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凛の話4

人間って…

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私は、立ち上がってキッチンに行く。裸にバスローブを巻いてる姿の自分を俯瞰で見たら滑稽だと思った。常温のペットボトルから水をゴクリと飲んだ。龍ちゃんに抱かれたら、人間だって思い出させられる。動物じゃなくて、私は人間。そう気づかされて嫌になる。思考をもたなければ、ただ気持ちいいだけを感じ取れて、馬鹿になる程、快楽に溺れられるのに…。だけど、龍ちゃんとすると思考はきちんと働いて……快楽に傾かないのを知ってる。

あー、私は人間なんだ!そう気づかされる。人間としての性に対する何かを問われてる気がする。快楽だけじゃなく、ちゃんと考えなさいと言われてる気がする。

そしたら、もうそれは動物ではなく人間の行為に代わる。人間の行為に代わった瞬間に快楽なんて置いてけぼりになる。自分勝手な本能を剥き出しになど出来なくなって、相手はどこをどうして欲しいのかを考えなくちゃならなくなる。それは、まるで窮屈だった。勿論、若い頃の自分勝手とは違うから、きちんと相手を考えてはいる。だけど、今の私がしたいのはあの若かりし頃の自分勝手な本能剥き出しな行為であって…。相手の快楽ポイントを見つけて繋がり合う思考なんて必要なかった。欲しいのは、動物である自分…。テクニックや技なんていらない。ただ、真っ白になるだけでいい。

だって、この先、誰と抱き合ったって龍ちゃんを越える存在なんていない。もしも、拓夢が俺の方が凛をわかってるなんて言い出したら、私はきっと鼻で笑うだろう。私の愛を抱き合って奪えると思っていたら、それは勘違い。それに、もしそんな簡単に誰かになびくような浅い絆しか結んでいなかったなら、私は拓夢に抱かれなどしなかったのだから…。濃くて太くて、簡単には切れない存在だってわかっていたから拓夢に抱かれた。多分、人間(ひと)としてのズルさ何だと思う。安全な道が見えてるから、危険な道を冒険しようと思う気持ちに似てる。拓夢は、ちゃんとそれをわかってくれてるのを知ってる。踏み込めない領域と踏み込んでいい領域をわかってる。だから、私は拓夢を好きだと思える。

ブー、ブー

【もう一度だけ会って下さい】

私は、そのメッセージを見つめながら、凛君は駄目だよと思った。私の入ってこないで欲しい領域にまでやってくる子。やっている最中に電話を取らせるような男。嫌、違う、電話をしてる最中にやり始めるような男。そんなタイプが、凛君だと思った。相手にバレるかも知れないヒヤヒヤを私は体験したくない。もし、それを供用する人がいたらその人は私を何もわかっていない。
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