運命の番はイケメン美形様です

夜ト

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聖獣

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「今日はそれくらいにしよう、そろそろクリスが痺れを切らす」
「ソルさんまだお昼前ですよ」

僕は汗を拭いながら、まだまだ始めたばかりなのに止められた事に不満を漏らす。

「愛し子に力の使い方なんて、基本的に教えないんだ」
「えっ」
「そう」

ソルさんの言葉にルナくんが頷く、ソルさんが言うには愛し子は基本的に力を無条件で出せるが愛し子の願いを勝手に過剰反応してしまい暴走する精霊が多い為に、愛し子はまず精霊の暴走を止められる事を練習するだけでいいみたい。

「えっ、僕の為に無理しちゃったりしているんですか」
「そうだな、普通の吸血鬼ですら力があるが、精霊の力を貸して貰えば更なる力を得る・・精霊の愛し子はまず世界で一番強い存在と言っても遜色ないだろうな」
『違うな、俺様が一番だろう』
「誰だ」

ソルさんははっとなり慌てて剣を構える、辺りには何も居ない。
ひやっとする空気が流れる、僕はキラキラ輝く空気に馴染んでいて凝視しなければ分からないが確かに輝く空気がある。

「ふわふわ」
『クックッ、我を見れるのか流石に緑の愛し子』

ソルさんとルナくんが首を傾けている事を僕は知らなかった。
ソルさんとルナくんには見えないということを。

「えっと、凄く可愛いのに凄く渋い声だね」
『クックッハッハハ気に入った、気に入ったぞまだ精霊達と仮契約だな』

そう、余りにも沢山いた為に一気に契約した、その契約は仮の契約。
僕に精霊達が力を流す事により仮契約をした、仮契約で満足する精霊達ではないので毎日少しずつじゃんけんで勝った5匹が名前をあげて契約にする事に成った。

「えっと、撫でさせてくれる」
『いいぞ』
「でも明日にして、明日の朝じゃんけんで勝ったら契約を」

チュッと僕に力を流し込まれた上にくったりとする僕の身体力を全て奪われた感覚は契約する時に少しだけ似ている。

「うっ」
「奏太様ーっ貴様ーっ」

ルナくんが風で僕浮かす、見えない相手に剣を構えるソルさん。

『おっと、我は奏太と契約をした』
「契約は名前を付ける事が契約の証だろう」

ルナくんがソルさんに待ったをかける、僕も待って欲しい彼は多分。

「せいしゆ」
『否、我は聖獣』

ソルさんはふらつく、ルナくんも驚愕の顔をし聖獣を凝視する。

『緑の愛し子、我に名前をくれ』
「僕で、いいんですか」

僕が知っている聖獣はかなり高貴な存在の筈だ、そんな存在に名前を付けるの、僕が。

『緑の愛し子だいいのだ』
「・・くー様はどうですか」
『犬みたいだな、だがまぁいいだろう』
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