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第2章 その後のふたり

6、たろさんの「コイツは何をいってるんだろう、と思う」話

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 こいつは何を言っているんだろうか。

 堀ちゃんと一緒にいると、いろいろな事を思い出した。
 彼女の事を考える時間が増えたからだろう。

 その合コンはお前が幹事の癖に「俺、彼女がいるから」とドタキャンしただろうが。
 それで彼女と二人で幹事はしたが━━分かりにくすぎる。

 それにあの堀ちゃんだぞ。

 年上ばかりの集まりで、あの幹事肌で気遣いしまくりの彼女が、自分の相手を見つけようなんて思うわけがない。
 そもそも自分が楽しもうとさえ思っていなかったんじゃないかと思う。
 いかにそつなく進行し、盛り上げるか。
 それしか考えていなかったに違いない。

 思わずため息が出た。
 でもまぁ、あれがなければ「会社の経理の子」で終わっていた関係だとは思う。
 感謝するのはとても癪なので、午後の休憩でまたコーヒーでもおごればいいか。

「でもバレンタインが弁当箱でホワイトデーが鍋って」
 また言っている。
 以前弁当箱について聞かれた時も散々爆笑したくせに。

「フツー指輪とかさぁ」
 なんでお前が不満そうなんだ。
 当然こっちだって考えた。そりゃ一番に候補に挙げた。当然だろう。
 しかしだ。
「昔の男もホワイトデーに指輪贈ってたんだよ」
 高田は複雑そうな、同情するような、何とも言えない顔で「あぁ……」と小さく唸った。

 しかもソイツはバレンタインが終わるや否やペアリングを希望し、しかも左の薬指を指定しやがった。
 若かったと堀ちゃんも言っていたが、その前例を聞いた身としてはとても同じ事をする気にはなれなかった。
 それに指輪を贈るのであれば━━ 

 あぁ、そう言えば。
「なぁ、お前の家って新築建てたんだったよな?」
 ふと思い出して尋ねると、高田は唖然とした顔になった。
 どうしてそんな恐ろしい物を見るような目で見てくるんだ。
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