モンドブレッラレスター

図々しい女

図々しい女

「おはようございます、ピリカ優芽ですうっ……うわっ、格好いいーっ、わ・た・しーっアオさんの事大好きなんですうっ、うわっ本当に格好いい」

キラキラした目をした、ピリカ優芽がアオにグリグリと胸をアオに押し付ける。

「……なんなんだよ、アイツ」
「うわっ、凄いねっ」

小野寺飛鳥１８歳が珈琲を飲みながら、唖然とする。
綾小路葵１４歳が台本を読みながらアオに抱き付いている、女を睨み付ける。
周りのスタッフも呆れた様に女をみる。

「あっ、あ…アオちゃん、だ、大丈夫なのかなぁなのっ」

道明寺葉月１１歳がおどおどしながら、小さな声でいう。

「あー大丈夫じゃないか」
「……大丈夫なのか、あれは……なんか嫌な予感がする」

「……嫌な予感って何だよ」
「…んーっあの人ってアオの知名度を狙ってアオに言い寄っている感じがする」

葵はギラギラと光る瞳を見ながら呟く、葵は大富豪の綾小路家に生まれた為人を見抜く力は備わっている自負がある。

「……うわっ、うわっないですっなのっ」
「えげつないなぁ、まぁこの世界そのくらいじゃないと生き残れないかぁ」

ゴクリッゴクリッと砂糖を大量にドバドバと入れる、葵は軽くドン引く。

「よくそんなの飲むよね」
「……太りますなのっ」
「……大丈夫だ、筋トレしてるし」

がやがやと五月蝿くなる、スタッフの声に三人は反応して立ち上がる。

「小野寺さんと綾小路さんと道明寺さんとアオさんがピリカさんを取り合って下さい」


「ふーっ……何回目だよ」
「しっ、仕方ないのなの」

葉月は飛鳥を宥める、スタッフの一人が飛鳥の髪を整える葉月はペタペタとメイクをされている。
そして、アオと葵がピリカと戯れているシーンを撮影している。

「……進まないですね」
「……あの子ただのぶりっ子なだけで、全然演技できないのね……まぁ初めてだから仕方ないかもしれないけれど……余りにも……」

葉月がクスリと笑う。

「僕も初めてのとき、アオちゃんに助けてもらったなの」
「あー……俺もだわ」
「クスックスッ同じなの」

葉月は人見知りで恥ずかしがり屋で無口だったが、アオや仲間のお陰で今がある。
今も特定の人でないと苦手だが、無口は少しずつ改善された。

「ピリカさん落ち着いて、深呼吸しましょう」
「アオさんーっ」

目がハートになっているピリカにアオは宥めながらやる気を出させようとしている。

「アオちゃん、無駄じゃないその女」

ボソリッと喋る葵にアオは苦笑いをしながら、ぎゅっとピリカの手を握る。

「葵や飛鳥に葉月と私を好きな気持ちになってください、四人から告白をされてドキドキする気持ちを浮かんで下さい」