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秘密路地
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急いで酒場に入ろうと扉に近付くと、その前に勢いよく扉が開かれた。
思いっきり顔面にぶつかり、後ろにフラフラとよろける。
がやがやと賑やかな声が聞こえて、タイミングが悪かったみたいだ。
顔を押さえていたら、騒がしい声に混じって母親の声が微かに聞こえた。
出てくる客を待っていたら、捕まってしまう!
酒場の狭い路地に入って、何処かに抜けようと思った。
酒場の光が路地まで届かず、薄暗い道が続いていた。
足元も見えず、そのままなにかにつまずいて倒れた。
ドアにはぶつかって、なにかにつまずいて転ぶし…短時間で運がなさすぎる。
これで母に見つかった日にはトリプルコンボだ、そんなコンボ技嫌だ。
路地の隙間から影が横切っているのが見えたが、あれは母親なのだろうか。
一瞬路地に入ったが、すぐになにかに気付いて引き返した。
そのまま何処かに行って、緊張でため息が出る。
良かった、俺は見えてなさそうだった。
とっさに俺はつまづいたなにかの後ろに隠れてやり過ごしていた。
「ありがと……う?」
横が酒場だから、てっきり酒樽かと思って触れた。
でも、酒樽にしてはデコボコしている。
それにこれって服だよな……酒樽が服を着る事があるのか?
どう考えても人間だ、人間につまずいて転んだみたいだ。
慌てて「ごめんなさい!お怪我はありませんでしたか!?」と相手の顔色を伺う。
すると、ほんのりとお酒のにおいがする…酒場の路地だし…酔って眠っているんだろう。
いくら酔っていても、俺が悪い事には変わりがない。
うーん、暗くてよく分からない…でも服は普通の服っぽくない。
さっきのが母親で、逃げた理由もこの人が普通の人ではないと気付いたからか?
母親が一番見つかってほしくないのは当然騎士団だ、見つかった瞬間不法入国で牢屋行きだろうし…
つまずいただけとはいえ、思いっきり蹴っちゃった。
俺も反逆者として、捕まってしまうのか!?
今まで母親から逃げていた意味がなくなってしまう。
顔を青くしながら、壁に寄りかかって座っているから足につまずいたんだと足に触る。
触っても全然分からない、とりあえず病院に運ぼう…慰謝料は今は無一文だから給料が貰ってからにしてもらえるようにお願いして…
ぐるぐるとそんな事を考えていたら「んっ…」という小さな声が聞こえた。
起きたんだと思って身を乗り出した。
「大丈夫で……んっ!?」
声を掛けようとしたら、突然相手の手が後頭部に伸びてきた。
引き寄せられたと思ったら、唇に柔らかい感触がした。
呆然として固まっていたら、口内にぬるっと温かななにかが侵入してきた。
これはいろいろとヤバいのではないかと、頭でそう思って肩を押した。
ちょっと苦い味がする、これって…酒のにおい?
頭がボーッとしてきて、相手の服にしがみついてないと倒れてしまいそうだ。
舌を転がされて、吸われて、めちゃくちゃにされて、力も入らなくなる。
唇が離された頃には、俺はもう何も抵抗が出来なくなっていた。
相手に身をゆだねると、地面に転がされた。
呆然としていると、相手は俺をジッと見下ろしているような気がした。
お互い顔が見えていない状態だから誰かと間違えたのか?
「やるなら自分で準備して勝手にやってくれ」
「やる…?え?なにを?」
「何それ、純情のフリなんてしなくていいから…そういうの面倒くさい」
この人が言っている事を一言も理解出来ないんだけど…
何の話?誰と勘違いしているんだ?
理解が追い付かず、ボーッとしていたら大きなため息を吐かれて立ち上がった。
なんでこんなに呆れらているのかすら分からない。
とりあえず「足、痛くないですか?」と聞いた。
相手の言っている事は分からないが、俺がすべき事は分かっている。
今度は相手が何の話か分かっていない様子だった。
「足って何の事?」
「つまずいちゃったから、痛かったかと…」
「別に痛くない」
「あ、そうですか…それは良かった…一応俺の連絡先教えます、痛みが出てきたらここに来て下さい」
俺も立ち上がって、店の名前を教えて用心棒をしていると言った。
これでなにかあった時は大丈夫だ、一応病院に行くように言って呆然とする人の横を通った。
最後に後ろを振り返って、もう一度謝って路地から出た。
周りを確認しながら走って、我が家である倉庫に急いだ。
風呂に入りたいけど、まだウロウロしているかもしれないから明日の朝イチで水浴びすればいいかと暗い夜道を歩きながら考えた。
今日は仕事帰りで疲れてたのに、走り回って疲れたな。
倉庫に入って、倒れるようにして布団に横になった。
もう何もしたくないし、眠気が凄い。
用心棒の朝は従業員が来る前から始まるから早い。
体を休ませないと、明日の夜まで持たない。
大きな欠伸をして、誰に言うでもなく独り言で「おやすみなさい」と言って瞳を閉じた。
路地にいた人にキスされた事をすっかり忘れていた。
酒のにおいにちょっと酔っていたから、自分自身も分かっていなかった。
怪我がなくて良かった、その事しか頭になかった。
思いっきり顔面にぶつかり、後ろにフラフラとよろける。
がやがやと賑やかな声が聞こえて、タイミングが悪かったみたいだ。
顔を押さえていたら、騒がしい声に混じって母親の声が微かに聞こえた。
出てくる客を待っていたら、捕まってしまう!
