32 / 94
光珠の視点
許して
しおりを挟む
麗奈は、私の頬に流れる涙を拭ってくれる。
『私を許して、光珠』
「麗奈は、何も悪い事などしていないよ」
『そんな事ない。私は、光珠がくれる言葉や態度を何も信じれていなかったの。だから、許して。信じたいけど、信じれなかったの。自分に流れる痛みや苦しみの方が大切だった。だから、きちんと向き合えてなかった。私は、光珠に愛されてるって感じとれていなかった。だから、ごめんなさい。』
「私も、麗奈のあとを追えばよかった。何度もやろうとしたんだ。その度に、邪魔されて」
バシン……
「麗奈……?」
『私は、光珠に生きて欲しいの。生きて、生きて、生き続けて欲しいの。だから、宝珠さんに頼んだのよ。何度も邪魔されたんじゃない。私が、宝珠さんに頼んだの。だから、お願い。生きて』
「麗奈を忘れて生きるなど、許されない」
『許すのは、私でしょ?私が、生きてと言ってるのだから生きてよ。光珠』
「麗奈ぁぁぁぁぁぁぁ」
私は、麗奈のお腹にしがみついた。
トク…トク…ドクン…
生きてるみたいだった。
「一緒に生きよう。私は、希海さんとお別れをする。だから、麗奈。一緒に生きよう」
『馬鹿なの?』
「何で?」
『生きれないの。私は、死んだのよ。これは、人形なの。』
「でも、寝ない以外なんでも出来るってゐ空さんが言っていたし、実際に雅さんに会ったけれど、人間だった。だから、一緒に生きていこう」
『光珠、20年だよ。もう、幸せになっていいんだよ。充分苦しんだの知ってる。それに、この姿で生きて行って。最後に、光珠が死んだら私はどうするの?ゐ空さんのお弟子さんが、解体するのよね。私は、光珠を亡くした喪失感を味わうのよね。私には、耐えられないわ。だから、私は一緒には生きれない。』
「麗奈、どうして?この手の感覚は紛れもなく麗奈だ。この声だって。涙だって、ほら拭える。麗奈。お願いだよ。私と…。」
麗奈は、膝間づいて泣いてる私の隣にゆっくりと座った。
『死にたくないって思ったの』
私は、麗奈を見つめている。
『本当は、光珠に現れなかったのは、意識を失う瞬間に、死にたくないって思ったのをバレたくなかったからなの。』
うっすらと感じる温もり、手から伝わる心音。
私は、麗奈にくっついて泣く。
浮気になってしまったとしても、麗奈と離れたくなかった。
『死にたくなかった。ごめんね、光珠。あんな風になるまで、気づかなくて…。私ね、事切れる瞬間に初めて幸せだったんだって気づいたんだ。遅いでしょ?だから、光珠には、死ぬ前に気づいて欲しいよ。感じて欲しいよ。宮部さんに、出会って惹かれたんでしょ?大切にしなくちゃね。』
「嫌だ、嫌だ。麗奈といる。私は、麗奈とお腹の子とずっと傍にいる。離れたくない。嫌だ、嫌だ。どこにも行かないでくれ」
『フフフ、まるで子供みたいだね。そんな風に光珠の中に、まだいれてるなんて嬉しい』
麗奈は、そう言って私の肩に顔を近づける。
首に息があたって、肩に涙が流れている。
泣いてるのをバレたくなくて、そうする癖は紛れもなく麗奈だ。
『一緒に生きていたかった。死にたくなかった。光珠の傍で、この子と三人で笑って生きたかった。沢山、話をして、沢山、笑って、沢山、怒って、沢山、泣いて、沢山、手を繋いで、沢山、キスをして、沢山、抱きあって…。何十年も歳を重ねて、生きていたかった。』
私は、麗奈の震える肩に手を回した。
『無理な願いなの。もう、叶わない願いなの。私は、もう20年。光珠(こうじゅ)に触(ふ)れられていないからわかるの。無理だって』
「でも、今こうやって」
『だから、余計に辛いんだよ。』
その言葉に、私は泣いていた。
触(ふ)れられるのが、辛いなんて思わなかった。
