テラへ愛を捧ぐ

大江山 悠真

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結局人間って大きな顔していて進化の頂点だとうぬぼれていたけど大したものじゃなかったのよね。
今回身に染みて理解しました。
考えてみてよ、水が止まったら食事の用意も風呂もトイレも使えないわけ。
むかしむかし、雪隠とトイレが言われてたそうだけど同じように外でするしかないような状況になったわけよ。
真剣に、二度いうわよ真剣に考えました。異世界小説のようにスライムなるものがいて石だろうがゴミだろうが排泄物だろうが消化してほしいと切に願いましたが見つかりませんでした。
由紀ちゃん哀しい。
周辺の家々も同じようなものですごい臭気が漂っている、笑い事じゃないからね!

山に探しに入るのも獣?魔物?たちがいて危ない。
一度ウサギのようなものがいたので、可愛いなと遠めに見てたらなんとそのウサギに大きな角があり大型犬とバトルを始めたの。
博と私、思わずホケーと見てましたよ。
亀岡の端は丹波牛を育てている農家さんが多かったのよね。
津波以降、2本頭の牛が道路をのし歩いてた。頭が2つあるんだ~っておもわずその時もガン見しました。

話を戻すわ、トイレよトイレ。
頭を悩ましたけど水魔法で流して毎日溜まった汚物を火魔法で完全乾燥して土に混ぜることにしたの。
多少臭気は発生するけどこの2,3か月よりましな状況となったわ。
祖父ちゃんも私たち兄弟も幸田君も何故か生活魔法は最低限使えるのよね。
逆にいうと魔法が使えない人は生きていけない状況。
使えないからいつもいつもお願いしますでは私たち自身の生活が営めないからやむ負えないわよね。
魔法を使えない人は最後ご近所の皆さんに助けてくれないと不平不満を述べてどこかに行かれたわよ。
それだけ、生き残った人間は厳しい環境で生活しないといけないわけよ。
寒いからとか火をおこすためとかで簡単に木々を伐採した人は森の魔物に殺されてたわ。
枝葉や枯れ木、つる草をとるのは別に襲われたりしないのだけど木々を無駄に切り倒すのは駄目みたい。

私たちは祖父ちゃんが耕した田んぼに稲を植えたり、家の前の畑に野菜を作ったりしていたけど不思議なことに作物の収穫は順調だったのよね。
まあ、自分たちの口を養う程度だったけど…。
耕作放棄された田畑に汚物の肥料を混ぜたり落ち葉を混ぜたりして土をつくる一方で、私たちは収穫したものをせっせと自宅の地下に保存した。
果物も柿は干し柿にしたし、葉はお茶になるので乾燥して保存した。
冬がきたら作物が出来ないと思うから。
冬の服は引っ越しで持ってきたものしかないし、幸田君は着の身着のままでいついたから博の服を分けてたけど、ちょっと小さめだし。
暖房なんてあるわけないしね。
冬に向けての対策も必要だなと悩んでたら、幸田君が狩りの練習するぞって言いだした。
狩りをするの?
狩りをするということは獲物を解体しなきゃいけないのではと恐る恐る男性陣に確認したら当り前だろう見たいな顔された。
おかしいでしょう!
今まで私は肉という物は、牛肉でも豚肉でも鶏肉でも魚でも切り身ですべて購入してたのですよ。
あんた達も同じだよね!
学校でも解剖なんてこと習ったこともないわよ!誰が解体するのよ。
平然と俺たちがするからって言わないで…血抜きも必要なのよ!わかってるの?
わかってるが解体しないと肉が食えないだろうが、俺たちは肉が食いたいの!魚なんてここにはいないだろう。
河はあるけど海は遠いのだからな。
魔物だろうが獣だろうが食えりゃいいの。
試してみなきゃ食えるかどうかわからないだろう。
だから狩りの練習するぞ。魔物が多くなりゃ身を護るためにも戦えるようにならなとい死ぬからな。
魔物の毛皮は冬の布団にぴったりだ。
翌朝から博と幸田君は家と田畑の周囲に土塀を作り始めた。外敵から身を護るためだそうだ。
そうよね、角があるウサギをよく見かけるようになってるもんね。私も手伝うよ。
外堀は深く掘るようにすればいいのね、わかった。
そうよね、雨が降れば水も貯めれるし魔物たちも侵入しづらいよね。
柿の木や無花果の樹の後ろにも土塀を作ればいいのね、了解。
お祖父ちゃんは腰痛めないようにしてね。
こうして2日かかって土塀を作り上げた私たちは土塀の上から、魔法でウサギの魔物を撃つ練習を始める予定。

姉ちゃん、もう寝ろよ。明日から狩りの準備もしなくてはいけないからな。
明り魔法をつけてグズグズ悩んでいた私は博から注意され目をつぶりここでの生活を思い出していた。
私たちの朝は早い。明るくなると同じぐらいに起きないと電気がない今は、あとが辛くなる。
顔を水魔法で洗い、顔を洗った水や食器を洗った水はすべて田畑に撒く。顔を洗ったら畑で収穫。収穫したもので朝食の雑炊を作る。博と幸田君は次の田んぼを作るために土を混ぜていく。お祖父ちゃんは今日食べるコメを半分白米半分は玄米にしてくれる。その後汚物を乾燥させてくれる。私も雑炊を火にかけると洗濯をし始める。水を湯にして洗濯ものを風魔法で回して絞る。これだけで随分汚れが落ちるのよ。石鹸は手に入りにくいので使うのは慎重になる。一仕事終えてから朝食。その後水を撒いて祖父ちゃんは家の掃除。
私たちは土塀作りが終了したので森の周辺で小枝、枯れ木、つる草等を刈る。これは夜の焚き木に使う。
今の夜空は星がきれいにみえるのよ。周囲にも電気がないから。陽が落ちたら真っ暗になる。
真っ暗の意味が分かったわ。困ったので夜はしばらく玄関に火を焚くようになった。
玄関先で大人4人が火の明り頼りに本を読んだりしている。
その風景はちょっと引くかなと考えながら眠りに落ちたみたいだ。



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