前世を思い出した侯爵令嬢ののんびり生活

ツナコ

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第1部

27

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 次の週からはクラブ活動もお休みとなり、期末試験の準備に入る。

週末にはイーサンが来てくれて、私の苦手な算術を教えてくれることになっていた。

 舞も数学は嫌いだったよね、あまり学校には行けなかったけど…。

 メイドからイーサンの来訪を告げられると、私は少し緊張しながらホールへイーサンを迎えに行き、そのまま2人でまずお父様の書斎へと向かった。

 ノックすると返事があり、中に入るとそこにはお父様はもちろんお母様、お兄様もいた。

 なんだか緊張するわね。

 「お父様、今日はイーサン様に期末試験の勉強を見てもらおうと思って、お呼びしたの」

 「マルテッロ侯爵、お久しぶりです」

 「イーサン、久しぶりだ。
 オリバーと仲が良いと思ったが、いつのまにかアイシャとも仲良くなったのだな」

 「はい。
 ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。   
 アイシャ嬢と、お付き合いさせていただいております」

 「そうか。
 うちの娘は器量良しで性格も申し分ない、素晴らしい娘だ。大事にしてくれよ?」

 やだ、お父様、親バカ…。

 「はい。私にはもったいない方です。
 大事に、大事にいたします。
 よろしくお願いいたします」

 「うん、イーサンなら、私も安心だな。
 今日は夕食も是非共にしよう」

 「はい、是非。
 こちらよろしければ食後のデザートに、チョコレートです」
 とお母様に差し出す。

 「まあ、ありがとう。
 この店のチョコは大好物なの」
 とお母様はニコニコ。

 「こんなにガチガチなイーサンは初めて見た」とお兄様はニヤニヤしていた。

 挨拶を終え私達は部屋でお勉強タイム。

 イーサンは初めて入る私の部屋をキョロキョロと見て、
 
 「…意外だな。もっと…可愛い感じの部屋なのかと思った」と言う。

 「マホガニーの重厚な感じが好きで、集めているの。意外かしら?」

 「うん、でも、俺もこういう落ち着いた色合いは好みだ」

 そんな事を話しながら2人でデスクを囲み、私は算術の本を開いた。 

 「ここが、よく分からなくて…」

 「ああ、これはこの概論を読むと分かりやすい」

 イーサンの教え方はスムーズでとても優しい。

 「イーサンは教えるのがとても上手だわ。 
 他の子にも教えてあげていたのかしら」

 「他の子?」

 「ほら、モテていたじゃない、イーサン、下級生に。
 私はもっと年下で分からなかったけど、ケイトの噂でモテモテだったらしいって聞いたわ」

 イーサンは長い足を組み替えて私ににじりよる。

 「…モテるというか、まあ、告白された事は何度かある」

 ふぅーん?私はもっと知りたくなって、

 「おつきあいはしたの?」

 「まあ…」

 そうよね。
 彼は5つ上で、おつきあいはもちろん性体験もあるわよね。

 凛々しくてかっこよくて頭も良い。

 それは分かっていたけどね、でもまあ、ちょっと気にはなるわよね…。

 「でも、アイシャと恋人になれて、今までの、関係はまやかしだなと思った」

 「まやかし?」

 「そうだ。自分に気持ちがなかった。
 相手を思う気持ちが。
 流されてしまっていた。
 …申し訳ないことをしたと思う。
 俺にはアイシャしかいない…愛している」

 そう言ってイーサンはちゅっと私に軽い口づけをした。 

 …ちょ…誰か入ってきたら…もう…と思いながらも私は嬉しくて

 「私も、イーサン、大好きよ」
 と頬にキスをお返しする。

 私達はしばし見つめあい、イーサンが

 「…早く試験が終わらないかな。
 …アイシャを早く抱きたい」
 なんて言うから、私は恥ずかしくなって、

 「…っ、つ、追試験がないように、イーサン、早く教えてちょうだい!」
 と再び算術の本を開くのだった。
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