許されざる恋の代償【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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三日月家の掟

黙認

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一ヶ月後の婚礼の儀式の用意をしている伊村。

伊村は、宝亀と一条が、深い仲になっていたのを気づいていた。

「師匠は、怒るんと違うか?」

「それでも、私は黙っておきますよ。」

お手伝いにきていた、満月建三(まんげつけんぞう)。のちの、満月湊に話していた。

「一条と宝亀は、もう夜伽してしもたんやろ?伊村」

「どうやら、そのようです。この目で、見ました。しかし、宝亀がそのお陰で救われていっているのも、また事実です。私は、このまま黙っておくつもりです。」

「ほんなら、私も黙っとくよ」

建三と一緒に、鈴飾りを作りながら伊村は笑っていた。

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そのビジョンを使い魔の紅から見せられた兆珠。

「あやつは、まぐわったか」

『そのようです。』

ギリギリと親指を噛む。

血が、ボトボトと滴り落ちる。

【許せぬな!兆珠】

「はい」

眠ったカエを見つめていた。

【おなごをあてがえばよいではないか?】

「あー。その手がありましたね」

【ここに、いけ。】

その方に言われて、三日月が使用している神社にやってきた兆珠。

「兆珠さん、今日は何かご用でしょうか?集まりは、伊村さんの婚礼の儀の時と聞いておりましたので…。」

相変わらずな美しさだ。

自分の者にしてから、宝亀にくれてもいいと思う程だった。

しかし、それをしたらよくないであろう。

そうか、宝亀が捨てたら拾ってやるとしよう。

「八重、これ飲んでみてくれぬか?」

「これは?」

「婚礼の時に、振る舞う予定になっておるお茶だ。」

「そうですか」

八重は、疑いつつもそのお茶を飲んだ。

「苦いですね。後、色が少しよくないと思います。」

「そうか、ならばこちらはやめておこう」

八重から、竹で作ってある水筒のようなものを返してもらう兆珠。

八重は、のちの喜与恵であった。

これから先の世も、ずっと八重が苦しむ事になるのは、この時兆珠が飲ませた飲み物のせいだった。

その方の血と青色の花の根を入れたお茶を飲ませたのだ。

そして、無理矢理に八重と宝亀が結ばれる縁を作ったのだった。

「八重、好きな人はおらぬのか?」

「お、おりません。」

その顔に、さっきのが聞いたのを兆珠は、理解した。

「宝亀が、好きなのだな」

「いえ」

「八重、わしが後で宝亀を連れてきてやるから…。気持ちを伝えなさい。」

「兆珠さん」

「心配しなくても、大丈夫だよ。八重は、美しい。接吻の一つでも、してやれば落ちるはずだ」

「本当ですか?」

「ああ、本当だ」

兆珠は、ニコニコ笑いながら八重の頭を撫でる。

「血がでておりますよ。手当てをいたします。」

八重の口の中に、自分のモノをいれたい衝動を兆珠は我慢する。

先の世の為には、八重に宝亀の子を宿してもらわねばならない。

「手当てしてくれるか」

八重の頬を撫でると、八重は顔を赤らめた。

全て終わったら、楽しんでやろう

手当てするものを取りに行く八重を見つめながらそう思っていた。

この神社の主(ぬし)にもバレずに事がうまく運んだ事を兆珠は喜んでいた。

「お待たせしました。」

「ああ」

八重は、兆珠の手を手当てしてくれた。

「接吻はした事はあるか?」

「いえ、ありませぬ」

「宝亀をおとす為に、わしが教えてやろう。親が子にやり方を教えるものなのだ。みなしごだった八重には、わからぬだろう?」

もう、我慢出来なかった。

「はい」

八重は、純粋そのものだった。

兆珠の嘘を信じた。

「こうやるのだよ」

兆珠は、八重の唇を躊躇いもなく奪った。

舌をねじ込んで、八重の息が荒くなるまで続けたのだった。

「ハァー、ハァー」

唇を離された。

八重は、息が止まるかと思った。

「八重、同じように宝亀にやるのだよ」

「はい」

「また、まぐわう事になったら教えてやるから。八重」

「そちらも、教えられるものなのですか?」

八重は、目を見開いて驚いていた。

「そうじゃよ。八重は、何も知らぬからな」

「わかりました。」

「八重、また来る」

「はい」

兆珠は、八重と接吻が出来た事を嬉しく思っていた。

八重は、色白で目は大きな流し目で、妖艶さを持っていた。

小さなプクリとした唇をいつも吸ってやりたかった。

兆珠は、満足感でいっぱいだった。

ただ、この身体の中を流れる熱を拭いきれなかった。

急ぎ足で、カエの元に向かう兆珠だった。
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