【完結】四ばあちゃん、二度目の人生

大江山 悠真

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セリ 4

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セリと出会えて幸せだなとハロルドと話しあう。
セリには、まだ明かしていないが私たちはゴード国の双子の王子だ。
現王の父上には3人の息子がいる。3人とも同じ年に生まれた。私たちは正妃の子供として、義弟は側妃の息子として生まれた。
母上は僕たちを産んで間もなくなくなったそうだ。義母は僕たちを自分の息子と同じように魔力を与え乳をくれ育ててくれた。
王族に嫁いだ義母の子育てはゴードでも、めずらしく当時はいろいろなことを言われたようだ。
父上も義母上も当時、卵だった私たちに愛情を込めた魔力を与えてくれた。
感謝しても足らぬ、特に義母上には。

その父上や母上に5年ほど前から会えなくなった。弟も同じだ。
弟が王太子となったのは3人の中で一番強かったからだ。弟は私たちよりはるかに武術に優れていた。
私とハロルドはどちらか言うと文官で、王国管理とか外交を好んで担当する傾向があったのだから、弟の王太子になることにいささかも不満はない。
弟が王になれば、私かハロルドが宰相になり、もう一人が侯爵にこうか臣下するようになるはずである。
これも、また我々の間では了承事項である。
なのに5年も私たちは王と王妃に面会できなかった。
私たち二人だけでなく弟もだ。その弟が1年前から姿を現さなくなった。
なぜだ、宰相に聞いても首を振るだけで理由がわからない。
宰相は父上の弟で今まで20年以上宰相として父上を支えてきたのだ。ご自分も父上が引退したら同じように引退すると明言している。

王国が徐々に軋みだした。当り前だ、王と王妃が公式式典で5年間も顔を見せない、1年間王太子も式典に顔をみせなくなった。貴族が騒ぎ出さなかったのが不思議だ。そこまで宰相の叔父上が抑えていたのだろう。勿論、私たちも貴族の不満を抑えるように動いた。
ただし、限界がある。いくら有能な叔父上といえども王太子すら公式式典に出席しないようでは収まらない貴族が多くなる。いわゆる自分の娘や義理の娘を王太子の正妃、側妃にしようとする貴族たちが騒ぎ出した。
我々も、もう18歳となり成人なり結婚も可能なのだから。

このようなときにダルトから、ティラを倒した冒険者が現れた。
その冒険者は黒目黒髪の女性と聞いた時すぐに”祝福の女性”を思い浮かべた。
我々の推察に驚いたようだが、宰相の息子でもあり我々の従兄でもあるドローナックが転移魔法でダルトに送ってくれたのだ。
ドローナックは自身もハロルドか私を目標にたまに転移してくることがある、勿論一人でいるのを確認してから転移するので多分、セリは気づいていないと思う。
従兄のドローナックも父上や王太子のバルナルドを心配している。
城内で生きているのはわかっているのだが、会えない。その理由が不明で叔父上も言うことが契約の魔法で出来ないそうだ。

セリと出会った時、ハロルドも同じように感じたそうだが”番”と感じた。
見つけた”番だ”本能がささやいた。こうなると我々は弱い。理性より本能に従う。
セリにちょっかいをかける者たちは、目に余るようなら排除したが排除しきれるものではない。
スメルマに行く途中もアーミアに襲撃されるしティラはいるし、セリが身体強化と隠蔽をかけてくれなければどうなっていただろう。スメルマからゴードに行くまで出来るだけ信頼してもらえるように頑張ったつもりだが、いかんせん王が不在で力ある者たちが女性を囲いはじめて街の雰囲気が荒んでいる現状でゴード国に滞在してくれとは言えなかった。我々二人の力ではセリを守り切れない。また、セリの魔法の使い方は独特で学べなかったのだ。
そういう訳で私たち兄弟は現在、ハーフ国マコリッド辺境伯爵領にあるシュナイダ砦に滞在している。

驚いた、この砦に来れてよかった。
この砦の者たちの魔法の使い方は、驚くべきものがある。風呂という物は水魔法でまず水を入れる。火魔法で暖かくする。火魔法を使い暖かくするつもりが熱くしすぎて”熱湯にしてどうするのだ!!バロッグ”とロイに怒られた。シャワーはセリに教えられていたが、たまに風呂にはいるのも疲れが取れていいもんだと感心した。わが国でも作ろうと思う1つだ。
食事もわが国と比較にならぬほど美味しい。野菜を洗うのも鍋や食器を洗うのも水魔法を使うし調理の水も魔法だ。火も魔法で炒るし炙るし、焼く。竈は土魔法で作る。着たものの洗濯は水魔法と風魔法だ。
彼らは毎朝魔法循環を行い魔力を上げている。特に子供は魔法循環で魔力の伸びが良いそうだ。
魔力を圧縮し玉のようにし魔物を狩る。魔力がある限り子供でも年を取ったものでも狩りが出来るのだ。力が衰えたからといって食べれなくなることはない。これもわが国に導入したい。
ハロルドも私も話を聞いたドローナックでさえ魔力循環するようになった。
アクトやロイ、ジイ、ラッド、エドたちの剣の使い方も独特だ。魔力を込めて剣に纏わし魔物を斬る。
ロイ、ジイ、ラッド、エドたちは元はCクラスの冒険者で私たちと同じ強さだったのが、今ではSクラスでキングスネークやワイバーンも狩れるようになったそうだ。

この砦は、祝福の女性のシズ様が造られたそうだが、畑や道路は自分たちが整備したそうだ。
手の空いた子供たちが砦中央の道をきれいに舗装し、大型の馬車2台が楽にすれ違える。
畑の側に荷駄車用の道が舗装され果樹が植栽されている。畑には水路が通り水魔法や風魔法で撒きやすく整備され土と腐葉土と言われるものが魔法で混ぜて成長を促されている。
囲まれて攻められても飢えることがないように考えられているのだ。
魔力が余れば農地を耕し良い土を作るか道路を伸ばしている。
整備された道路は馬車が走りやすく輸送に時間がかからない。
ルベンの街まで以前ならば、片道2日かかったのが道を整備して1日で着けるようになったらしい。
そのためルベンの魚が冷凍して砦で料理されている。

オイ、いつの間に来たんだドローナック。夕食を食べにシュナイダ砦に転移しただと。
今夜、宿に1泊して帰る。そうか夕食を一緒に食べて打ち合わせようか。
そうなのだ、道が舗装されて快適になったものだから商人がここを通るし宿泊するのだ。
ここの宿屋は親父とその妻と娘で運営されている。掃除は風魔法でしているし、シーツや毛布の洗濯は水と風魔法だ。毎日洗濯されているから気持ちがいいのだ。

さぞかし魔力が強い人間ばかりがいそうだが、とんでもない孤児と元冒険者しかいないそうだ。
それが、非常に過ごしやすい場所になっている。
これならば人が集まる。事実、他の場所で生活できない者たちがここに助けを求めギルドが手を貸して生活できるようにしているのを見た。


このような場所を、我々も国に作りたい。民が落ち着いて暮らせるように。
そのためには王や王太子、正妃が元気な顔を皆に見せて下さらねば。
少なくとも私たち兄弟が力をつけ、王や王太子の助けになれるようにせねばな。
ドローナックそこで食べてばかりおらず考えろよ、どうすればよいか。
誰が考えるふりをして私のエールを飲めと言った?蟹を食べていいと言ったか!




   
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