彩られる作品【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

文字の大きさ
107 / 136
それぞれの思い

凛、はやて、雄大、実

しおりを挟む
四人は、泣いていた。

「何で、叩かれたのかな?」

「めちゃくちゃ、胸に響いたよ」

「苦しかったよ」

「悲しかったよ」

四人は、涙を拭っている。

最後に、監督がしんのメッセージをエンドロールの最後に流していた。

凛が、停止ボタンを押した。

【俊之と昌也と同じような傷を抱えて生きている人が、この世界に沢山いる事でしょう。私は、別れた妻にこのお話を書いて欲しいと頼まれました。別れた妻と今の恋人の方が抱えている気持ちを私が代弁し描(えが)かせていただきました。同じ傷をもつ誰かの日常を照らせますように…。】

「これって、ドラマの時はなかったんだよね?」

「そうそう!でも、監督がつけたかったから、しんに載せるために聞いたらしいよ」

「ドラマ放送後は、結構叩かれたよね。これ、つけたら結構変わったらしいよ。実話ってなったら、ちょっとかわるんだよね」

「確かに、誰かの実話だって言われたら、否定しづらいよね。」

「でも、今回はしんも相当へこんでるって話聞いたよ」

「それは、俺も聞いたよ」

そう言って、はやてがSNSを見せる。

「この掲示板だろ?」

「そうそう」

「しんの作品を叩くスレな!」

「ほら、これ。」

「事情があって離婚した人間を否定してるのが気分悪いです。か…。」

「別に否定してないよな?」

「うん。しんは、不倫された子供の気持ちを代弁してるわけだから…。」

「しんの奥さん、本当に親が不倫してる時に出来た子だったんだって!それで、自分が汚くて気持ち悪くて悩んだんだって書いてたよ。」

「それ、しんのblogだよね」

「そうそう。今の恋人さんも、親に性は悪だって植え付けられてて、奥さんとそうなったら嫌悪感から自殺未遂したりするらしい。それも、全部話していいって言ってくれたらしくて、しんはblogに書いたみたいだね。」

「しんは、blog書くつもりなかったみたいだけどね。結構、叩かれるから始めさせたみたいだよ。でも、あんまり更新してないけどね」

そう言いながら、はやては立ち上がってパソコンをもってきた。

「こっちで見るのがいいよね」

「しん、今、めっちゃくちゃ悩んでるみたい。」

はやては、昨日のしんの投稿をクリックする。

「今、出された難問を目の前にして、自分の価値観では足りない気がしています。それでも、書けるのかと自分に問いかけています。出来ないとさじを投げたくはない。ただ、【欠けたピースは戻らない】を書いた自分としてはこの作品を…。」

「禁断の愛をしんが書くらしいって話、流れてるよね」

「そうそう」

「苦しんでるんだよね。しんは…。」

「禁断って事は、不倫だよね?もしくは、未成年?でも、しんの作品からしたら未成年より不倫ものだよね」

「そうだと思うよ」

「それって、しんどいよね」

「しんどいと思う」

しんのblogのコメントをはやては、スクロールしながら読む。

「この人、めっちゃしんが好きだね」

「本当だ!」

「しんさんの、欠けたピースは戻らないのBlu-rayを見ました。元奥様に書かれた話だと知り納得しました。前にツブヤイターで、元奥様がりあの先生の大ファンであると読みました。りあの先生とのコラボだと知り興奮しました。りあの先生が、どこの文を書いたのかわからないぐらいしんさんの世界観を壊さずに書かれていて驚きました。私も似たような境遇です。このBlu-rayを宝物にしたいと思いました。しんさんの作品に救われた一人です。ありがとうございました。だって!しんが好きなんだね」

「すごい伝わってきた。でも、この人が言う通り、りあのさんがどこ書いたのかな?演じててもわからなかったよ」

「確かに、お互いの作品を読み合う中だって言うぐらいだから、凄いよね。」

「俺は、昌也をりあのさんが書いてるのかなーって思ったんだけどね」

「どっちが、書いたかわからないから凄いよね。ただ、最後は小さなハッピーエンドがあるのはしんらしいよね」

「うん、そうだよね。」

「次は、これだね」

「そうだね、見ようか」

「これは、無名の小説家さんとリモートしながら作ったらしいよ!」

「多分、しんがベースではあるよね」

「美麗(みれ)と梓だよね」

「見よう、見よう」

そう言って、凛はBlu-rayを入れ換えて再生をする。

はやては、パソコンを閉じる。

雄大は、みんなのグラスにワインを注いでいれる。

実は、ポップコーンを広げる。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...