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1 愛の戦士ってなに?
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『可愛いアニエス、あなたが恋しいわ。私はあの冷たい牢獄を命懸けで抜け出して、孤独な旅を続けています。愛は私に試練を与え、私をペガサスのように強めたわ。星の花畑を駆ける私は妖精。そして戦士。全ては愛のためなの。スワッシュ!』
「……」
どうしよう。
不倫して逃げている従姉妹から、こんなぶっ飛んだ手紙が来るなんて。
しかも、婚約者デュルフェ伯爵アルフレッドの訪問時に。
「なんだって?」
「いえ……その……」
私は震える手で手紙を読み進めた。
汗が……変な汗が噴き出してきている。
『燃えるような口づけを受けた事があって? 唇を、そして魂までも焼き尽くすほどの口づけ。優しい雨のように、体中に降り注ぐキッス。ああ。限りなく熱く燃えていくこの体はどんな悪評にも屈しない。たとえ私の体を押し倒し、跪かせようとも、私は愛のために立ち上がる。私は愛の不死鳥』
「難しい言い回しかい? 眉間にしわが」
「ん?」
自分がなにを尋ね返したのかも、よくわからない。
ただ、アルフレッドが手紙に触ろうとしたのでサッと引いた。
「おっと。個人的なものなのに失礼したね」
「いいのよ」
「どうやら長い手紙のようだ。重要な要件なんだろう? 読みなさい」
「……」
戸惑いと混乱で息が乱れる。
従姉妹モニク・トゥシャールが不死鳥なら一安心だ。なぜなら、彼女の夫であるポンセ伯爵は見つけたら拷問すると公言するくらい怒り狂っているのだから。
『けれど愛の鳥は空へ帰ってしまった。ああ、私の心は踏み躙られた真冬の蔓。どうして! なぜなのアニエス!! 神様は私を愛失くしては生きてはいけない幼気な小鳥としてお造りになったのに、なぜ愛を奪うの!?』
「ああ……!」
感極まったような声が出てしまったけれど、断じて違う。
あなたをポンセ伯爵から奪った人を、あなたから奪ったなら、それでいいのでは? それを言ってやりたいのに目の前にモニクがいないから、なんだか心が張り裂けそうなのよ!
「なにを泣いているんだい? 見せてごらん」
「あっ」
手紙がアルフレッドの手に渡った。
「!!!!!」
まるで落雷を受けたように、アルフレッドが震えた。
「……アルッ、アルフレッド?」
「なんて──なんて情熱的な婦人だッ!!」
「え?」
あの。
今、なん……て?
「……」
どうしよう。
不倫して逃げている従姉妹から、こんなぶっ飛んだ手紙が来るなんて。
しかも、婚約者デュルフェ伯爵アルフレッドの訪問時に。
「なんだって?」
「いえ……その……」
私は震える手で手紙を読み進めた。
汗が……変な汗が噴き出してきている。
『燃えるような口づけを受けた事があって? 唇を、そして魂までも焼き尽くすほどの口づけ。優しい雨のように、体中に降り注ぐキッス。ああ。限りなく熱く燃えていくこの体はどんな悪評にも屈しない。たとえ私の体を押し倒し、跪かせようとも、私は愛のために立ち上がる。私は愛の不死鳥』
「難しい言い回しかい? 眉間にしわが」
「ん?」
自分がなにを尋ね返したのかも、よくわからない。
ただ、アルフレッドが手紙に触ろうとしたのでサッと引いた。
「おっと。個人的なものなのに失礼したね」
「いいのよ」
「どうやら長い手紙のようだ。重要な要件なんだろう? 読みなさい」
「……」
戸惑いと混乱で息が乱れる。
従姉妹モニク・トゥシャールが不死鳥なら一安心だ。なぜなら、彼女の夫であるポンセ伯爵は見つけたら拷問すると公言するくらい怒り狂っているのだから。
『けれど愛の鳥は空へ帰ってしまった。ああ、私の心は踏み躙られた真冬の蔓。どうして! なぜなのアニエス!! 神様は私を愛失くしては生きてはいけない幼気な小鳥としてお造りになったのに、なぜ愛を奪うの!?』
「ああ……!」
感極まったような声が出てしまったけれど、断じて違う。
あなたをポンセ伯爵から奪った人を、あなたから奪ったなら、それでいいのでは? それを言ってやりたいのに目の前にモニクがいないから、なんだか心が張り裂けそうなのよ!
「なにを泣いているんだい? 見せてごらん」
「あっ」
手紙がアルフレッドの手に渡った。
「!!!!!」
まるで落雷を受けたように、アルフレッドが震えた。
「……アルッ、アルフレッド?」
「なんて──なんて情熱的な婦人だッ!!」
「え?」
あの。
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