酒場の狭い路地に入って、何処かに抜けようと思った。
酒場の光が路地まで届かず、薄暗い道が続いていた。
足元も見えず、そのままなにかにつまずいて倒れた。
ドアにはぶつかって、なにかにつまずいて転ぶし…短時間で運がなさすぎる。
これで母に見つかった日にはトリプルコンボだ、そんなコンボ技嫌だ。
路地の隙間から影が横切っているのが見えたが、あれは母親なのだろうか。
一瞬路地に入ったが、すぐになにかに気付いて引き返した。
そのまま何処かに行って、緊張でため息が出る。
良かった、俺は見えてなさそうだった。
とっさに俺はつまづいたなにかの後ろに隠れてやり過ごしていた。
「ありがと……う?」
横が酒場だから、てっきり酒樽かと思って触れた。
でも、酒樽にしてはデコボコしている。
それにこれって服だよな……酒樽が服を着る事があるのか?
どう考えても人間だ、人間につまずいて転んだみたいだ。
慌てて「ごめんなさい!お怪我はありませんでしたか!?」と相手の顔色を伺う。
すると、ほんのりとお酒のにおいがする…酒場の路地だし…酔って眠っているんだろう。
いくら酔っていても、俺が悪い事には変わりがない。
うーん、暗くてよく分からない…でも服は普通の服っぽくない。
さっきのが母親で、逃げた理由もこの人が普通の人ではないと気付いたからか?
母親が一番見つかってほしくないのは当然騎士団だ、見つかった瞬間不法入国で牢屋行きだろうし…
つまずいただけとはいえ、思いっきり蹴っちゃった。
俺も反逆者として、捕まってしまうのか!?
今まで母親から逃げていた意味がなくなってしまう。
顔を青くしながら、壁に寄りかかって座っているから足につまずいたんだと足に触る。
触っても全然分からない、とりあえず病院に運ぼう…慰謝料は今は無一文だから給料が貰ってからにしてもらえるようにお願いして…
ぐるぐるとそんな事を考えていたら「んっ…」という小さな声が聞こえた。
起きたんだと思って身を乗り出した。
「大丈夫で……んっ!?」
声を掛けようとしたら、突然相手の手が後頭部に伸びてきた。
引き寄せられたと思ったら、唇に柔らかい感触がした。
呆然として固まっていたら、口内にぬるっと温かななにかが侵入してきた。
これはいろいろとヤバいのではないかと、頭でそう思って肩を押した。
ちょっと苦い味がする、これって…酒のにおい?
頭がボーッとしてきて、相手の服にしがみついてないと倒れてしまいそうだ。
舌を転がされて、吸われて、めちゃくちゃにされて、力も入らなくなる。
唇が離された頃には、俺はもう何も抵抗が出来なくなっていた。
相手に身をゆだねると、地面に転がされた。
呆然としていると、相手は俺をジッと見下ろしているような気がした。
お互い顔が見えていない状態だから誰かと間違えたのか?
「やるなら自分で準備して勝手にやってくれ」
「やる…?え?なにを?」
「何それ、純情のフリなんてしなくていいから…そういうの面倒くさい」
この人が言っている事を一言も理解出来ないんだけど…
何の話?誰と勘違いしているんだ?
理解が追い付かず、ボーッとしていたら大きなため息を吐かれて立ち上がった。
なんでこんなに呆れらているのかすら分からない。
とりあえず「足、痛くないですか?」と聞いた。
相手の言っている事は分からないが、俺がすべき事は分かっている。
今度は相手が何の話か分かっていない様子だった。
「足って何の事?」
「つまずいちゃったから、痛かったかと…」
「別に痛くない」
「あ、そうですか…それは良かった…一応俺の連絡先教えます、痛みが出てきたらここに来て下さい」
俺も立ち上がって、店の名前を教えて用心棒をしていると言った。
これでなにかあった時は大丈夫だ、一応病院に行くように言って呆然とする人の横を通った。
最後に後ろを振り返って、もう一度謝って路地から出た。
周りを確認しながら走って、我が家である倉庫に急いだ。
風呂に入りたいけど、まだウロウロしているかもしれないから明日の朝イチで水浴びすればいいかと暗い夜道を歩きながら考えた。
今日は仕事帰りで疲れてたのに、走り回って疲れたな。
倉庫に入って、倒れるようにして布団に横になった。
もう何もしたくないし、眠気が凄い。
用心棒の朝は従業員が来る前から始まるから早い。
体を休ませないと、明日の夜まで持たない。
大きな欠伸をして、誰に言うでもなく独り言で「おやすみなさい」と言って瞳を閉じた。
路地にいた人にキスされた事をすっかり忘れていた。
酒のにおいにちょっと酔っていたから、自分自身も分かっていなかった。
怪我がなくて良かった、その事しか頭になかった。
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