俺の弟が一番かわいい

ー結月ー

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心を開く鍵

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「ナイト、俺達はお前がここから出てくるのをずっと待ってるから」

握っている鎖にヒビが入り、俺は手を離した…届いたのか?

そのヒビは錠前まで届き、ずっと大切にしてきたその鎖を打ち砕いた。

大きな音を立てて開いた扉を、俺達はただ眺めていた。

そして、扉が最後まで開ききり、ナイトが姿を現した。

俺が知っているナイトの姿がそこにあった…俺より先に豹がナイトに近付いた。

ナイトは俺達がどんな気持ちだったか分かっていないのか、欠伸をしていた。

「ゆっくりしてたのに、お前らがうるさくて寝られない」

「…寝てたのかよ…おはよう」

「あぁ、おはよう…リーシャ」

『ナイト、一度だけでいいから俺の…守る力を受け取ってほしい…今、こいつらを守れるのはお前しかいない』

神獣がそう言い、頭を下げたら額に不思議な模様が現れた。

それに触れたら契約なんだろうけど、ナイトは手を出したのはいいが戸惑っていた。

外ではセラくんが待ってる、セラくんを守れるのはナイトだけだ。

俺がナイトの手を掴むと、ナイトは俺の方を見つめた。

これは危険な力じゃない、だから怯えなくていいんだ。

「大丈夫だ、ナイトは俺が守るから」と笑うと、初めてナイトが微笑んだ。

ナイトはこんなに綺麗に笑えるんだ、もっと笑ってほしい。

二人で神獣に触れた、俺はナイトの上に手を重ねているだけだからナイトが王位継承者だ。

俺の意識はだんだん引っ張られていき、ハッと目を覚ました。

起き上がるとそこは森で、慌てて身体を確認したが血は服にべったり付いていたが傷がなくなっていた。

そしてナイトはというと、物凄く青白い光をまといながら立ち上がっていた。

強面の男とチャラ男は顔を引きつらせて後ずさっていた。

「ま、まさか…今契約したのか!?」

「……なら、殺すだけだ!!」

「ちょっ、おい待てって!!」

ナイトに向かって走る男は手に冷気をまとっていてナイトに手を伸ばしていた。

ナイトは男の手を掴み、ナイトの手を凍らせていたがナイトは眉一つ動かさなかった。

俺がナイトのところに駆け寄ろうと走り出したら、男から悲鳴のような声が聞こえた。

「離せっ!!」と自分で掴んでいたのにそう叫んでいた。

すると、ナイトの氷が男の出した氷を押し退けてどんどん男の身体は凍っていく。

もう逃げ出す足も凍り、ナイトは男をジッと見つめていた。

「まだやる気か?」

「うるせぇ、俺は王位継承者にならなくてはいけないんだ!!強くなってこの世の全てを支配…ぐぅっ」

そこまで言って、ナイトに頬をぶん殴られて言葉を遮られた。

「力で支配するくだらない事のためにリーシャは絶対に渡さない」とナイトは自分の氷を消した。

もう勝負はついたと、セラくんのところに向かい小さな身体を抱えた。

ナイトの身体から出てる青白い煙が、抜けきり猫の形になった。

そして白猫に変わり、ナイトは俺の腕を掴んでその場から離れようとした。

俺はあんなあっさり解放して大丈夫かと不安で後ろを振り返った。

すると、まだ諦めていない男が俺達に向かってきてるのが分かった。

俺がナイトの方を見て、伝えようとする前にナイトが振り返った。

一つ重いため息を吐いて、腕を伸ばすと足元から氷が現れて男を全身氷漬けにした。

「リーシャの力がなくても、俺には勝てない…お前も同じ属性だから死にはしないけどそこから出たいなら生徒会長に頼め」

ナイトがもう一人の軟派な男を見ると、ビビっていて近付かなかった。

強面の男が襲ってくるのが分かってて、自分の力を見せたかったのだろう……自信過剰な男はプライドが傷付けられて当分は何もしてこないだろう。

そのまま俺達は森を後にして、街に戻りセラくんを探している皆と合流した。

セラくんを病院に連れていくと、何の心配もないと言われた。

俺達は明日は学校だからバス停に向かって歩き出した。

波乱の初休日だったな、楽しかった事もあったからいいけど…

「いろいろ世話掛けたな」

「この子の事も受け入れられて良かったよ」

戦いが終わった時、一度だけだという約束だったからと白猫はナイトとの契約を解除しようと言っていた。

そんな事出来るのかと言うと「代償は払わないといけないが、不可能ではない…俺が代償を払うからナイトは心配するな」と言っていた。

でもナイトは首を振って、契約はそのままでいいとまっすぐと白猫を見つめた。

白猫は泣きそうな顔をしながらも、強がっていた。

「…梓馬もありがとうな、リーシャを受け入れたいが…力が怖かった…誰かに背中を押してほしかったのかもしれない」

「初めて会った時、面倒くさがりだなと思ってたけどいろいろ考えてるんだよな」

「歩夢もちゃんと友達だと思ってる」

「俺もナイトの事を本当の弟みたいに思って」

「それはダメだ」

「……え?」

ナイトは年下だし、歩夢と同じとは言わないが弟のように思っていた。

しかし、ナイトにはっきりと拒絶されて思ったよりショックが大きかった。

ダメなのか?…ちょっと心を開いてくれたからって早すぎたな。

友達としては認めてくれたかと思ったが、それも首を横に振られた。

それもダメ?じゃあ俺ってただの知り合い止まりだったのか?

白猫は俺を慰めるように肩に触れていて、余計に心を抉られた。

「……お、俺…ナイトのなんなんだ?」

「梓馬は俺の家族じゃないのか?」

「…家族?」

「俺の心に土足で踏み込んできたんだ、責任取ってもらうから」

土足で踏み込んだのは、申し訳ないと思っているが…さすがに素足で氷の床は勇気がいる。

俺の事家族にしてくれるのに弟として見るのはダメ?

責任取れとも言ってるし、見た目無表情だけど本当は凄いキレてるとか?

どういう意味か聞こうとしたら、バス停とは別の方向にナイトが歩いていっていた。

俺と白猫は呆然として、ナイトの腕を掴んで引き止めた。

あそこの方角は森だ、また森の中で寝る気なのだろう。
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