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6 驚愕プリンス
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「ちょっと家族的な込み入った話をしてくるから、食べてて」
耐えきれず私は席を立った。
キャスリンは心得た感じで、お淑やかに頷いて、お上品にスコーンを齧る。
「……」
見た目よ。
見た目だけなのよ。
彼女は素直で純真無垢な心の、体が大きい天使ちゃんだわ!
鼻の下の産毛がなによ!!
「ん」
デビッドを顎で促す。
そそくさと立ち上がり、デビッドがすり寄って来る。
「……」
たくさんの思い出があるとしても、なんて憎たらしい顔なの。
「(モリー……むっ、むり……っ)」
「……」
ひっぱたいてやりたい気分なのは、私だけ?
ねえ、私だけなの?
だけど、楚々とスコーンを齧るキャスリンのゴツゴツした横顔を見ると、彼女のためにそれはやめておこうと理性が働いた。
「(彼女を傷つけたら殺すわよ)」
「!?」
震えあがるデビッド。
私は目で殺せる女の娘よ。せいぜい見つめなさい。
「……ヒィッ!」
「(あなたは王子様なの。この意味、わかる?)」
「……」
プルプルしたって可愛くないわよ、デビッド。
「(おとぎ話の王子様として生きていくのよ。彼女を幸せにするの)」
「……」
「(王子様は絶望なんてしない。燃えるのよ。愛で、燃え尽きるまでね)」
「……」
「(キャシーはあなたに勿体ない。あなたが相応しく成長しなさい)」
「……」
「(忘れないように繰り返すけど、彼女を傷つけたら殺す)」
「……」
でも、それって本当の愛じゃない。
偽物の愛なんて、彼女に相応しくない。
本当に心から愛してくれる人じゃなきゃ、ダメなんだわ。
私は改めてキャスリンを眺めた。
彼女の最大の問題は、無法地帯である事だ。
母親はなにをしているの?
「……」
似てるの?
「モリー」
「?」
ふいに父の声がして、戸口から真面目な顔して現れた。
デビッドはもはや孤立無援という事だけは理解しているようで、敵が増えて更にガクブルしている。
「本当の事を話そう。あのお嬢さんに、こんな薄情者は相応しくない」
「……お父様」
そうよね。
知ってる。
でも、それで解決するような事なの?
「……」
「……」
私たちはとても難しい問題に直面しているのだわ。
私が許婚に裏切られた以上に、複雑で奇怪な問題にね。
「おじ様……!」
デビッドの目が希望で輝き、
「そうじゃない!」
「ヒッ!」
結局、縮みあがった。
父も母との付き合いが長いだけあって、目技だけは習得している。
何度も受け止めているから、どの角度でどれだけの間ロックオンするのが効果的かをいちばん知ってる。
「モリー」
「え?」
母まで現れて、さすがに驚いた。
「お、お母様……?」
私もギクリとして身構えた。
母の目が、燃えている。
「お客様がおみえです」
「……え?」
この状況で?
「彼女が私のお客様よ」
私はふたつ目のスコーンには手を出さず静かに物思いに耽っている慎ましやかなごっついキャスリンを手で示した。
すると。
スィッと母の背後から、その人物は現れた。
「……!」
思わず、息を呑む。
言葉は必要ない。
イケメンプリンス。それ以外の何者でもない。
「お兄様?」
「!?」
コトン、と小さな音を立ててキャスリンが立ちあがる。
私は耳を疑った。目も疑った。なんなら夢かと思ったりもした。
「皆様。妹が御迷惑をおかけし、本当に申し訳ありませんでした」
「!?」
嘘をついているとは思えない、真摯な謝罪。
そう。兄妹と自称するふたりには共通点がある。
善い人。
あと声が似てる。
「……」
だとしてもよ?
イケメンプリンスとロックマンプリンセス?
これが血の繋がった兄妹だって言うの???
そんな事って……………………
「……」
彼を見て。
彼女を見て。
彼を見て彼女を見て。
イケメンプリンスからのロックマンプリンセス。
ロックマンプリンセスからのイケメンプリンス。
兄妹兄妹兄妹あにいもうとァニイモー────オゥトANI???
