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第12話
しおりを挟む「ご苦労様です。賊どもの駆除、誠にありがとうございました」
現場の指揮をとっていたに違いない警ら隊部隊長のオッドに父は頭を下げ、挨拶をしました。
「それにしてもまさか本当に今日襲われるとは。疑うようなことを言って、まったく申し訳ない」
「いえいえ、こちらも明確な根拠を示せないまま、庭で待機させてくれとお願いしたわけですから」
オッドが笑う。
どうやら父は大勢の警ら隊員達が庭に入り込むことをあまり快く思わなかったのでしょう。
手入れを怠らない自慢の庭が荒れてしまいますからね。
「パパー!」
妹のミアが小走りに駆けてきました。その後ろから母も。
「一人娘と妻です」
父は簡単に紹介する。
「強くてカッコイイ隊長さん、ありがとー!」
ミアは無邪気な風にオッドに抱き着きました。
私だって抱き着いたことなんてないのに。
「いや、そんな風に言われると照れるなぁ」
ポリポリ頭をかくオッド。
私も家に帰ったらいっぱい言ってやる。今日はついに盗賊団を捕まえて、すごくカッコよかったよって。
捕まえるとこ見てないけど。
「ところで」
父がぽつりと言いました。
「やはり気になって仕方がないのです。どうして今夜うちが襲われると分かったのですか? 情報提供者がいたのでしょうけど」
オッドは満面の笑みを見せました。
「実は素晴らしい働きをしてくれた人がここにいるのです。お礼なら彼女に是非」
後ろにいた私を手の平で指し示すオッド。
や、やめて……オッド……。
名前は呼んじゃダメ……。
「と言いますと?」
父の質問にオッドは変に鼻高々な様子で答えました。
「今夜起こることを夢に見て教えてくれたのですよ。まるで予知夢です」
父は目を丸くします。
「夢? 夢ですと? そんな馬鹿な」
冷や汗を流しながら俯いてたたずむ私に注目する父、母、ミア。
じっと見ている。
「部隊長さんは確かにすごくお強い方だが、物事の認識は多少ズレておられるようですな。予知夢なんて有り得ないでしょう」
不審を隠さない声色で失礼なことを父は言い放つ。
ミアが私に近づいてきました。
どうしよう。
足が固まって動かない。
私の前に立ったミアは、私の顔を覗き込もうとする。
私はさらに深くうつむき顔を隠す。
ミアは持っていたランプを持ち上げ、ぐいと私の顔に突きつけました。
私の顔は光に照らされる。眩しい。
「あっ!! 雌犬だっ!」
ミアが叫びました。
私はきゅっと身を固くする。
胸が苦しい。
父と母の驚愕の表情。
目が合う。
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