神級スキルを授かったら皇帝から褒美をやると言われたので、可愛い嫁と領地をもらった 〜嫁とイチャついてたら、気づけば神造領地と呼ばれてた〜

まっさん

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序章 転生と辺境の村

歓喜と祝宴

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 賦与の儀式がおわり昼間から村は、祭りのような熱狂に飲み込まれていた。

「ノエルが神様に選ばれた!」
「俺たちの村から神級スキル持ちが出るなんて!」

 老人は涙を流しながら孫を抱き上げ、子供たちは嬉しそうに走り回る。
 普段は穏やかで静かな村が、この日ばかりは笑いと歓声で溢れていた。
 誰もが誇らしげに胸を張り、まるで自分が祝福されたかのように喜んでいる。

 ノエル自身はまだ胸の奥に不思議な熱を抱えながら、村人たちの輪に混じって笑みを浮かべていた。
(……本当に、すごいことになっちゃったな)



 やがて広場に長机が並べられ、祝宴の準備が始まる。
 家々からパンやスープ、獲れた野菜や干し肉が運び込まれ、村の女たちは次々と大鍋を火にかけていく。
 焼いたジャガの香ばしい匂い、煮込んだ豆のスープ、干し肉を使った煮込み料理。素朴だが力強い料理の数々が机を埋め尽くす。

「ほら、これでも飲め!」

 若者が大きな樽を開けると、果実を発酵させた甘酸っぱい香りが広場に漂った。
 手作りの酒が振る舞われ、男たちは陽気に歌い出す。

「♪神童ノエル、神様ノエル~!」

 調子外れの歌に村人たちが笑い転げ、広場はどんどん熱を帯びていく。

 子供たちは焼き菓子を奪い合い、母親たちが笑いながら「こら、ちゃんと分けなさい!」と叱る。
 年寄りは腰を下ろして穏やかに杯を傾け、若者たちは肩を組んで大声を張り上げる。

 その光景は、豪華さこそないものの、どこよりも温かい「村の祝宴」だった。
 ノエルはその中心に座らされ、村人たちから次々と盃を勧められていた。



「ノエル兄ちゃん!」

 小さな子供が駆け寄り、胸を張って叫ぶ。

「僕にも神様の力ちょうだい!」

 周りの大人たちがドッと笑い声を上げた。

「こらこら! ノエルにそんな無茶を言うんじゃない!」
「兄ちゃんはまだ儀式を終えたばっかりなんだぞ!」

 別の子が無邪気に言う。

「ノエルがいれば、もうお化けも怖くないね!」

 ノエルは苦笑いしながら子供たちの頭を撫でる。

「俺はまだ何もしてないよ。ただスキルをもらっただけさ」

 そう言いながらも、子供たちの瞳に宿る憧れの輝きを見て、胸の奥がくすぐったくなる。
(……みんな、本当に俺に期待してくれてるんだな)



 盃が次々と空き、広場の熱気はさらに高まっていった。
 酔った若者がどんと立ち上がり、声を張り上げる。

「ノエルー! 次は村に金銀財宝を降らせてくれぇ!」

 その一言に、広場全体が大爆笑に包まれた。

「おいおい、それは神様に頼め!」
「いやいや、今やノエルが神様みたいなもんだろ!」
「だったら俺は嫁を降らせてくれ!」

 男たちが調子に乗って次々に叫び、女たちが顔を赤くして「バカ言うな!」と皿で頭を叩く。
 ノエルは両手を振りながら必死に否定した。

「いやいや、俺そんなことできないから!」

 その必死なツッコミがまた笑いを誘い、祝宴はますます賑やかになる。
 誰もが笑顔で、誰もが幸せそうだった。



 だが、そんな喧騒の中で、ひとりの老人が静かに盃を掲げた。
 皺だらけの顔に浮かぶ微笑は優しかったが、その言葉は重かった。

「……だが、こんな力を持つ者が現れたとなれば、帝都も放ってはおくまいな」

 その一言に、場の空気が一瞬で静まり返った。
 酔いで赤らんだ顔が揃って黙り込み、遠くで鳴く夜鳥の声さえ響いてくる。

 やがて誰かが「そんな先のこと気にするな!」と声を上げ、再び笑いが広がった。

「帝都より、今は祝いだ!飲め飲め!」

 盃が再び打ち鳴らされ、歌声が広場を包み込む。

 だがノエルの胸の奥には、老人の言葉が深く刺さっていた。
(……やっぱりそうだよな。神級スキルなんて、村だけの話じゃ済まない)



 村人たちの笑顔を眺めながら、ノエルは心の中で強く誓った。

(この力で必ず皆を豊かにする。この村を、誰もが安心して暮らせる場所にするんだ)

 同時に冷静な思考が頭をよぎる。
(帝国、他国……彼らが黙って見過ごすはずがない。いつか呼び出されるだろう。その時、俺はどう動くべきか……)

 胸の奥に広がるのは、期待と同じくらいの不安。
 だが今はそれを顔に出さず、笑顔で盃を掲げる。

「今はみんなで楽しもう!」

 その声に、仲間たちが笑顔で応えた。
 レオンが大声で歌を歌い始め、マルクが机を叩いてリズムを取る。
 サラは笑いながら新しいスープをよそい、エリオットは子供たちに剣の真似事をして見せていた。



 そして昼間から始まった祝宴は夜も続いていく。
 笑い声と歌声に包まれる中、ノエルはふと空を見上げた。

 澄んだ夜空には無数の星々が瞬き、まるで未来を暗示するようにきらめいている。

「さあ……これからが本当の始まりだ」

 そう小さく呟き、盃を口に運ぶ。
 星明かりと焚き火の光に照らされる少年の瞳は、確かな決意を宿していた。

 歓喜と祝宴に包まれたその夜――。
 ノエルの物語は、静かに次の幕を開けようとしていた。




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