『私を許して、光珠』
「麗奈は、何も悪い事などしていないよ」
『そんな事ない。私は、光珠がくれる言葉や態度を何も信じれていなかったの。だから、許して。信じたいけど、信じれなかったの。自分に流れる痛みや苦しみの方が大切だった。だから、きちんと向き合えてなかった。私は、光珠に愛されてるって感じとれていなかった。だから、ごめんなさい。』
「私も、麗奈のあとを追えばよかった。何度もやろうとしたんだ。その度に、邪魔されて」
バシン……
「麗奈……?」
『私は、光珠に生きて欲しいの。生きて、生きて、生き続けて欲しいの。だから、宝珠さんに頼んだのよ。何度も邪魔されたんじゃない。私が、宝珠さんに頼んだの。だから、お願い。生きて』
「麗奈を忘れて生きるなど、許されない」
『許すのは、私でしょ?私が、生きてと言ってるのだから生きてよ。光珠』
「麗奈ぁぁぁぁぁぁぁ」
私は、麗奈のお腹にしがみついた。
トク…トク…ドクン…
生きてるみたいだった。
「一緒に生きよう。私は、希海さんとお別れをする。だから、麗奈。一緒に生きよう」
『馬鹿なの?』
「何で?」
『生きれないの。私は、死んだのよ。これは、人形なの。』
「でも、寝ない以外なんでも出来るってゐ空さんが言っていたし、実際に雅さんに会ったけれど、人間だった。だから、一緒に生きていこう」
『光珠、20年だよ。もう、幸せになっていいんだよ。充分苦しんだの知ってる。それに、この姿で生きて行って。最後に、光珠が死んだら私はどうするの?ゐ空さんのお弟子さんが、解体するのよね。私は、光珠を亡くした喪失感を味わうのよね。私には、耐えられないわ。だから、私は一緒には生きれない。』
「麗奈、どうして?この手の感覚は紛れもなく麗奈だ。この声だって。涙だって、ほら拭える。麗奈。お願いだよ。私と…。」
麗奈は、膝間づいて泣いてる私の隣にゆっくりと座った。
『死にたくないって思ったの』
私は、麗奈を見つめている。
『本当は、光珠に現れなかったのは、意識を失う瞬間に、死にたくないって思ったのをバレたくなかったからなの。』
うっすらと感じる温もり、手から伝わる心音。
私は、麗奈にくっついて泣く。
浮気になってしまったとしても、麗奈と離れたくなかった。
『死にたくなかった。ごめんね、光珠。あんな風になるまで、気づかなくて…。私ね、事切れる瞬間に初めて幸せだったんだって気づいたんだ。遅いでしょ?だから、光珠には、死ぬ前に気づいて欲しいよ。感じて欲しいよ。宮部さんに、出会って惹かれたんでしょ?大切にしなくちゃね。』
「嫌だ、嫌だ。麗奈といる。私は、麗奈とお腹の子とずっと傍にいる。離れたくない。嫌だ、嫌だ。どこにも行かないでくれ」
『フフフ、まるで子供みたいだね。そんな風に光珠の中に、まだいれてるなんて嬉しい』
麗奈は、そう言って私の肩に顔を近づける。
首に息があたって、肩に涙が流れている。
泣いてるのをバレたくなくて、そうする癖は紛れもなく麗奈だ。
『一緒に生きていたかった。死にたくなかった。光珠の傍で、この子と三人で笑って生きたかった。沢山、話をして、沢山、笑って、沢山、怒って、沢山、泣いて、沢山、手を繋いで、沢山、キスをして、沢山、抱きあって…。何十年も歳を重ねて、生きていたかった。』
私は、麗奈の震える肩に手を回した。
『無理な願いなの。もう、叶わない願いなの。私は、もう20年。光珠(こうじゅ)に触(ふ)れられていないからわかるの。無理だって』
「でも、今こうやって」
『だから、余計に辛いんだよ。』
その言葉に、私は泣いていた。
触(ふ)れられるのが、辛いなんて思わなかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる