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エピローグ【拓夢の話2】

凛との時間を大切にする

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「めちゃくちゃいい匂いする」

話をそらすように俺はそう言った。

「でしょ?もうすぐ、出来るよ」

凛は、そう言って野菜と肉を混ぜて味付けをしてる。

「味噌汁は?」

「卵の味噌汁にしたかったんだけどね…。ワカメでいいかな?」

「いいよ」

俺は、鍋をかき混ぜてる凛の事を見つめている。

「もうすぐ、出来るよ」

「いい匂いだね」

「うん」

「座ってて、出来たら持っていくから」

「じゃあ、そうする」

俺は、ダイニングに座りに行く。スマホを見つめるフリをして凛を見つめる。凛の旦那さんより早く出会いたかった。そしたら、凛はずっと俺の傍にいた。でも、凛がいたら俺は夢を叶えたくなったのかな?智みたいに、諦めたんじゃないだろうか?そしたら、後悔してたんだよな…

そしたら、俺も凛みたいな存在を探したのかな?結局、浮気しちゃうのかな?

そう考えると、今の関係がよかったと思える。凛と繋がれてよかった。

「お待たせ」

「ありがとう」

凛は、トレーに酢豚とご飯と味噌汁をのっけて持ってくる。

「後は、サラダでしょ!ビールはいる?」

「欲しい」

「わかった!じゃあ、持ってくるね」

「うん」

凛は、そう言ってキッチンに戻っていった。すぐに戻ってきた。

「はい、ビール」

「ありがとう」

サラダを置いて、向かい合わせに座る。

「いれてあげる」

「ありがとう」

凛は、ビールをグラスに注いでくれる。

「凛は、飲まないの?」

「じゃあ、一杯だけ」

そう言って、お茶を入れたグラスをからにした。俺は、ビールを注いだ。

「乾杯」

「乾杯」

カチンとグラスを合わせて、ビールを飲んだ。

『いただきます』

そう言って、二人で食べ始める。今の凛との時間を大切にしよう。俺は、そう強く思った。

「酢豚って、中華屋さんに行って食べるイメージだけど、うまいな」

「拓夢の口に合って嬉しい。よかった」

凛は、そう言いながらニコニコ笑ってる。

「凛が作るご飯は、本当に美味しいよ」

「明日は、何食べたい?」

「初めて、凛が作ってくれた晩御飯がいい」

「ハンバーグ?」

俺は、頷いた。

「わかった」

「後、レシピ教えて」

「いいよ」

「よかった」

凛の味にはならないかもしれない。だけど、教えて欲しかった。凛が作ってくれた味を忘れたくなかった。

「酢豚のレシピもいる?」

「教えて」

「うん、いいよ」

他愛ない話をするだけの時間。この時間も全部思い出に変わってく…。懐かしいねって呼ぶものに変わっていく。

「食べ終わったら、いつもみたいにお皿洗う?」

「うん」

最後の2日は、もっともっと…。イチャイチャしていたい。

「凛、明日遠くに行かない?」

「もしかして、都会(あっち)?」

「そうだなー。都会(あっち)の方が、紛れるかもな」

「いいよ」

「手も繋げる」

「それは、よくない」

「最後ぐらい、いいだろ?」

「駄目だよ」

凛は、そう言いながら首を横に振っている。最後は、出会ったあの頃みたいにしたい。
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