「……ふざけんじゃないわよッ!!」
拳を握りしめて叫んだわよ。
ほかにどうしろっていうの。
耐えきれず私は席を立った。
キャスリンは心得た感じで、お淑やかに頷いて、お上品にスコーンを齧る。
「……」
見た目よ。
見た目だけなのよ。
彼女は素直で純真無垢な心の、体が大きい天使ちゃんだわ!
鼻の下の産毛がなによ!!
「ん」
デビッドを顎で促す。
そそくさと立ち上がり、デビッドがすり寄って来る。
「……」
たくさんの思い出があるとしても、なんて憎たらしい顔なの。
「(モリー……むっ、むり……っ)」
「……」
ひっぱたいてやりたい気分なのは、私だけ?
ねえ、私だけなの?
だけど、楚々とスコーンを齧るキャスリンのゴツゴツした横顔を見ると、彼女のためにそれはやめておこうと理性が働いた。
「(彼女を傷つけたら殺すわよ)」
「!?」
震えあがるデビッド。
私は目で殺せる女の娘よ。せいぜい見つめなさい。
「……ヒィッ!」
「(あなたは王子様なの。この意味、わかる?)」
「……」
プルプルしたって可愛くないわよ、デビッド。
「(おとぎ話の王子様として生きていくのよ。彼女を幸せにするの)」
「……」
「(王子様は絶望なんてしない。燃えるのよ。愛で、燃え尽きるまでね)」
「……」
「(キャシーはあなたに勿体ない。あなたが相応しく成長しなさい)」
「……」
「(忘れないように繰り返すけど、彼女を傷つけたら殺す)」
「……」
でも、それって本当の愛じゃない。
偽物の愛なんて、彼女に相応しくない。
本当に心から愛してくれる人じゃなきゃ、ダメなんだわ。
私は改めてキャスリンを眺めた。
彼女の最大の問題は、無法地帯である事だ。
母親はなにをしているの?
「……」
似てるの?
「モリー」
「?」
ふいに父の声がして、戸口から真面目な顔して現れた。
デビッドはもはや孤立無援という事だけは理解しているようで、敵が増えて更にガクブルしている。
「本当の事を話そう。あのお嬢さんに、こんな薄情者は相応しくない」
「……お父様」
そうよね。
知ってる。
でも、それで解決するような事なの?
「……」
「……」
私たちはとても難しい問題に直面しているのだわ。
私が許婚に裏切られた以上に、複雑で奇怪な問題にね。
「おじ様……!」
デビッドの目が希望で輝き、
「そうじゃない!」
「ヒッ!」
結局、縮みあがった。
父も母との付き合いが長いだけあって、目技だけは習得している。
何度も受け止めているから、どの角度でどれだけの間ロックオンするのが効果的かをいちばん知ってる。
「モリー」
「え?」
母まで現れて、さすがに驚いた。
「お、お母様……?」
私もギクリとして身構えた。
母の目が、燃えている。
「お客様がおみえです」
「……え?」
この状況で?
「彼女が私のお客様よ」
私はふたつ目のスコーンには手を出さず静かに物思いに耽っている慎ましやかなごっついキャスリンを手で示した。
すると。
スィッと母の背後から、その人物は現れた。
「……!」
思わず、息を呑む。
言葉は必要ない。
イケメンプリンス。それ以外の何者でもない。
「お兄様?」
「!?」
コトン、と小さな音を立ててキャスリンが立ちあがる。
私は耳を疑った。目も疑った。なんなら夢かと思ったりもした。
「皆様。妹が御迷惑をおかけし、本当に申し訳ありませんでした」
「!?」
嘘をついているとは思えない、真摯な謝罪。
そう。兄妹と自称するふたりには共通点がある。
善い人。
あと声が似てる。
「……」
だとしてもよ?
イケメンプリンスとロックマンプリンセス?
これが血の繋がった兄妹だって言うの???
そんな事って……………………
「……」
彼を見て。
彼女を見て。
彼を見て彼女を見て。
イケメンプリンスからのロックマンプリンセス。
ロックマンプリンセスからのイケメンプリンス。
兄妹兄妹兄妹あにいもうとァニイモー────オゥトANI???
「……ふざけんじゃないわよッ!!」
拳を握りしめて叫んだわよ。
ほかにどうしろっていうの。
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