前世を思い出した侯爵令嬢ののんびり生活

ツナコ

文字の大きさ
18 / 49
第1部

8

しおりを挟む
 3月最初の休みは、モナハンが演奏会に行きたいと言うので、2人で行く事にした。

 モナハンはヴァイオリンを習っていて、姉の私が言うのもなんだが本当に上手。

 才能があると思う。

 モナハンは他の習い事は続かなかったが、ヴァイオリンだけは続いていて、マルテッロ公爵家はオリバー兄様が継ぐので、自分は音楽で身を立てていきたいと言っている。

 今日はモナハンの好きなオーケストラの演奏会で、モナハンは本当に楽しそうに琥珀色の目を見開きながら聴き入っている。

 ふふ、可愛い。

 もしモナハンがヴァイオリニストになれたら、顔も可愛いからきっと人気が出るのではないかしら、とまたまた姉の贔屓目で想像を膨らませてしまった。







 16歳の学年になって、私はお母様からお許しが出たのでランチは主に学園のカフェテリアを利用することにしている。

 カフェテリアはスープ、メイン、デザートを選べるようになっていて、一律2000オル、舞の世界の一円=1オルくらいかな。

 2000オルは街中のカフェランチが500オルくらいだから大分高いけど、一流のシェフが手がけるコースメニューはとても美味しいので、まあ貴族の学園ならこれくらいかな、という料金だ。

 今日は何にしようかなあ、タンシチュー!美味しそう。

 カフェテリアが解禁となって最初はケイトとランチタイムを楽しんでいたのだが、ケイトに彼氏ができたら、ケイトはお昼もウイリアム様と過ごすことが多くなった。

 なので今日もランチは1人。

 だけど1人でゆったりと過ごせる端のテーブル席を発見したので、最近はいつもその席に座っている。

 注文しようとカウンターに近寄ると、「アイシャ?」とキースに呼び止められた。

 「1人なのかい?ケイトは?」

 「ケイトは最近ウイリアム様と一緒だから、1人ランチよ」

 「言ってくれれば一緒に食べるのに」

 「ありがとう。
 でも1人ランチも優雅な気分でいいのよ」

 「そうなの?でも僕が一緒に食べたいな。いい?」

 「それは、もちろん!」
 キースはにっこり笑って、後ろの男友達に断って私と一緒にカウンターに並んだ。

 私はタンシチュー、キースはグラタンを注文してテーブルに座る。

 それから午後一の授業の文法学について話しながら食していると、向こうのテーブルで立ち上がったグループがふと目に入った。

 エリアス達だ。男の子3人と女の子2人と一緒にランチしていたらしい。

 女の子の1人はウィノナだった。

 エリアスは私に気づきそっと手を振って去っていく。

 私も振り返した。

 ウィノナが凄い目で見ている、怖いわね。

 「エリアス王子と親しくなったね」

 「そんな親しくないわよ。
 前の舞踏会からちょっとね」

 「ふうん……」と返事をして、キースは少し黙っていたが、

 「アイシャ、今週末は用事ある?」と聞いてきた。

 「ううん、特には」

 「久しぶりに動物園でも行かないかい?
 前にケイトと3人で行ったよね?  
 10歳くらいかな」

 「うん、そのくらいだったわね。
 いいわね。動物園。
 ランチボックスを用意してもらうわね」
 私は今週末が楽しみになり、微笑んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...