虹色の恋

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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やっぱり恋してるよ。

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「何してんの?」

開いた扉に青君が立っていた。

「この子の相手してた。」

「あー。その子」

「青の知り合い?」

「うん。」

ヤバい、一瞬このホワホワの空気間に寝れそうだった。

青君が現れて、心臓が高鳴る。

私やっぱりこの人が好きだ。

「そっか」

そういって私と青君を見て

「そう言うことね」と笑った。

何が?

「青、相手してあげてよ。俺、トイレ行きたくなったから」

そう言ってみよっちゃんさんは歩いて行った。

何を気づいたのだろうか?

「美羽、待ってんの?」

「うん。もう、授業終わったの?」

「最初から、自習だったから」

「そうなんだ。」

そう言って青君は、私の前にしゃがむ。

「最近、美羽と仲いいよね」

「うん。仲良くしてもらってるよ」

ギュッてしたくなるぐらい、彼が私を見てくれる眼差しが愛しい。

なんで、こんなに一気に恋がかけあがったのだろうか?

「授業は?」

「うん、出たくなかったから」

「そうなの?」

「うん。」

出れなくなったんだけどね。

大丈夫って目が言ってる。

離れてるのに、私の目線に合わす彼の優しさが嬉しかった。

うまくいくわけないよね。

だって、彼はレインボーのメンバーで学校で有名なイケメングループなんだから。

こんな風に話せるだけでも、奇跡みたいなものなんだから…。

「まだ、まだ、美羽ちゃんの授業終わらなさそうだね。」

「うん。」

「あっ、そうだ。」 

教室に入って何か持ってきた。

「これ、読める?」

地図だ。

「わかんない。」

「俺も。今これの自習」

「そうなんだ。大変だね」

「そうそう。」

そう言って笑いかけてきた。

何で、黙るときそんな寂しそうな顔をしてるんだろう?

誰と居ても、ふと寂しい顔を浮かべる。

そんな顔させたくないよ。

「他の人達は、違う授業?」

「うん、ここの授業はみよっちゃんと俺だけ」

「そうなんだね。」

「もしかして、みよっちゃんと喋りたかった?」

「えっ?」

申し訳なさそうな顔をしてる。

「違います、違います。」

私は、全力で否定する。

「そんな全力で否定しなくてもさ」

青君が笑う。

めっちゃ可愛い。

笑った顔は、めっちゃ可愛い。

その笑顔でいてよ。

彼が、笑顔でいてくれるなら私は何もいらない。

本気で、そう思った。

キーンコーンカーンコーン。

「終わったな。」

そう言って青君が立ち上がった。

行かないで欲しいよ。

鳴らないで欲しかったよ。

胸が苦しい。

「青、行こうか!あー、りりちゃんいたの?」

紫悠君だ。

「あっ、はい。」

「終わったよ。大丈夫だった?」

「うん。」美羽が笑ってる。

「次もついておいでよ。」

「次?」

「うんうん。外で待ってなよ」

「うん。」

そう言って美羽は、次の教室に私を連れてってくれた。

青君も、同じ授業のようだった。

また、話したいよ。

無理だってわかってても、近くにいたい。

叶わないってわかってても、傍にいたい。

こんなに苦しいのに…。

「じゃあ、待ってて。すぐ終わるから」

「うん。」祐希ちゃんにメールする。

[帰りは、万由がいるとこにいくね。]

[了解、今日は、休んでな。あいつ、またいたから]

[うん。ありがとう]

メールを送って、近くに座った。

終わるまで、待ってよう。

何もしたくない。

さっき話してたの思い出して、心臓がドキドキする。

好き、好き、私は彼が好き。

どうしようもないぐらい好き。

こんなに短期間で人を好きになった事ないぐらい。

まだ、出会って二日なのに彼が好き。

好き、好き、好き。

ダメだ、一人だからそれしか考えられない。

どうしよう。

しゃがんで胸を押さえる。

苦しい、苦しい。

好きで溢れて苦しいよ。


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