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光珠の視点
解放して
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私は、麗奈を抱き締めながら思い出していた。
私は、18歳の春に1つ下の麗奈に出会った。何度かデートを重ねて、その年の夏に告白をした。それから交際を続け、後、二週間で19歳が終わりを迎える日に私はプロポーズをし、その年に入籍した。翌年、結婚式もあげた。そして、結婚3年目の22歳の春に麗奈は妊娠したと私に告げ、その年の秋に麗奈は亡くなった。それから、20年。ただ、ひたすらに麗奈に会える日を夢見て生きてきた。
能力者である私にとって、死は永遠の別れではなかった。成仏した幽体には、名前を呼べばいつでも会えた。
だから、麗奈にもすぐに会えると
思い込んでいた。
しかし、麗奈はいくら名前を呼んでも現れてはくれなかった。
能力者としての訓練をつむことしかしていなかった私にとって、麗奈は初めて関わる人間だった。
恋をした事も付き合った事もなかった私にとって、麗奈の存在は大きかった。
高校生の麗奈と中学を卒業してから、ずっと修行だけをしてきた私とは住む世界が違うのがわかっていた。
なのに、麗奈は私を受け入れてくれた。そして、私と麗奈は、たくさんの初めてを二人で経験したのだ。
「麗奈、キスを初めてした時を覚えてる?」
『うん。歯が当たって痛かったよね。』
「そう、上手くいかなくてね。」
『初めて、肌を重ねた日は覚えてる?』
「お互い初めてで、痛い思いしかしなかったね。」
『その時に、光珠は責任をとって結婚をするからと言ったわ。』
麗奈は、私から離れて私の頬に手を当ててくれる。
「重いよね。普通は、そんな事をしても責任なんかとらないよね。」
麗奈は、首を横に振った。
『母とは、友達のように何でも話す関係だった。私は、母に言ったの。そう言われた事も、初めてを経験した事も…。そしたら、母は私にこう言った。麗奈、そんな風に言ってくれる人は世の中にそういない。だから、彼を大切にしなさいって。母は、光珠にプロポーズされた日に号泣して私を抱き締めてくれた。私の母は、光珠が大好きだった。だから、私を失った後の光珠を心配していた。幸せになって欲しいと毎日泣いていた。私を想い出に変えて生きて行って欲しいって…。父も母も、光珠が大好き。私も光珠を愛してる。なのに、光珠の足枷になってごめんね。もっと早く出るべきだったのよね』
麗奈は、私の涙を優しく拭ってくれる。
『お別れしましょう。いつまでも、あの頃にしがみついていたらいけないわ。せっかく光珠が、愛する人を見つけたのだから…。私は、もう光珠の足枷になりたくない。ねっ?』
私は、首を横に振る。
「やっぱり、嫌だ。出来ない。私は、20年も麗奈を待っていたんだよ。20年の想いをたった一日で捨てるなんて出来ない。」
『それは、執着心だったんじゃない?手放せば、楽になれるから』
「執着じゃない。愛だよ。麗奈を待っていたんだよ。ずっと、待っていたんだよ。」
『執着と愛は、紙一重。光珠は、気づいてないだけだよ。手放せば進めるの。宮部さんの事、信じてあげれるようになるから…。だから、私とはさよならしよう。もう、私の事に苦しめられないでいいの。光珠は、充分すぎる程、私を愛してくれていたから。ちゃんとわかってるから…。』
「嫌だよ。嫌に決まってるだろ。麗奈は、私の初めてで。私の世界を変えてくれた人で、私の全てだったんだよ。毎日の仕事が辛くて苦しくても、家に帰って麗奈が笑顔でおかえりと言ってくれるだけで幸せだったんだ。満たされていたんだ。そんな、愛をまた失うなんて出来ない。今だって、麗奈に触(ふ)れる事が出来て嬉しいんだよ。」
麗奈は、私から目をそらした。
『私は、嬉しくないの。辛いだけなの。だから、もう私を解放してよ。光珠』
「嫌だーーー。」
