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喜与恵と宝珠の視点
朝
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朝目覚めると宝珠の腕に抱き締められていた。
私は、ワガママだよね。
このお腹に、命を宿すなんて出来ないのに…。
私は、ベッドから降りる。
はぁー。
私は、水を飲んでシャワーを浴びる。
消えたくなる。
だから、病院の仕事を辞める為にあの方に血をもらった。
宝珠の為だといいながら、私は自分の為だったんだ。
ザァー。
「おはよう」
「えっ?何で?」
「起きて、水飲んで、いないから」
裸の宝珠が、私に抱きついてる。
「頭洗ってあげるから、座って」
宝珠に言われて、椅子に座らされた。
「また、嫌な夢見たの?」
頭を洗ってくれる。
「目覚めたら、男だっただけ」
「女性でも悩んでる幽体を沢山見てきただろ?」
「わかってるよ。」
「それでも、結婚して子供が欲しかった?」
私は、宝珠の顔を見れなかった。
優しく髪を流してくれる。
リンスをつけられる。
宝珠は、からの湯船に入る。
「喜与恵の思ってる事、全部わかってる。喜与恵といる時は、いつもONのままでいれるから…。でも、喜与恵の苦しみを拭えない事が辛い。あの子達は、ポケットにいれたままだろ?」
「あっ、うん。朝ご飯手伝ってもらおうかな」
宝珠は、シャワーをひねって私のリンスを流す。
ボディソープを泡立てて、体を洗ってくれる。
「喜与恵、願いは叶わないから願いなのかもしれないね。」
「なに、それ?」
「だって、そうだろ?沢山、子宝に恵まれたい人がいただろ?一緒に、見てきただろ?」
「うん」
「皆、望んでたのにね。子供が欲しいって…。」
「うん」
「治療だって、お金がかかるから断念した人も沢山いる。お医者様から、これ以上出来ないと言われた人もいた。皆、欲しかったんだよね。喜与恵には、その幽体達の悲しみがわかるだろ?」
「うん」
宝珠は、丁寧に私の体を洗ってくれる。
これだけで、幸せなのに…。
多くを望むべきじゃないのに…。
【私は、もう諦めたって思ってたの。もう、前に進めたって思ってたの。】
「皐月さんを思い出した?」
「ごめんね」
宝珠は、体を流してくれる。
「風邪引くから、先にあがりなよ。」
「嫌だ。」
私は、からの湯船にはいる。
ポロポロ涙が流れてくる。
「希海ちゃんに皐月さんの話をしてよ。次の取材で!!駄目?」
「ううん、するよ」
「私が、頭洗うよ」
私は、宝珠の頭を洗う。
叶わない願いなら、いらない。
宝珠との日々が手に入っただけで、素晴らしい事なのに…。
もっと、もっとを願わずにはいれないなんて…。
「橋崎先生がさ…」
「小説書いてる人?」
「そうそう。不妊に悩んでから、子宝に恵まれたんだけど。一生不妊のテーマを書き続けるって話してた。」
「どうして?」
「妊娠したら、すぐにそっちにシフトできる人に沢山出会ったけど…。橋崎先生は、出来なかったって言ってた。あの苦しみを全部なかった事にして、子供がいる小説を書けないって!」
「そうなんだね」
「うん、MOONやってる時に会いに来たんだ。流産した子供が、怒ってないか聞きたいって!7回流産してるからって。」
「橋崎先生は、今も不妊の人の小説を書いてるの?」
「うん、書いてるよ!不妊の人や喜与恵のように同性を愛して子供を望んでる人の葛藤を書いてる。」
私は、宝珠の髪を流してリンスをつけた。
「どうして、子宝に恵まれたのにそっちを書くのかな?」
「流産してた子供への贖罪もあるけど、同じ立場にいた人間が子を授かって優劣の優に変わった瞬間を見てきたからってのは言ってた。橋崎先生の友達が、同じように不妊で、橋崎先生が妊娠する二年前に出来たんだって!そしたら、急に彼女は上からに変わったって!これをしたらいい、あれをするべき、妊娠したらsnsにマタアカを作って、子供が産まれたら、ベビアカを作ったらしいよ。嫌なら、見なきゃいいだけよって偉そうに笑って言ったって!橋崎先生は、それを見て急に惨めに思ったって…。自分は、たまたま8回目に子供を授かれたけど…。永遠に授かれない人、治療の結果授かれなかった人、治療も出来ない人、そんな人はどう思うのかを考えるようになったって!だから、橋崎先生は一生そのテーマを描くって決めたって」
私は、宝珠の髪を流した。
ボディソープを泡立てて、宝珠の体を洗う。
「喜与恵も私も、一生このテーマを背負って生きるしかないんだね」
「宝珠」
宝珠は、泡だらけの手で私のお腹を撫でる。
「喜与恵が、望んでるのちゃんとわかってるから…。だから、ちゃんと言って!しつこいとか、うるさいって言わないから…。納得いくまで聞くから」
