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第11話
しおりを挟むそれからの数日間。
私は自問自答を繰り返していました。
本当にこれでよかったの?
介入したことで襲撃の顛末が夢とは違う展開になるのは確実です。
その結果、私の家族はどうなるのか。
カロン一味は?
そして、カロン一味と対決することになるかもしれないオッドは?
凶悪なカロン。人の命を奪うことに何のためらいもない。
本当に本当にこれでよかったの?
不安です。
夢の中でヒリング家襲撃が行われた当日。
私がオッドに教えた日。
オッドは緊張した面持ちで出かけて行きました。
泣きそうな顔で見送る私に、無理やり作った笑顔を向けて。
暗い部屋の真ん中でひざまずき、両手を重ねて神様に祈り続ける私。
オッドが無事に帰ってきますように。
でも、帰宅が遅い。
待てども待てども帰ってきません。
すでにとっくに襲撃を終えているはずの時間。
そもそも本当に夢の通りカロン一味はヒリング家の屋敷に押し入ったのでしょうか。
私はついに矢も盾もたまらなくなり外へ飛び出しました。
夜の道をそのまま駆ける。
追い出された我が家へ向かって。
遠いけど道は分かる。
もはや懐かしく思える屋敷が見えてきました。
門の前でたくさんのランプの明かりが動いています。
やっぱり何かはあったんだ。
家に近づくとすぐに、大勢の人の中に柔らかな光に照らされ浮かび上がるオッドの顔を見つけました。
ああ、オッドは無事だ。よかった!
「オッド!」
私は声を掛けました。
オッドが顔を上げる。
「メラニー! どうしたの? こんなところに来ちゃ危ないじゃないか」
「だ、だって」
言いよどむ私にオッドは笑顔を見せました。
「まぁ、もう大丈夫だけどね。何人かケガ人は出たけど大捕物は終わったよ」
「え……カ、と、盗賊団は?」
「盗賊団は何とか全員捕縛した。僕達が待機していた庭で乱戦になって、賊の一部が離れに立てこもったんで時間はかかったけどね。襲撃は本当にあったんだ。お手柄だよ、メラニー」
「そう……」
「ヒリング家の人達もみんな無事だ。ほら、ご主人が来る」
オッドが庭の方を見やります。
本当だ。父が、こちらに向かって歩いてくる。
私は思わず顔を伏せる。暗いから肌の色は分からないはず。
それに髪型は変えているし、服はオッドに買ってもらったワンピースを着ている。
私とは分からないはずです。
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