5 / 11
5 悩ましきティー
しおりを挟む
「ほんとに、もうダメなのかしらぁ~って落ち込んじゃって、痩せちゃって?」
「ええ」
「お肌もガサガサになっちゃって、酷い有様よ」
「今は艶々してるわ」
「そう! なぜだかわかる!? ……わかるでしょぉ~ん???」
「ええ」
「デェェービッドよぉ~っ! キャァァァァアアッ!!」
凄い雄叫び。
一生分の興奮を詰め込んだ感じ。
それでも行儀よく紅茶を飲むんだから、さすが伯爵令嬢よ。
いえ、ほんとに。マナーを言ったらデビッドよりよっぽど洗練されている。
「……ひっ、く」
そんなデビッドはレモンを齧りながら泣いてるわ。
無様ね。
「……」
そんな顔をしてじっと見てもダメよ。
助けない。
「王子様なのっ!! 本当よ! 颯爽と現れて宝石と薔薇の花束を孔雀の羽みたいにバッと広げて求婚してくれたのぉ~っ!!」
どんな手法よ。
手伝うライルズ伯爵家の使用人も異常だわ。
「それでねっ、まずあなたの事を正直に説明してくれたのよ? 誠実でしょお?」
「ええ。そうね」
力いっぱい頷いた。
たぶん、彼女に罪はないし。
「愛と信頼で結ばれた両家の天使ちゃんたちが、こっ……んなちっちゃな頃から一緒に育って、絆を育んだのね。素敵っ! デビッドはあなたが如何に素晴らしい人物かを誠実に語って、それから、ふたりが兄妹のような愛情を互いに持っている事、その上で私たちの恋を応援してくれたって事を聞かせてくれたのぉっ!!」
「……そう」
酷い求婚ね。
前の女について語るって、なんなの?
こっちで無礼なアホは、あっちでも同じだったと。
それなのに、キャスリンは心底デビッドを王子様だと感じているみたい。
ふしぎ……
「愛してるわっ、モリーっ!! 本当に思った通りの人だった! 愛らしくて優しくて、それでいて凛として、あなたこそ神様に愛された世界一の宝石、神様の最高傑作よぉんっ!!」
「そんな事ない」
「いいえっ!!」
悪い人ではないのよ。
ただ、非常に、困惑する。
むず痒い感じ。
だって、無邪気なだけに邪険にできないじゃない。
それにデヴィッドなんかどうなってもいいけど、彼女にはアホなデヴィッドのせいで悲しんだりしてほしくない。
「……」
え?
私、もしかして、キャスリンにデビッドが人格的に劣るという意味で、彼女には釣り合わないと思ってる???
「……」
複雑。
「私、一生をかけてデヴィッドを幸せにする! 命をかけて愛するわっ!! 見ててぇ~っ!! もし私が悪い事をしてしまいそうになったら、どうかモリー、私を叱ってね? あなたたちにとって、相応しい私で在りたいのぉん」
「! ! !」
ダメよ、デビッド。
そんな目で縋ってもダメ。
「モリー……っ、本当にありがとうっ! 私、最高に幸せよぉっ!」
「よかったわ」
待って。
待って待って。
すっごく複雑なんだけど!!
「ええ」
「お肌もガサガサになっちゃって、酷い有様よ」
「今は艶々してるわ」
「そう! なぜだかわかる!? ……わかるでしょぉ~ん???」
「ええ」
「デェェービッドよぉ~っ! キャァァァァアアッ!!」
凄い雄叫び。
一生分の興奮を詰め込んだ感じ。
それでも行儀よく紅茶を飲むんだから、さすが伯爵令嬢よ。
いえ、ほんとに。マナーを言ったらデビッドよりよっぽど洗練されている。
「……ひっ、く」
そんなデビッドはレモンを齧りながら泣いてるわ。
無様ね。
「……」
そんな顔をしてじっと見てもダメよ。
助けない。
「王子様なのっ!! 本当よ! 颯爽と現れて宝石と薔薇の花束を孔雀の羽みたいにバッと広げて求婚してくれたのぉ~っ!!」
どんな手法よ。
手伝うライルズ伯爵家の使用人も異常だわ。
「それでねっ、まずあなたの事を正直に説明してくれたのよ? 誠実でしょお?」
「ええ。そうね」
力いっぱい頷いた。
たぶん、彼女に罪はないし。
「愛と信頼で結ばれた両家の天使ちゃんたちが、こっ……んなちっちゃな頃から一緒に育って、絆を育んだのね。素敵っ! デビッドはあなたが如何に素晴らしい人物かを誠実に語って、それから、ふたりが兄妹のような愛情を互いに持っている事、その上で私たちの恋を応援してくれたって事を聞かせてくれたのぉっ!!」
「……そう」
酷い求婚ね。
前の女について語るって、なんなの?
こっちで無礼なアホは、あっちでも同じだったと。
それなのに、キャスリンは心底デビッドを王子様だと感じているみたい。
ふしぎ……
「愛してるわっ、モリーっ!! 本当に思った通りの人だった! 愛らしくて優しくて、それでいて凛として、あなたこそ神様に愛された世界一の宝石、神様の最高傑作よぉんっ!!」
「そんな事ない」
「いいえっ!!」
悪い人ではないのよ。
ただ、非常に、困惑する。
むず痒い感じ。
だって、無邪気なだけに邪険にできないじゃない。
それにデヴィッドなんかどうなってもいいけど、彼女にはアホなデヴィッドのせいで悲しんだりしてほしくない。
「……」
え?
私、もしかして、キャスリンにデビッドが人格的に劣るという意味で、彼女には釣り合わないと思ってる???
