいスマホを買いに行った。

 暖くんがお金を出すって言ってくれたけど断った。貯金から少し切り崩そう。

 俺、結構貯めてたしな。

 「律、仕事、どうするの?shock戻る?」

 「んー…、どうしようかな」

 「俺と住んで、お嫁になってくれてもいいし、shockは正直ちょっと嫌だけど、でも、それは律の自由だしね」

 そう、暖くんは俺を縛ったりはしない。

 俺の自由にさせてくれる。

 「自由、か…」

 「ん?」

 「ううん。暖くん、次の仕事本郷でしょ?近いとこがやっぱいいよね」

 暖くんは勤務箇所も考えながら、喫茶店で賃貸をスマホで検索してた。

 「そう思ってさっきのとこ見に行ったんだけどね、やっぱ収納が少ないのが気になって。 
 も一つ気になってたところ見に行ってみる。律も良かったら行かない?」

 「うん。行く行く」物件を見るのは参考になるし面白い。

 俺は友人ですーという顔で、暖くんと一緒にもう一つの物件を見に行った。

 カップルみたいな雰囲気を出そうものなら、もう暖くんは連れていってくれないだろうし。

 「どう?ここ」

 「うーん、広くて収納も多いしいいんだけど、家賃がね…。
 ま、俺たちでルームシェアするなら折半になるし大丈夫かなあ」

 不動産屋もいるのでルームシェア、なんて言い方をする暖くん。

 「ルームシェアね…、俺は…どうしようかなぁ」

 暖くんと一緒に住むのは楽しいだろうけど、なんかひっかかりがあった。

 「…うん、まあ、もう少し見て回ろうかな」

 今日はこれで終わりにして、また明日も物件を見ることにした。

 それから牛丼を食べて、ホテルに戻って同じベッドで寝る。

 なんだか気分が乗らなかったけど、暖くんがしたそうだったのでセックスしてから眠りについた。






 次の日も暖くんの物件めぐり。

 1軒目はいい感じだったけど、日当たりが悪いと2軒目に向かう。

 そして、収納とか家賃とか日当たりとか、その辺をなんとかクリアしたマンションを見つけた。

 手続きをして、明後日の火曜日から住むことになった。

 「暖くん、良かったね見つかって」

 「うん。あのさ、律、どうする?
 2部屋あるし俺は一緒に住みたいけど。
 金とかならいらないし」

 「お金はないわけじゃないしそれはいいんだけど…、なんか、…悩んじゃって」

 「そうか。
 …俺の事嫌になったわけではない?」

 「…そんな事、ない」

 「良かった…。でもどうする?
 俺、明後日にホテル引き払うんだけど」

 「うーん…明日、考える」

 「…分かった」

 帰りに回転寿司によってホテルへ戻る。

 なんとなく話も弾まない感じで、俺たちは早々に床に着いた。

 暖くんは俺に軽くキスをして背を向ける。

 俺は、どうしたいんだろう。

 暖くんとまた会えて嬉しい。

 一緒にいて楽しいし、セックスだって気持ちよかったのに。

 でも、前みたいに、ドキドキしない…、どうしよう…。

 そんな事を悩みながらもいつのまにか寝てしまった。






 前の日散々悩んで、俺はとりあえず暖くんと一緒に住むことにした。

 暖くんは笑顔を浮かべ

 「よかった。…ありがとう」と喜ぶ。

 白い歯がこぼれて、ほんとカッコ良いよな…と思わず見惚れてしまった。

 今日は家具屋さんにベッドを見に行く。

 「やっぱりセミダブル以上は欲しいなあ」

 「ダブルは厳しそうだったよね」

 そんな感じでテーブル、チェア、カーテンなんかを見ていく。

 「暖くん、お金、大丈夫なの?」

 「うん、まあ退職金が予想より結構多かったし。
 とりあえず必要最低限のだけ買って後はおいおいだなぁ」

 今日は家具屋だけでもう足がパンパンになってしまい、後はホテルに戻って荷物を整理するのを手伝うことにした。

 と言っても衣服と洗面用具だけ。

 大きめスーツケース1個分くらいだ。

 「暖くん、荷物少ないね。
 他になかったの?」

 「そうだね。
 向こうの生活用品は全部家に置いてきたし」

 「…奥さんは、日本に戻ってきてるんじゃないの?」

 「どうだろ。
 アメリカ暮らしが楽しかったみたいだし、少し滞在してから帰国するんじゃないかな」

 「楽しかったんだ」

 「そうみたいだ。
 日本企業の多いところで日系人多かったし気候も温暖だから、暮らしやすかったと思うよ。
 …俺はすぐホームシックになっちゃったけどね。律が恋しくて」

 「……」

 「…ちょっと、なんか反応してよ。
 恥ずかしいでしょ」

 「…ふふ。
 なんか、アメリカ人ぽかった、恋しくて、なんてさ」

 「ちょっ…、やめて。
 染められたみたいで、恥ずかしい…」

 「あはは」

 そんなことをポツポツと話しつつ、荷物整理を手伝いながら自分の分も詰めていく。

 暖くんの買い物の時についでに買った俺の下着類とか衣服、スーツケースも。

 全部自分で買った。

 できるだけ安いやつね。

 詰めてみるとそんな量じゃないな。

 そして今日はホテル最後の夜ということで、コンビニでいろいろと買い込み部屋でゆっくりすることにした。

 「これ美味しい」

 「春雨サラダ?」

 「うん。冷やし中華みたい」

 「どれ、…うん、美味い。
 律ってほんと中華麺系好きだね。
 3食ラーメンでも良いだろ」

 「うん、確かに良いかも。
 冷やし中華でも、つけ麺もいいなあ」

 「ははっ、じゃあ休みの日には、また店開拓しようか。前みたいにさ」

 「いいね」

 二人でいろんな中華屋さん、行ったよなあ。

 2年前、懐かしい。

 俺は暖くんに夢中だった。

 「律…」

 ビールを飲んで少し顔が赤くなった暖くんが、俺を引き寄せキスをする。

 酒臭い舌で口腔を弄られ、あまり飲んでない俺も酔ってしまいそう。

 「ん…」

 「律…好きだよ…」

 「ん…、する…?」

 「…俺も好きって言ってくれないの?
 いつもそう返してくれた…」

 「…好き…だよ…」

 そう、一緒にいると楽しいし、俺は暖くんしか好きじゃないはず。

 今は記憶のこともあるから気が晴れないだけで。

 その時なぜだか八乙女さんと颯真を思い出す。

 あの二人、キス、してたよな…。大人な二人でお似合いだよな…。

 俺は、そんな考えを振り払うように

 「好き…、しよーよ、暖くん。
 俺、シャワー浴びてくる…」と誘った。

 「律…ほんと、可愛い。俺も浴びる。
 洗ったげる」

 その後二人で一緒に洗いあって、浴室でも、ベッドでも暖くんの優しい愛撫に蕩けそうになりながら、俺たちはホテル最後の夜を激しく愛し合った。
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