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「そうだ…、オーナー、あの人…来てます?最近」
俺は事務所を出てエレベーターへ向かう。
やっぱり彼は俺が店に来なくなっても定期的にきて、俺が復帰してるか様子を見ていたらしい。
これからどうするか考えながらエレベーターのボタンを押そうとしたところで、非常口の方から声がした。
「りっくん」
振り向くとそこには…慈愛に満ちた表情で微笑む石原さんが立っていた。
「石原さん…」彼がゆっくり近づいてくる。
「ああ、記憶、戻ったんだね。
銀座で会った時おかしいなぁと思ったんだよ。
それから病院の知り合いのつてで調べてさ、入院してた大学病院まで行ったよ。
そしたら記憶喪失になったって聞いて、あの時だよね?僕は心底嬉しかったんだ」
「何を…?」
「だって、またりっくんとやり直せる」
石原さんが少しずつエレベーターへ向かってくる。
「りっくんとまたお客さんとして触れ合える。
…りっくん、セックス大好きなんでしょ?いろんな男とさ。
だから俺の申出断ったんだよね?」
触れられそうになったので逃げてるうちに、今度は俺が非常口の方へ近づいていた。
「それなのに、変な男とつるみ始めてさ…、出勤日減らしたでしょ?
だから、僕、ネットとか電話とかして苦情を言ったんだ。僕、怒ったんだよ?」
嫌がらせの電話、ネットの中傷、やっぱり石原さんだったんだ…。
石原さんは微笑みながら、
「でもそのうち、あいつと別れたのかな?
またりっくん、shockに出勤してる回数戻って、僕はほっとしたんだ。
だって、僕が一番りっくんを思ってたのに、僕以上の男はいないのに。
…だから、また時機を見てりっくんに会いに行こうと思ったら…、また、新しい男だよ?」
「……」
「そんな好きもののくせに、また店を辞めようとして。
セックス好きなんでしょ?
僕が満足させてあげるから。
僕とするの、好きだったでしょう?
…何で、僕じゃダメなの?
りっくんの事一番思ってるのは僕なのに!」
そうだ、こんな風にあの時も問い詰められにじり寄られ、俺は階段から足を踏み外して…、
「…俺、あんたのせいで階段から落ちたんだよ。あんた、逃げたよね?」
「りっくんが勝手に落ちたんじゃないか。
それにしても、あんたなんて、そんな呼び方酷いよ、りっくん…」
「触るな」
俺に伸ばされた手を振り払うと、石原さんの形相が怒りに変わっていく。
「そうやって…僕のことを受け入れないなら、このまま攫っちゃうよ?」
石原さんは肩にかけていたトートバッグから、袋に包まれたタオルを取り出す。
そして俺に向かってきた。
なんだ、あれ、なんかの薬品…?
何だか知らないけど、ヤバいやつだ。
俺は非常口から出ようと素早く翻ったが、石原さんの片手が俺を止める。
「離せ!」
「離さないよ。大丈夫。
これを嗅いだらすぐに眠くなる。
目が覚めたら僕達二人きりの世界さ。
ずっと一緒だ」
思ったよりイっちゃってるわこの人。
振り解こうとするも石原さんは俺よりでかくて力も強い。
「嫌だ!……颯真!」
何で彼の名前が出てしまったのだろう。
石原さんは俺を羽交締めにしてタオルを口にあてた。
とたんに意識が遠のき倒れこむ。
遠くで誰かが騒いでいるような声を聞きながら、俺は意識を失くした。……
俺は事務所を出てエレベーターへ向かう。
やっぱり彼は俺が店に来なくなっても定期的にきて、俺が復帰してるか様子を見ていたらしい。
これからどうするか考えながらエレベーターのボタンを押そうとしたところで、非常口の方から声がした。
「りっくん」
振り向くとそこには…慈愛に満ちた表情で微笑む石原さんが立っていた。
「石原さん…」彼がゆっくり近づいてくる。
「ああ、記憶、戻ったんだね。
銀座で会った時おかしいなぁと思ったんだよ。
それから病院の知り合いのつてで調べてさ、入院してた大学病院まで行ったよ。
そしたら記憶喪失になったって聞いて、あの時だよね?僕は心底嬉しかったんだ」
「何を…?」
「だって、またりっくんとやり直せる」
石原さんが少しずつエレベーターへ向かってくる。
「りっくんとまたお客さんとして触れ合える。
…りっくん、セックス大好きなんでしょ?いろんな男とさ。
だから俺の申出断ったんだよね?」
触れられそうになったので逃げてるうちに、今度は俺が非常口の方へ近づいていた。
「それなのに、変な男とつるみ始めてさ…、出勤日減らしたでしょ?
だから、僕、ネットとか電話とかして苦情を言ったんだ。僕、怒ったんだよ?」
嫌がらせの電話、ネットの中傷、やっぱり石原さんだったんだ…。
石原さんは微笑みながら、
「でもそのうち、あいつと別れたのかな?
またりっくん、shockに出勤してる回数戻って、僕はほっとしたんだ。
だって、僕が一番りっくんを思ってたのに、僕以上の男はいないのに。
…だから、また時機を見てりっくんに会いに行こうと思ったら…、また、新しい男だよ?」
「……」
「そんな好きもののくせに、また店を辞めようとして。
セックス好きなんでしょ?
僕が満足させてあげるから。
僕とするの、好きだったでしょう?
…何で、僕じゃダメなの?
りっくんの事一番思ってるのは僕なのに!」
そうだ、こんな風にあの時も問い詰められにじり寄られ、俺は階段から足を踏み外して…、
「…俺、あんたのせいで階段から落ちたんだよ。あんた、逃げたよね?」
「りっくんが勝手に落ちたんじゃないか。
それにしても、あんたなんて、そんな呼び方酷いよ、りっくん…」
「触るな」
俺に伸ばされた手を振り払うと、石原さんの形相が怒りに変わっていく。
「そうやって…僕のことを受け入れないなら、このまま攫っちゃうよ?」
石原さんは肩にかけていたトートバッグから、袋に包まれたタオルを取り出す。
そして俺に向かってきた。
なんだ、あれ、なんかの薬品…?
何だか知らないけど、ヤバいやつだ。
俺は非常口から出ようと素早く翻ったが、石原さんの片手が俺を止める。
「離せ!」
「離さないよ。大丈夫。
これを嗅いだらすぐに眠くなる。
目が覚めたら僕達二人きりの世界さ。
ずっと一緒だ」
思ったよりイっちゃってるわこの人。
振り解こうとするも石原さんは俺よりでかくて力も強い。
「嫌だ!……颯真!」
何で彼の名前が出てしまったのだろう。
石原さんは俺を羽交締めにしてタオルを口にあてた。
とたんに意識が遠のき倒れこむ。
遠くで誰かが騒いでいるような声を聞きながら、俺は意識を失くした。……
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