「……」
複雑。
「私、一生をかけてデヴィッドを幸せにする! 命をかけて愛するわっ!! 見ててぇ~っ!! もし私が悪い事をしてしまいそうになったら、どうかモリー、私を叱ってね? あなたたちにとって、相応しい私で在りたいのぉん」
「! ! !」
ダメよ、デビッド。
そんな目で縋ってもダメ。
「モリー……っ、本当にありがとうっ! 私、最高に幸せよぉっ!」
「よかったわ」
待って。
待って待って。
すっごく複雑なんだけど!!
100
あなたにおすすめの小説
姉の婚約者に愛人になれと言われたので、母に助けてと相談したら衝撃を受ける。
佐藤 美奈
恋愛
男爵令嬢のイリスは貧乏な家庭。学園に通いながら働いて学費を稼ぐ決意をするほど。
そんな時に姉のミシェルと婚約している伯爵令息のキースが来訪する。
キースは母に頼まれて学費の資金を援助すると申し出てくれました。
でもそれには条件があると言いイリスに愛人になれと迫るのです。
最近母の様子もおかしい?父以外の男性の影を匂わせる。何かと理由をつけて出かける母。
誰かと会う約束があったかもしれない……しかし現実は残酷で母がある男性から溺愛されている事実を知る。
「お母様!そんな最低な男に騙されないで!正気に戻ってください!」娘の悲痛な叫びも母の耳に入らない。
男性に恋をして心を奪われ、穏やかでいつも優しい性格の母が変わってしまった。
今まで大切に積み上げてきた家族の絆が崩れる。母は可愛い二人の娘から嫌われてでも父と離婚して彼と結婚すると言う。
心から信頼していた婚約者と幼馴染の親友に裏切られて失望する〜令嬢はあの世に旅立ち王太子殿下は罪の意識に悩まされる
佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢アイラ・ミローレンス・ファンタナルは虚弱な体質で幼い頃から体調を崩しやすく常に病室のベットの上にいる生活だった。
学園に入学してもアイラ令嬢の体は病気がちで異性とも深く付き合うことはなく寂しい思いで日々を過ごす。
そんな時、王太子ガブリエル・アレクフィナール・ワークス殿下と運命的な出会いをして一目惚れして恋に落ちる。
しかし自分の体のことを気にして後ろめたさを感じているアイラ令嬢は告白できずにいた。
出会ってから数ヶ月後、二人は付き合うことになったが、信頼していたガブリエル殿下と親友の裏切りを知って絶望する――
その後アイラ令嬢は命の炎が燃え尽きる。
まさか、今更婚約破棄……ですか?
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
チャールストン伯爵家はエンバー伯爵家との家業の繋がりから、お互いの子供を結婚させる約束をしていた。
エンバー家の長男ロバートは、許嫁であるチャールストン家の長女オリビアのことがとにかく気に入らなかった。
なので、卒業パーティーの夜、他の女性と一緒にいるところを見せつけ、派手に恥を掻かせて婚約破棄しようと画策したが……!?
色々こじらせた男の結末。
数話で終わる予定です。
※タイトル変更しました。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
婚約破棄されたショックで前世の記憶を取り戻して料理人になったら、王太子殿下に溺愛されました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
シンクレア伯爵家の令嬢ナウシカは両親を失い、伯爵家の相続人となっていた。伯爵家は莫大な資産となる聖銀鉱山を所有していたが、それを狙ってグレイ男爵父娘が罠を仕掛けた。ナウシカの婚約者ソルトーン侯爵家令息エーミールを籠絡して婚約破棄させ、そのショックで死んだように見せかけて領地と鉱山を奪おうとしたのだ。死にかけたナウシカだが奇跡的に助かったうえに、転生前の記憶まで取り戻したのだった。
侯爵様と婚約したと自慢する幼馴染にうんざりしていたら、幸せが舞い込んできた。
和泉鷹央
恋愛
「私、ロアン侯爵様と婚約したのよ。貴方のような無能で下賤な女にはこんな良縁来ないわよね、残念ー!」
同じ十七歳。もう、結婚をしていい年齢だった。
幼馴染のユーリアはそう言ってアグネスのことを蔑み、憐れみを込めた目で見下して自分の婚約を報告してきた。
外見の良さにプロポーションの対比も、それぞれの実家の爵位も天と地ほどの差があってユーリアには、いくつもの高得点が挙げられる。
しかし、中身の汚さ、性格の悪さときたらそれは正反対になるかもしれない。
人間、似た物同士が夫婦になるという。
その通り、ユーリアとオランは似た物同士だった。その家族や親せきも。
ただ一つ違うところといえば、彼の従兄弟になるレスターは外見よりも中身を愛する人だったということだ。
そして、外見にばかりこだわるユーリアたちは転落人生を迎えることになる。
一方、アグネスにはレスターとの婚約という幸せが舞い込んでくるのだった。
他の投稿サイトにも掲載しています。
「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。
佐藤 美奈
恋愛
「アリス姉さん助けてくれ!女友達と旅行に行っただけなのに婚約しているフローラに別れると言われたんだ!」
弟のハリーが泣きながら訪問して来た。姉のアリス王妃は突然来たハリーに驚きながら、夫の若き国王マイケルと話を聞いた。
結婚して平和な生活を送っていた新婚夫婦にハリーは涙を流して理由を話した。ハリーは侯爵家の長男で伯爵家のフローラ令嬢と婚約をしている。
それなのに婚約破棄して別れるとはどういう事なのか?詳しく話を聞いてみると、ハリーの返答に姉夫婦は呆れてしまった。
非常に頭の悪い弟が常識的な姉夫婦に相談して婚約者の彼女と話し合うが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる