攻略対象に転生した俺が何故か溺愛されています

東院さち

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15 澪の作った世界

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「お兄ちゃん!」

 ケヴィンと魔法で出現したのは貴族の子女らしい可愛い女の子の部屋だった。
 ピンク色の髪の少女が、驚いた目でこっちを見ながら俺を呼んだ。
 声質は全然違うのに、懐かしいと感じる。

「澪!」

 抱きしめようとして留まった。サイラスはともかく、御堂怜一としては妹を抱きしめる習慣がない。澪もそうなのだろう。あと一歩のところで立ち止まった。

「お兄ちゃん、ごめんなさい!」

 頭を下げた澪、いやミリアの言葉に俺は首を捻る。

「何を謝ってるんだ?」
「……お兄ちゃん、私、学園に入学してから色々調べたのよ。もしかしなくても、ここを『花咲き誇るフラワーガーデン物語』だと思ってるでしょ?」

 恐る恐る尋ねたミリアに俺は頷いた。

「ああ、やっぱり違うんだな……」

 後ろで控えていたケヴィンが納得したとばかりに言った。
 違う? そんなはずはない。これだけ名前が一致しているのに。

「あなた……、ケヴィン様よね」

 ミリアは何故ここに攻略対象者のケヴィンがいるのかと戸惑っている。

「澪、いやミリア。ケヴィンは俺たちと同じ転生者なんだ」
「ミリアって、お兄ちゃん」
「癖になるから、ミリア呼びにする。それとも昔のようにみーちゃんがいいか?」

  居心地悪そうにするミリアに俺は説明した。

「みーちゃん……、懐かしいね。それでもいいけど、ミリアでいいよ。私もサイラス様のほうがいいかな?」

 サイラスでも構わないが、少し寂しい。

「お兄ちゃんでいいよ」

 ホッとしたような顔をしたミリアの頭を撫でる。

「僕の紹介もしてよ」
「ああ、忘れてた。ケヴィンも転生者で、攻略対象者だ」

 困ったような焦ったような複雑な顔で、ミリアは俺の手を握った。

「ごめんね、お兄ちゃん! それ、……ちょっと違うの」
「ん?」
「攻略対象者のことなんだけど。この世界、実は『花咲き誇るフラワーガーデン物語』
じゃないのよ。というか、亜種というか、腐というか……」
「アシュ? フ? 何を言ってるのかわからないんだが」
「やっぱりな。あの時、姉ちゃん言ってたもんな。自分の作った本の世界に転生したいって」

 何それ、覚えがない。

「そうそう、あの時の小学生よね。ごめんね、こんな世界で」

 笑いながらミリアはケヴィンに謝った。

「あの時の小学生?」
「なんで兄ちゃんにはあの時の記憶がないのかな」

 二人は何故かわかりあっているようだ。

「あの時、お兄ちゃん怒ってたから。凄く頑張って受験に受かったところだったのよ。うちは両親共に働き蜂でね。家のことはお兄ちゃんが全部やってたの。大学にはいったら遊ぶって言ってたのに。……その前に死んじゃったでしょ。女神様の話なんて怒りすぎて聞いてなかったのよ」

 言われて思い出した。白い空間に綺麗な女の人がいたことを。


 
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