星の子星夜と異世界チート能力者

まちゃかり

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第1章

バス攻防戦(空の巻)

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 星夜視点
◇◇◇◇◇◇


 クソ、身体がちぎれそうなくらい走っているのに追いつけない。脚がもつれ、口から血が噴き出て周りに血湖ができた。おそらく肺に血が溜まっていたんだな。バスは俺の頑張りに反してどんどん遠ざかっていく。俺はあの機械を全部諸星に預けてしまっているし、ここは人が居ない山の中でいう場所なのであのバスを見失ったら丸出芭歌やみんなの居場所がわからなくなってしまう。けど、すでに身体中が悲鳴を上げていて、バスに追いつけるような走りが期待できない状況。

「脚が痙攣している。脱水症状も徐々に現れてきているし、ここまでか......」

 もしも俺がバスに乗れていたらと思うと、自分の情けなさに項垂れて泣いてしまった。すると、どこからか甲高い声が聞こえてくるではないか。

「そこの少年。俺はお前を助けに来た。さあ立ち上がってバスを追いかけに行くぞ!」

 そう聞こえたのち、目の前に容器に入ってる水が現れた。俺は死にものぐるいかの如く飲み干してようやく身体が落ち着いてきたのだが、自分以外に誰もいない事を確認。さっきの声は幻聴だったのかと思い立ち上がってみると......

「ハッハッハ! 何ボサッとしているんだ、さあ行くぞ!」

 服にはデカデカと⑨マークが入っていて仮面をつけている屈強な男がいつのまにか目の前にいた。

「あ、アンタは誰だ......?」
「通りすがりのヒーローだ!」
「いやほんとにどちら様ぁぁぁ!?」
「詳しい話は飛んでる途中にでも話そう。さあ早く俺の背中に乗ってくれ!」

 そう言ったあと自称ヒーローは、俺を強制的に持ち上げて自らの背中に俺を乗せた。すると......音速と同じくらいのスピードで飛び始める。俺はヒーローにしがみつくのが精一杯という感じ。ヒーローはこれまでの経緯を説明してくれた。

 このヒーローは匿名希望と言って名前を教えてくれなかった。この人は普段から身分を隠して活動しているらしい。今日は非番だったらしいが、窓から飛び立つ際、バス乗客のツッコミで俺を助けに行こうと決意したようだ。このヒーローによると運転席の方から不気味なオーラが漂っていたのも一つの理由らしいが......

「あのぉ。自称ヒーローを名乗る空飛び人さん。不気味なオーラが漂っていたってつまり、あのバスを運転している人は只者じゃないってこと?」
「分からない。だが君の仲間が君が原因なんじゃないかと言っていたのでな。何か関係性があるのかと思っただけだ」

 バスの中で何が起きてるんだ......!? 俺達は音速のスピードでバスを追いかけるのだった......

◇◇◇◇◇◇◇◇◇
極の巻に続く
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