「お前を愛する気など毛頭ない」とおっしゃる旦那様、完全に同意です!

志野まつこ

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6、ほどかれる※

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 挿入しやすいだろうと自分から背を向けて腰を上げた。これなら顔や股間を見られることもない。まして浅ましく旦那様のものをねだる自分には、似合いのポーズだと思った。

「んいィィィィっ」
 旦那様の立派なものに満たされ、奥に行き当たったところであっさりと絶頂した。
 すでに二回射精していたにもかかわらず、ぴゅくとそれなりの勢いをもって吐精する。
 
 伏せるように身を倒した旦那様の熱を背中に感じる。
 耳元で「くっ」という堪えたような低音が響き、ぞくりと体が震えた。ぎゅ、と媚肉が逞しい旦那様の肉竿を締め付けたのが自分でも分かった。

「ッ大丈夫か? 痛みは?」
「ん、ん、ん……」
 心配を掛けぬようにと小さく首を横に振る。

 痛みなんて一瞬だった。
 待ちわびた逞しい物に自分の体は驚くほど歓喜したのだ。
 強烈で重い快感から身を落ち着けようと、息を整えるため自然と声が漏れた。
 少し抜かれた肉竿が、再び少しの勢いを伴って突き入れられる。

「ああッ」
 顎が跳ねた。
 はじめはこちらを気遣うような緩やかな動きが、だんだんと激しくなる。
 苦しさや痛みはすぐに慣れた。
 慣れて、やがて快楽しか拾わなくなった。

「あああっ、旦那さま、すご、ぃ、きもちぃ。ん、ン、ぅんんんんんんンッ」
 体を立てた旦那様の、激しい腰遣いに翻弄される。
 自分だけが気持ちよくしてもらっているようで居たたまれない。

「いい、いいです、旦那様っ、もっと」
 もっと気持ちよくなってください。
 そう伝えたかったのに。

「ああ、もっと好くしてやろう」
 旦那様に誤解されてしまう。
 腰を掴まれ、強い突き上げの衝撃を前に逃れる術もない。
 上半身はべしゃりと潰れ、顔と両肩をベッドに着けて杭を打つような挿入に喘ぎっぱなしだ。

「すまん、いちどっ……」
 なぜか旦那様は詫びるように言ってから果てられた。
 最奥で熱いものを感じる。
 力の入らない手を、それでも腹にやったのは無意識だ。

「━━ッ」
 旦那様が息を詰める。そう感じた瞬間、体はあっさりとひっくり返された。
 筋肉のほとんどついていない情けない体は、あっという間にベッドに座った旦那様の腰に乗せられた。つながったまま。
 そう、旦那様の肉棒は果てたというのに一切の衰えを感じさせない硬度を保っておられた。

 金持ちの使う薬、すげぇ。
 唐突に旦那様の体を苛んでいる原因を思い出した。
 ベッドに膝を立て、旦那様の股座に乗り上がる。
 旦那様の苦しみが少しでも緩和しますように。

「んっ、ふっ……は、ンンッ」
 旦那様の両肩に手を置かせてもらい、股座の上でたどたどしく腰を上下させた。つい自分の快楽を追ってしまいそうになるが、激しく腰を遣って奉仕を心掛ける。

「マーロ」
 低い美声に呼ばれ顔を上げる。
 旦那様の両手に両頬を包まれ、そっと口づけられた。触れるだけのそれを数回。すぐに口づけは深くなった。旦那様の大きく分厚い舌に口内はあっさりと蹂躙された。
 旦那様がするようにこちらも応戦するが、しょせんは初心者。旦那様に敵うはずがなかった。
 なんとか腰を遣うが、頼りなく揺れるだけだ。
 乳首を掠めるように旦那様の親指に擦られ続ける。

 自分の小さな喘ぎと、旦那様の熱い吐息の満ちるベッド。
 ふと旦那様は唇から頬、首筋へと口づけを移動させた。

 くん、と旦那様が肩ひもを咥えて引っ張る。
 ああ、そういえばまだ着てたんだった。
 薄い膜のような生地は汗やら何やらで肌に張り付いている。思い出した途端、肌触りの悪さを感じた。

 ショーツ同様、肩ひももリボンで結ばれた意匠だ。男がこんなものを着ている恥ずかしさを今さらながら思い出し、思わず眉をひそめてしまう。
 対して旦那様は目を細めた。
 鋭くなりそうなものなのに、なぜか柔らかい目元。それでいて常に強い意志を滲ませる黒い瞳はぎらぎらしていた。
 見せつけるようにしてリボンの端を犬歯の辺りで噛み、頭を引く。リボンを解き、一度唇にキスをしてから、もう一方のリボンを同じように口で解いた。

 う……わ。
 旦那様の男くさい仕草になにやら「ぐぎゅぅ」と胸が引き絞られたような気がした。
 なんという事だ。
 スケスケベビードールってのは、女性のみならず男の中の乙女的なやつまでも引き出してしまうのだろうか。

 お嬢様からの忌まわしい下着を頭から抜かれる。
 さっきまで行為に夢中で忘れていた存在。それなのに脱いだ瞬間、言いようのない開放感を覚えた。
 まるでお嬢様から解放され、自由になったような。
 旦那様の手によって解き放たれた気がした。

 頭から脱ぐのに肩ひもを解く意味は、と思うなかれ。
 俺も男だ。
 理解できる。
 男のロマンというやつだ。
 その証拠にリボンを解いた直後、腹の中の旦那様の肉竿はぐっと大きくなった。

 いや待て。
 なんで男の俺の肩ひも解いて大きくなるんだ? ちょっと理解できないかもしれない……そう一瞬思ったが、それを追究する余裕なんてなかった。

「きもちいっ、い、いッ、死んじゃうぅぅぅっ」
 どんどこ突き上げられ、俺は早々に音を上げた。情けない事だ。

「ああ、イイっ、だんな様っ」
 死ぬほど気持ちがいい。

「すまん、この日に備えて溜めてたせいでおさまりがつかない」
 旦那様の肉杭が一向に衰えない。

 腹の中が熱いものに満たされ、それをかき回されてドロドロで。
 ダメだと悲鳴を上げるのに、旦那様は俺の陰茎を愛撫する。
 無理だと泣きを入れるのに、暴力的に俺の快楽を引きずり出す一帯を責められる。そこは浅い挿入で済む場所だ。旦那様は奥まで入れたいだろうに、俺に快楽を与える事も忘れない。
 かと思えば奥をごりごりと捏ね、種付けする。
 分厚く逞しい体に圧し掛かられているだけで性感が高まるようだ。

 腹を満たす熱い物はすぐに腹に収まりきれなくなり、旦那様の激しい動きと共に掻き出されてしまうのが切ない。
 でもそれが分かっているかのように、新たに注ぎ込まれる熱。
 貫かれ、揺さぶられる。
 奥を小突かれ、喉から悲鳴が上がる。とめどなく続く突き上げ。

 ああ、死ぬ。
 ヤり殺される。
 でも、狂いそうになるほど気持ちがいい。

「あぁァッ!!」

 気持ちが良くて。
 このまま死んでも、それはそれでいいかと思った。

 顔は怖いけれど、本当は優しくて逞しい旦那様に抱かれて死ぬのは、幸せな気もした。
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