「うん」
こんなに、話を聞いてもらってるのに息苦しくて生きづらいなんてワガママだよね。
私は、ワガママだよね。
このお腹に、命を宿すなんて出来ないのに…。
私は、ベッドから降りる。
はぁー。
私は、水を飲んでシャワーを浴びる。
消えたくなる。
だから、病院の仕事を辞める為にあの方に血をもらった。
宝珠の為だといいながら、私は自分の為だったんだ。
ザァー。
「おはよう」
「えっ?何で?」
「起きて、水飲んで、いないから」
裸の宝珠が、私に抱きついてる。
「頭洗ってあげるから、座って」
宝珠に言われて、椅子に座らされた。
「また、嫌な夢見たの?」
頭を洗ってくれる。
「目覚めたら、男だっただけ」
「女性でも悩んでる幽体を沢山見てきただろ?」
「わかってるよ。」
「それでも、結婚して子供が欲しかった?」
私は、宝珠の顔を見れなかった。
優しく髪を流してくれる。
リンスをつけられる。
宝珠は、からの湯船に入る。
「喜与恵の思ってる事、全部わかってる。喜与恵といる時は、いつもONのままでいれるから…。でも、喜与恵の苦しみを拭えない事が辛い。あの子達は、ポケットにいれたままだろ?」
「あっ、うん。朝ご飯手伝ってもらおうかな」
宝珠は、シャワーをひねって私のリンスを流す。
ボディソープを泡立てて、体を洗ってくれる。
「喜与恵、願いは叶わないから願いなのかもしれないね。」
「なに、それ?」
「だって、そうだろ?沢山、子宝に恵まれたい人がいただろ?一緒に、見てきただろ?」
「うん」
「皆、望んでたのにね。子供が欲しいって…。」
「うん」
「治療だって、お金がかかるから断念した人も沢山いる。お医者様から、これ以上出来ないと言われた人もいた。皆、欲しかったんだよね。喜与恵には、その幽体達の悲しみがわかるだろ?」
「うん」
宝珠は、丁寧に私の体を洗ってくれる。
これだけで、幸せなのに…。
多くを望むべきじゃないのに…。
【私は、もう諦めたって思ってたの。もう、前に進めたって思ってたの。】
「皐月さんを思い出した?」
「ごめんね」
宝珠は、体を流してくれる。
「風邪引くから、先にあがりなよ。」
「嫌だ。」
私は、からの湯船にはいる。
ポロポロ涙が流れてくる。
「希海ちゃんに皐月さんの話をしてよ。次の取材で!!駄目?」
「ううん、するよ」
「私が、頭洗うよ」
私は、宝珠の頭を洗う。
叶わない願いなら、いらない。
宝珠との日々が手に入っただけで、素晴らしい事なのに…。
もっと、もっとを願わずにはいれないなんて…。
「橋崎先生がさ…」
「小説書いてる人?」
「そうそう。不妊に悩んでから、子宝に恵まれたんだけど。一生不妊のテーマを書き続けるって話してた。」
「どうして?」
「妊娠したら、すぐにそっちにシフトできる人に沢山出会ったけど…。橋崎先生は、出来なかったって言ってた。あの苦しみを全部なかった事にして、子供がいる小説を書けないって!」
「そうなんだね」
「うん、MOONやってる時に会いに来たんだ。流産した子供が、怒ってないか聞きたいって!7回流産してるからって。」
「橋崎先生は、今も不妊の人の小説を書いてるの?」
「うん、書いてるよ!不妊の人や喜与恵のように同性を愛して子供を望んでる人の葛藤を書いてる。」
私は、宝珠の髪を流してリンスをつけた。
「どうして、子宝に恵まれたのにそっちを書くのかな?」
「流産してた子供への贖罪もあるけど、同じ立場にいた人間が子を授かって優劣の優に変わった瞬間を見てきたからってのは言ってた。橋崎先生の友達が、同じように不妊で、橋崎先生が妊娠する二年前に出来たんだって!そしたら、急に彼女は上からに変わったって!これをしたらいい、あれをするべき、妊娠したらsnsにマタアカを作って、子供が産まれたら、ベビアカを作ったらしいよ。嫌なら、見なきゃいいだけよって偉そうに笑って言ったって!橋崎先生は、それを見て急に惨めに思ったって…。自分は、たまたま8回目に子供を授かれたけど…。永遠に授かれない人、治療の結果授かれなかった人、治療も出来ない人、そんな人はどう思うのかを考えるようになったって!だから、橋崎先生は一生そのテーマを描くって決めたって」
私は、宝珠の髪を流した。
ボディソープを泡立てて、宝珠の体を洗う。
「喜与恵も私も、一生このテーマを背負って生きるしかないんだね」
「宝珠」
宝珠は、泡だらけの手で私のお腹を撫でる。
「喜与恵が、望んでるのちゃんとわかってるから…。だから、ちゃんと言って!しつこいとか、うるさいって言わないから…。納得いくまで聞くから」
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