私は、流れる涙をとめられなくて麗奈にしがみついた。
「麗奈の本心なら、ちゃんと目を見て言ってよ。」
私は、18歳の春に1つ下の麗奈に出会った。何度かデートを重ねて、その年の夏に告白をした。それから交際を続け、後、二週間で19歳が終わりを迎える日に私はプロポーズをし、その年に入籍した。翌年、結婚式もあげた。そして、結婚3年目の22歳の春に麗奈は妊娠したと私に告げ、その年の秋に麗奈は亡くなった。それから、20年。ただ、ひたすらに麗奈に会える日を夢見て生きてきた。
能力者である私にとって、死は永遠の別れではなかった。成仏した幽体には、名前を呼べばいつでも会えた。
だから、麗奈にもすぐに会えると
思い込んでいた。
しかし、麗奈はいくら名前を呼んでも現れてはくれなかった。
能力者としての訓練をつむことしかしていなかった私にとって、麗奈は初めて関わる人間だった。
恋をした事も付き合った事もなかった私にとって、麗奈の存在は大きかった。
高校生の麗奈と中学を卒業してから、ずっと修行だけをしてきた私とは住む世界が違うのがわかっていた。
なのに、麗奈は私を受け入れてくれた。そして、私と麗奈は、たくさんの初めてを二人で経験したのだ。
「麗奈、キスを初めてした時を覚えてる?」
『うん。歯が当たって痛かったよね。』
「そう、上手くいかなくてね。」
『初めて、肌を重ねた日は覚えてる?』
「お互い初めてで、痛い思いしかしなかったね。」
『その時に、光珠は責任をとって結婚をするからと言ったわ。』
麗奈は、私から離れて私の頬に手を当ててくれる。
「重いよね。普通は、そんな事をしても責任なんかとらないよね。」
麗奈は、首を横に振った。
『母とは、友達のように何でも話す関係だった。私は、母に言ったの。そう言われた事も、初めてを経験した事も…。そしたら、母は私にこう言った。麗奈、そんな風に言ってくれる人は世の中にそういない。だから、彼を大切にしなさいって。母は、光珠にプロポーズされた日に号泣して私を抱き締めてくれた。私の母は、光珠が大好きだった。だから、私を失った後の光珠を心配していた。幸せになって欲しいと毎日泣いていた。私を想い出に変えて生きて行って欲しいって…。父も母も、光珠が大好き。私も光珠を愛してる。なのに、光珠の足枷になってごめんね。もっと早く出るべきだったのよね』
麗奈は、私の涙を優しく拭ってくれる。
『お別れしましょう。いつまでも、あの頃にしがみついていたらいけないわ。せっかく光珠が、愛する人を見つけたのだから…。私は、もう光珠の足枷になりたくない。ねっ?』
私は、首を横に振る。
「やっぱり、嫌だ。出来ない。私は、20年も麗奈を待っていたんだよ。20年の想いをたった一日で捨てるなんて出来ない。」
『それは、執着心だったんじゃない?手放せば、楽になれるから』
「執着じゃない。愛だよ。麗奈を待っていたんだよ。ずっと、待っていたんだよ。」
『執着と愛は、紙一重。光珠は、気づいてないだけだよ。手放せば進めるの。宮部さんの事、信じてあげれるようになるから…。だから、私とはさよならしよう。もう、私の事に苦しめられないでいいの。光珠は、充分すぎる程、私を愛してくれていたから。ちゃんとわかってるから…。』
「嫌だよ。嫌に決まってるだろ。麗奈は、私の初めてで。私の世界を変えてくれた人で、私の全てだったんだよ。毎日の仕事が辛くて苦しくても、家に帰って麗奈が笑顔でおかえりと言ってくれるだけで幸せだったんだ。満たされていたんだ。そんな、愛をまた失うなんて出来ない。今だって、麗奈に触(ふ)れる事が出来て嬉しいんだよ。」
麗奈は、私から目をそらした。
『私は、嬉しくないの。辛いだけなの。だから、もう私を解放してよ。光珠』
「嫌だーーー。」
私は、流れる涙をとめられなくて麗奈にしがみついた。
「麗奈の本心なら、ちゃんと目を見て言ってよ。」
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