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11 可愛いふたりの子供について
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御伽噺の続きを悲観的に唱える人もいるけれど、私から言わせれば、努力次第というところ。努力といっても愛される努力では、間違いではないけれど正解でもない。家族の幸せをいちばんに願う。それで愛が返ってくる。
私はセザールを抱き、ガブリエルはウスターシュが抱いて、並んで歩く。
結婚から18ヶ月後、私は男女の双生児を産んだ。兄のセザールがどうも義母に似ている気がするけれど、ウスターシュに似ていると屋敷の中の誰もが言うので、様子を見ている。妹のガブリエルは私に似ている。
「さあ、みんなでお散歩だよ。嬉しいねぇ、ガブリエル」
ウスターシュは子煩悩で助かる。
「ちょっとだけよ。まだ首が座ったばかりだから。あと、日焼けをさせたくないの」
「ママはしっかり者なんだよ、ガブリエル。ママの言う事を聞いて、ママみたいになるんだよ、ガブリエル」
「そういうのやめて。本人の人格があるでしょう」
「ほらぁ~、世界一のママだぁ」
「だあぁっ」
腕の中でセザールがなにか言った。
手足をバタバタさせて、笑顔でなにかを訴えている。
「散歩よ」
「んっ、ば!」
「そうね。んばばば」
セザールの人格も尊重したい。
東翼を出て長い廊下を渡り、階段を下りて玄関広間まで来ると、ちょうど散歩から帰って来たジャニスと目が合った。住み込みで雇った医者と看護婦が脇を固めている。
「まあ、ヴィクトリヤ。お散歩?」
「ええ。この子たちに花を見せたくて」
「素敵ね」
母娘を離して半年経った頃から、ジャニスは驚異的な変化を遂げた。医者がよかったのか、ここまで生きてきてやっとエクトル伯爵の血が表に現れてきたのか。一人称の発音もまともになり、菫色以外にも興味を示し、私への敵対心を失くして、柔らかく微笑むようになったのだ。
それからというもの、ジャニスがウスターシュの姉っぽく見える。
「あの女のせいよ! ウスターシュはあたくしに孫を抱かせないのッ!!」
「お前が落としかけたからだ!」
「だって吐くんだものッ!! あたくしの大事なドレスによ!?」
「……」
西翼のどこかからエクトル伯爵夫妻の怒号が聞こえた。
それぞれがじっと耳を澄ませてから、示し合わせたように微笑み合う。
「いってらっしゃい、ヴィクトリヤ、ウスターシュ」
「ああ、行ってくるよ。行きまぁ~ちゅ。ガブリエル、行ってまいりまぁ~ちゅ」
「そういうのやめて。私の娘は馬鹿じゃないの」
「ふふふ」
貴婦人らしく優しく笑い、ジャニスがガブリエルの頬をツンと突いた。
「きゃはっ!」
「行ってらっしゃい、ガブリエル」
この慈愛の眼差し……
こんなにまともになったジャニスが、また大爆発するなんて、このときは誰も想像していなかった。正確には、このまま二度と昔に戻らないようにと願っていた。そしてその祈りは、神に、届かなかった。
私はセザールを抱き、ガブリエルはウスターシュが抱いて、並んで歩く。
結婚から18ヶ月後、私は男女の双生児を産んだ。兄のセザールがどうも義母に似ている気がするけれど、ウスターシュに似ていると屋敷の中の誰もが言うので、様子を見ている。妹のガブリエルは私に似ている。
「さあ、みんなでお散歩だよ。嬉しいねぇ、ガブリエル」
ウスターシュは子煩悩で助かる。
「ちょっとだけよ。まだ首が座ったばかりだから。あと、日焼けをさせたくないの」
「ママはしっかり者なんだよ、ガブリエル。ママの言う事を聞いて、ママみたいになるんだよ、ガブリエル」
「そういうのやめて。本人の人格があるでしょう」
「ほらぁ~、世界一のママだぁ」
「だあぁっ」
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「散歩よ」
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セザールの人格も尊重したい。
東翼を出て長い廊下を渡り、階段を下りて玄関広間まで来ると、ちょうど散歩から帰って来たジャニスと目が合った。住み込みで雇った医者と看護婦が脇を固めている。
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「素敵ね」
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それからというもの、ジャニスがウスターシュの姉っぽく見える。
「あの女のせいよ! ウスターシュはあたくしに孫を抱かせないのッ!!」
「お前が落としかけたからだ!」
「だって吐くんだものッ!! あたくしの大事なドレスによ!?」
「……」
西翼のどこかからエクトル伯爵夫妻の怒号が聞こえた。
それぞれがじっと耳を澄ませてから、示し合わせたように微笑み合う。
「いってらっしゃい、ヴィクトリヤ、ウスターシュ」
「ああ、行ってくるよ。行きまぁ~ちゅ。ガブリエル、行ってまいりまぁ~ちゅ」
「そういうのやめて。私の娘は馬鹿じゃないの」
「ふふふ」
貴婦人らしく優しく笑い、ジャニスがガブリエルの頬をツンと突いた。
「きゃはっ!」
「行ってらっしゃい、ガブリエル」
この慈愛の眼差し……
こんなにまともになったジャニスが、また大爆発するなんて、このときは誰も想像していなかった。正確には、このまま二度と昔に戻らないようにと願っていた。そしてその祈りは、神に、届かなかった。
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