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凛の最初の話【1】

いってきます

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結局、あの後ずっと泣いていて気づいたら寝ていた。朝目覚めると目が腫れていた。私は、いつも通り起きて朝御飯を作った。

「おはよう」

「おはよう」

謝れていないけれど、普通にしといた。でも、どことなくギスギスしている。

朝御飯を無言で食べ終わると、龍ちゃんは仕事の支度をした。

「行ってきます」

「お弁当」

「ありがとう」

「行ってらっしゃい」

「うん」

ギスギスしたまま、龍ちゃんは仕事に行ってしまった。
私は、お皿を洗いながら溜め息を繰り返していた。

「はぁー。何でかなー」

たった一言【ごめんね】が言えなかった。

駄目だ、やっぱり。

洗濯を干して、掃除機をかけて、モップをかける。

それが、終わった頃にショートメッセージがやってきた。

【星村です。昨日の駅で11時に待ってます】

そうだった!昼御飯の約束してたんだ。

【わかりました】

私は、メッセージを送信した。

私は、拓夢に会う為に用意をした。この頃は、何の興味もなかった。

「よし、これでいっか」

家を出て、待ち合わせ場所に向かった。待ち合わせ場所についたのは、10時半過ぎだった。

「早いですね」

「あっ、こんにちは」

拓夢は、早くついていた。

「お店なんですが…」

「あっ、ハンカチ。今日洗ったばっかりで…」

「いつでも大丈夫」

「すみません」

「気にしないでいいから、あっ!ここです!」

そう言われてやってきたのは、一件の洋食屋さんだった。

「何か建物見ただけで美味しそうなのが伝わってきますね」

「そう?」

「はい」

その店では、ビーフシチューが有名だと教えられて注文をした。食べ物の話を散々して食事が終わる。

「ご馳走さまでした」

「いえいえ」

「あの、珈琲ご馳走します」

「そんなのいいですよ!あっ!星村さんはお仕事は?今日は?」

「休みです」

「それなら、よかったです。何の仕事してるんですか?」

「バンドのボーカルと会社員やってます」

「ボーカルって事は!歌、お上手なんですね」

「上手かどうかは…」

「あの、聞きたいって言ったら怒りますか?」

「いえ、大丈夫」

「じゃあ、駅前のカラオケ行きましょう」

「はい」

昨日の喧嘩を引きずっていたせいで、スッキリしたかったけど…。遊べる友達が、雪乃しかいなくなってしまった今…。どうする事も出来なかった。

カラオケにやってきて、私と拓夢は中に入った。

「珈琲、ここのになりましたね」

「私は、珈琲じゃないですけどね」

店員さんが、飲み物を持ってきてくれた。

私と拓夢は、どう見られているのだろうか?

姉弟とかかな?

嫌、親子か?

年下である事は、想像がついていた。
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