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エピローグ【凛と拓夢の話】
クリスマスデビューイベント【凛】
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トイレを終えて、私は外に出た。席まで戻る。
「千尋、ほら!こっちだよ」
「待ってよ、由紀斗」
男の人が二人急いで歩いていた。
「凛、大丈夫?」
私は、自分の事だと思って顔を上げてしまった。帽子を目深に被った人に話しかけていた。
恥ずかしい。私は、俯いて席に戻っていく。
「夏子、危ない」
「すみません」
「こちらこそ、すみません」
戻る途中で、女の人にぶつかりそうになって私は頭を下げた。
急いで、龍ちゃんの元に戻る。
「龍ちゃんごめんね」
「まだ、大丈夫だよ」
龍ちゃんは、そう言って笑ってくれる。
「まだ、開演時間になってなかった?」
「後、15分ぐらいかな?8時だから」
「そっか」
私は、龍ちゃんの隣に座った。
「何で私が緊張するかな?」
「星村さんが出るからじゃないか!」
「そうかもね」
私達は、舞台を見つめていた。気付けば、8時を回っているようで関係者席にいたスタッフさん達がバタバタし始めている。
「何なの!全然じゃん」
「つうか、なくなるんじゃない!」
「やっぱり、SNOWROSE不倫してたんだよね」
「あー、もう一人は未成年とやったんだよね?」
「犯罪者集団じゃん」
あちこちにいる人は、中々出てこないSNOWROSEに、苛立ち、文句を言っている。
「暴力もいたでしょ?」
「えっ!ヤバい。致命的なグループじゃん」
「怖すぎなんだけど」
龍ちゃんは、私の手を黙って握りしめてくれる。
「人が何と言ってても、俺達が信じなくちゃ駄目だろ?せっかく、話したんだから」
そう言って、龍ちゃんは笑ってくれる。
「そうだよね」
私は、龍ちゃんの手を握りしめて笑った。他の人の文句は、もう私の耳には聞こえなくなった。龍ちゃんの暖かい手の温もりとスタッフさんがバタバタと走る音が響くだけ。どれくらい時間が経ったかな?スタッフさんが現れる。
「皆様に大変ご迷惑をおかけしております。開演予定から、もうすぐ一時間経過してしまっております。後ろにスタンバイはしています。ただ、調子が悪く…」
嘘をうまくつけないのか、ゴニョゴニョと話して聞こえない。周囲は、「ハッキリ喋れよ」「金返せよ」と騒ぎ始めた。
「どうなってるのかな?」
私は、龍ちゃんを見つめる。
「さっき、智天使(ケルビム)の人達、反対してたから…。それで、話し合ってるんじゃないか?でも、俺は、ちゃんと話したから…。凛だって話しただろ?」
「うん」
「だから、きっと大丈夫だよ」
そう言って龍ちゃんが私の手をギュッと握りしめてくれた時だった。
ダン、ドン、ドン、ドとドラムの音が鳴り出した。
「千尋、ほら!こっちだよ」
「待ってよ、由紀斗」
男の人が二人急いで歩いていた。
「凛、大丈夫?」
私は、自分の事だと思って顔を上げてしまった。帽子を目深に被った人に話しかけていた。
恥ずかしい。私は、俯いて席に戻っていく。
「夏子、危ない」
「すみません」
「こちらこそ、すみません」
戻る途中で、女の人にぶつかりそうになって私は頭を下げた。
急いで、龍ちゃんの元に戻る。
「龍ちゃんごめんね」
「まだ、大丈夫だよ」
龍ちゃんは、そう言って笑ってくれる。
「まだ、開演時間になってなかった?」
「後、15分ぐらいかな?8時だから」
「そっか」
私は、龍ちゃんの隣に座った。
「何で私が緊張するかな?」
「星村さんが出るからじゃないか!」
「そうかもね」
私達は、舞台を見つめていた。気付けば、8時を回っているようで関係者席にいたスタッフさん達がバタバタし始めている。
「何なの!全然じゃん」
「つうか、なくなるんじゃない!」
「やっぱり、SNOWROSE不倫してたんだよね」
「あー、もう一人は未成年とやったんだよね?」
「犯罪者集団じゃん」
あちこちにいる人は、中々出てこないSNOWROSEに、苛立ち、文句を言っている。
「暴力もいたでしょ?」
「えっ!ヤバい。致命的なグループじゃん」
「怖すぎなんだけど」
龍ちゃんは、私の手を黙って握りしめてくれる。
「人が何と言ってても、俺達が信じなくちゃ駄目だろ?せっかく、話したんだから」
そう言って、龍ちゃんは笑ってくれる。
「そうだよね」
私は、龍ちゃんの手を握りしめて笑った。他の人の文句は、もう私の耳には聞こえなくなった。龍ちゃんの暖かい手の温もりとスタッフさんがバタバタと走る音が響くだけ。どれくらい時間が経ったかな?スタッフさんが現れる。
「皆様に大変ご迷惑をおかけしております。開演予定から、もうすぐ一時間経過してしまっております。後ろにスタンバイはしています。ただ、調子が悪く…」
嘘をうまくつけないのか、ゴニョゴニョと話して聞こえない。周囲は、「ハッキリ喋れよ」「金返せよ」と騒ぎ始めた。
「どうなってるのかな?」
私は、龍ちゃんを見つめる。
「さっき、智天使(ケルビム)の人達、反対してたから…。それで、話し合ってるんじゃないか?でも、俺は、ちゃんと話したから…。凛だって話しただろ?」
「うん」
「だから、きっと大丈夫だよ」
そう言って龍ちゃんが私の手をギュッと握りしめてくれた時だった。
ダン、ドン、ドン、ドとドラムの音が鳴り出した。
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