377 / 646
エピローグ【拓夢の話2】
憂鬱な気持ちが広がる
しおりを挟む
俺は、鍵を閉めてため息をついた。
「はぁー」
凛と重ねた想い出が、引っ越せばまるごと消えてしまうじゃないか…。それでも、隣人やこのフロアの住人。そして、このマンションの住人に迷惑はかけれない。相沢さんが、かける魔法は売れる。だったら、俺はここを去るしかないのかも知れないな…。
俺は、リビングには行かずに寝室に入った。ベッドにゴロリと横になった。スマホをスーツのポケットから取り出した。
俺は、床に落ちてるそれを拾った。
「怖かったよな…」
そのボタンを見つめながら、凛がどれだけの恐怖の中にいたのかを考えていた。想像出来ない。
凛を守れなかった。俺の家にこなければ、凛が蓮見に襲われる事はなかった。悔しくて、悲しくて、俺は自分への苛立ちを抑えられない。
ブブッ
【拓夢!デビュー出来るって聞いたよ!何で言わないのよ!見に行きたかったじゃない】
母親からのメッセージを見つめていた。
【誰に聞いたの?】
ブブッ
【俊君のお母さんから聞いたのよ!知らなかったから…。悲しかったじゃない】
【ごめん】
ブブッ
【次は、呼んでよ!お父さんと二人で行くから】
【わかった】
母親からのメッセージは、それで終わった。そりゃあ、俺には、まっつんの気持ちがわからないよな…。
愛されてるか愛されてないかと聞かれたら、俺は愛されてるって答えられる。そんな俺は、幸せ者なんだってわかる。
俺は、凛の服のボタンを見つめる。このまま、凛と終わっていく。それだけは、どうしても嫌だった。
コンコンー
「はい」
ガチャー
「理沙ちゃん、帰ったよ」
「もう、そんな経った?」
「うん。二時間ぐらい」
「そっか」
凛が部屋に入ってくる。
そして、ベッドに横になる。
「ボタン縫ってやろうか?」
「自分で出来るよ」
俺は、凛の掌にボタンを置く。
「あの服は、処分しようかなって」
「思い出すから?」
「そうだね」
「そうだよな!嫌な事思い出すよな」
俺は、凛を引き寄せて抱き締める。
「明日、俺が服買ってあげる」
「えっ?」
「仕事休み取ってるんだ!明日は…」
「どうして?」
「あー、前にとってたんだよ!撮影の日にちが、わかった時にね。元々、俺の夢を応援してくれてる会社だったから。だから、有給使って、休みとったんだ。凛がこうなったからとかじゃないよ」
俺は、そう言って凛の頭に顔を埋める。同じ匂い、嬉しくてにやけてくる。
「そうだったんだね」
「うん。明日だったら、凛を守ってやれたのに…」
「でも、卵。明日買ってこようかって」
「あー、あれは…。明日休みだから、朝に買ってこようかなーって」
「紛らわしい。言い方しないでよ」
凛は、そう言って上目遣いで俺を見つめる。
「凛」
「何?」
「生まれ変わりがあるなら…。次の人生では、赤ちゃん産めて…。蓮見と出会わなければいいな」
「そしたら、拓夢とは…」
俺は、凛を抱き締めて耳元で、そっと囁いた。
「出会わなくていい」
「はぁー」
凛と重ねた想い出が、引っ越せばまるごと消えてしまうじゃないか…。それでも、隣人やこのフロアの住人。そして、このマンションの住人に迷惑はかけれない。相沢さんが、かける魔法は売れる。だったら、俺はここを去るしかないのかも知れないな…。
俺は、リビングには行かずに寝室に入った。ベッドにゴロリと横になった。スマホをスーツのポケットから取り出した。
俺は、床に落ちてるそれを拾った。
「怖かったよな…」
そのボタンを見つめながら、凛がどれだけの恐怖の中にいたのかを考えていた。想像出来ない。
凛を守れなかった。俺の家にこなければ、凛が蓮見に襲われる事はなかった。悔しくて、悲しくて、俺は自分への苛立ちを抑えられない。
ブブッ
【拓夢!デビュー出来るって聞いたよ!何で言わないのよ!見に行きたかったじゃない】
母親からのメッセージを見つめていた。
【誰に聞いたの?】
ブブッ
【俊君のお母さんから聞いたのよ!知らなかったから…。悲しかったじゃない】
【ごめん】
ブブッ
【次は、呼んでよ!お父さんと二人で行くから】
【わかった】
母親からのメッセージは、それで終わった。そりゃあ、俺には、まっつんの気持ちがわからないよな…。
愛されてるか愛されてないかと聞かれたら、俺は愛されてるって答えられる。そんな俺は、幸せ者なんだってわかる。
俺は、凛の服のボタンを見つめる。このまま、凛と終わっていく。それだけは、どうしても嫌だった。
コンコンー
「はい」
ガチャー
「理沙ちゃん、帰ったよ」
「もう、そんな経った?」
「うん。二時間ぐらい」
「そっか」
凛が部屋に入ってくる。
そして、ベッドに横になる。
「ボタン縫ってやろうか?」
「自分で出来るよ」
俺は、凛の掌にボタンを置く。
「あの服は、処分しようかなって」
「思い出すから?」
「そうだね」
「そうだよな!嫌な事思い出すよな」
俺は、凛を引き寄せて抱き締める。
「明日、俺が服買ってあげる」
「えっ?」
「仕事休み取ってるんだ!明日は…」
「どうして?」
「あー、前にとってたんだよ!撮影の日にちが、わかった時にね。元々、俺の夢を応援してくれてる会社だったから。だから、有給使って、休みとったんだ。凛がこうなったからとかじゃないよ」
俺は、そう言って凛の頭に顔を埋める。同じ匂い、嬉しくてにやけてくる。
「そうだったんだね」
「うん。明日だったら、凛を守ってやれたのに…」
「でも、卵。明日買ってこようかって」
「あー、あれは…。明日休みだから、朝に買ってこようかなーって」
「紛らわしい。言い方しないでよ」
凛は、そう言って上目遣いで俺を見つめる。
「凛」
「何?」
「生まれ変わりがあるなら…。次の人生では、赤ちゃん産めて…。蓮見と出会わなければいいな」
「そしたら、拓夢とは…」
俺は、凛を抱き締めて耳元で、そっと囁いた。
「出会わなくていい」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる