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出会い
戴冠式
しおりを挟む私の名が読み上げられた瞬間、広場が歓声に包まれた。
式典が行われる台座を取り囲む2万人以上の国民を見渡すと、あぁ、私、この国の女王になったんだ…と、今更ながら実感が湧いてくる。
そして、つい1か月前まではこの立場だったはずの母の事を思うと、思わず涙が滲んできて、私は少し俯いた。
「では、女王陛下から御挨拶を頂きます」
大臣がそう読み上げ、陛下、と私を促す。
しかし、私からは何も言葉が出てこない。
(やばいっ、なんて言うんだっけ…!
緊張しすぎて忘れたぁっ…!!)
私が真っ青な顔で震えていたその時、隣から小さな囁き声が聞こえた。
「姫様…いや、女王陛下。しゃんと背筋を伸ばしてください。
今この瞬間から、あなたはこの国を背負って立つ人間になるのです」
アークは、私にそう言った。
「アーク…」
私はアークの顔を少しの間見つめ、きっと前を向き直った。
「皆さん、こんにちは」
セリフは忘れたけど、大丈夫。
「私はサテラです。えっと、今日からこの王国の女王を務めさせていただきます」
大きく深呼吸をする。大分落ち着いてきた。
「私は小さい頃に父上を亡くし、唯一の…遊び相手であった兄も戦で亡くして以来、ずっと1人でした」
大臣たちが息を呑むのが分かった。
「何で私だけって、神を恨んで…幸せそうな家族を見る度に唇を噛み締めていました」
「おい、台本と違うぞ!?」
「やめさせろ!!」
騒ぎ始める大臣達をアークが一瞥して黙らせる。
「そんな時でした。リリア…私の大切な友達が、ある言葉をくれたのです」
リリアは聞いているだろうか。なんだか照れくさいけど。
「『幸せって風船だと思うの。だから、上を見上げてジャンプしないと、取れないんだよ』…って」
話していて、自然に微笑みが漏れた。
「よく考えたら使用人のくせにタメ口だし、ただの思いつきみたいな言葉だし、本当にバカみたいな奴なんだけど…」
後でリリアからお説教かな、と少し後悔する。
「…それでも、すごく、救われたんです」
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