四天王最弱の闇の貴公子に転生した俺は器用貧乏を返上し、無限の手札と敵専用チート級最強最悪スキルで高笑いと共に全てを蹂躙し屈服させ覇道を征く!

ミオニチ

文字の大きさ
52 / 94
第2部 〈世界制覇〉編

52、精鋭戦闘メイドたちの活躍と、想定以上と想定どおり。

しおりを挟む
 隕石――俺と連れてきた少数の手勢たちを押し潰すのには優に事足りる巨大質量が戦場の空に顕現する。

 敵専用スキル、裏ボスの邪神たちのみが使用する極大魔法。その内の一つ、土属性のメテオフォール。

 まさか、この世界最大の軍事超大国たるエリミタリア永世帝国の最高幹部にして最強戦力……!

 四大将帝の一人、魔導将帝とはいえ、ただの人間ではたとえ一生をかけて研鑽したとしても極大魔法を放てるはずが……! 

 あの老体、魔導将帝ジャクムとか言ったか……! この俺の想定を上回るとは……! いや、すでにそれほどに人間の枠をということか……!

 ――いや、切り替えろ! いまはそんな悠長なことを考えている場合ではない!

「アビスフレイム!」

 刹那かつ膨大な思考の後、俺はバッと上空に向けて右手を向ける。

 チート級最強最悪スキルの一つ、やむを得ず大軍を蹂躙するときのために用意しておいた冥府の闇の紫炎を放った。

 膨大な魔力が衝突し、轟音と共に巨大隕石ははぜ割れるが――大小の大量の欠片が降り注いだ。それも明確な指向性をもって。

 ――やはり狙いは俺か! ならば!

「デスニア! アリューシャ! おまえたちは左右に散って、予定どおり強襲に備えろ! ここは俺たちが引き受ける! ラベンダ!」

「わかったのじゃ! ジュドさま! ご武運を!」

「ジュドー……! うんー! 気をつけてー!」

「「はいっ! ジュドさまは必ずや我らがお守りします! 我らが忠愛と生命すべてにかけて!」」

 魔王たる俺の命に応え、右腕のデスニアと左腕のアリューシャがそれぞれ左右に別れ散っていく。

 時を同じくして、すぐ後ろに控えていた連れてきた残りの手勢、ラベンダを始めとする色とりどりの髪の五人の戦闘メイドたちがそれぞれの武器を構え俺の前へ並び盾となった。

「「ラージマジックシールド!」」

「「ラージアタックシールド!」」

「はっ! えいっ!」

「やあっ! とおっ!」

「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃあぁぁぁっ!」

 ラベンダ。リリフ。ジオレ。サフィア。そしてチェリ。

 戦闘メイドたちはすばやく範囲型の魔法防御と物理防御を張ると、双剣、槍、弓、斧といったそれぞれの武器で降り注ぐ大きな欠片を次々に破砕していく。

 特に一番小さな体つきでありながら巨大な鎖つき鉄球を可愛らしい雄叫びを上げて、しかし暴風のように振り回すピンク髪ツインテールのチェリの活躍は圧巻だった。

 砕かれた小さな欠片が次々に飛んでくるのは、まあご愛嬌だろう。それを他の戦闘メイドたちがさらに粉微塵に砕くのも含めて。

「よくやった! おまえたち! さすがはこの俺の側近だ! その活躍、誇るがいい! エリアヒール!」

 そう労いの声をかけながら、俺は範囲回復魔法を使用する。

 所々が細かく破れた衣服までは戻らないまでも、戦闘メイドたちの大小の切り傷はそれで完全に塞がった。

 そして何よりも、あれだけの攻撃を受けながらも元より俺には傷一つない。

 ラベンダを始めとする戦闘メイドたちは、見事完璧に主人あるじたるこの俺を守りきったのだ。

 パチ、パチ、パチ、パチ。

「ほっほっほ。いやはや、これはすごい。さすがは魔王殿と言うべきですかな。ご本人はもちろん、なかなか良い臣下を持っておられる。この儂の生涯をかけて到達した魔導の頂点の一つ、こやつら限界まで魔力で肥え太らせた魔力タンク奴隷共の生命を吸い尽くして放った極大魔法をこうもあっさりと破られてしまうとは。いやはや誠に感服しましたわい」

 そう言いながら、むしろ馬鹿にしているとしか捉えられない軽薄な拍手と共に俺の視界に現れたのは、魔法の力でふよふよと地面から浮く、少数の手勢を率いた老人だった。

 エリミタリア永世帝国最強戦力にして最高幹部たる四大将帝の一人、魔導将帝ジャクム。この会戦における俺の最大の標的ターゲット

 ――くく! 来たか……! 老害……!

 そして、細かな差異はともかく、大勢においては想定どおりに事態が進んでいることを確認し、俺は口の端をつり上げた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~

下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。 二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。 帝国は武力を求めていたのだ。 フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。 帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。 「ここから逃げて、田舎に籠るか」 給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。 帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。 鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。 「私も連れて行ってください、お兄様」 「いやだ」 止めるフェアに、強引なマトビア。 なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。 ※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。

処理中です...