愛してる。由紀斗&千尋

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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晩御飯

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「シャワーはいるから」

俺から離れて、千尋はパチンと電気をつけた。

「ごめん、邪魔して」

「ううん」

チュッ

「由紀斗さん」

「したかっただけだよ。」

俺は、洗面所から出た。

リビングに戻ると、相変わらず二人で楽しそうに野菜を切ったりしていた。

「千尋があがったら、風呂はいってくるから」

「わかった。」

梨寿(りじゅ)が、キッチンを動いてる姿に、嬉しさが込み上げてきていた。

千尋は、すぐにあがってやってきた。

「烏の行水だな?ちゃんと、洗ったか?」

「洗ってるよ。梨寿(りじゅ)さん、お水もらいたい」

「ああ、どうぞ」

真白(ましろ)さんは、梨寿(りじゅ)が千尋に触(ふ)れないようにガードしてる。

仲良くなれたらいいけど…。

「由紀斗さん、風呂はいってきてよ。待ってるから」

「ああ」

俺は、千尋に言われて二階から服を取りに行く。

【子供が出来たら、真ん中の部屋を使ってもらおうね】

【滑り台とか、おきたいなー。】

【こんなのも、可愛いよね】

働きに行く前、梨寿(りじゅ)の生理が2ヶ月半来なかった時があった。

期待した俺達は、雑誌を買って赤ちゃんグッズを見たんだ。

そして、勇気が出た梨寿(りじゅ)は、検査薬をした。

結局、真っ白だった。

梨寿(りじゅ)は、泣いたんだ。

赤ちゃんに使おうって、決めたこの部屋で一人ぼっちで…。

パチン…。

俺は、電気をつけた。

あの後すぐに、物置にしたんだ。

【由紀斗、もうこんな事に振り回されて生きるのは嫌。】

そう言ったから、二人で物置にした。

【ほら、ツリーもここにいれて。これも、これも…】

シーズンごとにしか使わない物で半分埋まった時に、梨寿(りじゅ)が言った。

【少しだけ、楽になったよ。】

使わなかった、部屋が物で埋まった。

ただ、それだけで俺の心も少し軽くなった。

パチン…と電気を消した。

服を取って、一階に降りた。

キッチンの後ろからも風呂場にいけるように作った。

【子供がお風呂にはいっていても、すぐに行けるじゃない】

いつかの子供をつかまえられなかった。

シャワーを捻って、お湯が出るのを待つ。

期待しては、バレないようにお互いに泣いた。

だんだんと、優しく出来なくなっていった。

肌を重ねなければ、普通にいれた。

でも、いったん重ねると何日も余韻が広がり、お互いに優しくできなかった。

シャワーを浴びる。

新婚の時は、二人でお風呂に何度も入った。

だんだんと入らなくなっていった。

シャワーから上がって、体をふく。

おざなりの営みを繰り返したから、俺達は離れた。

離れたのに、まだ好きなんてな。

リビングに向かった俺に、千尋が水をくれる。

「しゃぶしゃぶだって」

「そっか」

「火つけるね。」

梨寿(りじゅ)は、俺を見てコンロに火をつけた。

「これ、由紀斗と市木さんの分のお肉ね。」

「ありがとう」

「真白(ましろ)、これ私達のだからね」

「うん」

「座って、座って」

そう言われて、席についた。

「じゃあ、シェアハウスに乾杯だね」

「かんぱーい」

梨寿(りじゅ)以外のメンバーは、お酒を飲む。

しゃぶしゃぶのお肉以外は、梨寿(りじゅ)が面倒を見てくれていた。

「温かいまま食べれるのいいな、千尋」

「そうですね。この場所に宅配頼んだら、あんまりアチアチこないですよね。」

「千尋さんって呼んでいい?」

「いいですよ」

「由紀斗のどこがよかったの?」

「そうですね、優しいとことか、家庭の話もしなかったですし…。何か、安心感ですかね」

「そうなんだね。何か、元旦那が褒められるのは嬉しいよ。」

「梨寿(りじゅ)さんって呼んでも?」

「いいよ」

「駄目だよ」

「真白(ましろ)、いいじゃん。まだ、大宮姓だからややこしいんだし。」

「何か、嫌われてます?」

「嫌いだよ」

「酔っ払った?」

真白(ましろ)さんは、相変わらず千尋に敵意を向けていた。

しゃぶしゃぶを食べ終わって、片付けをする。

真白(ましろ)さんは、ソファーで横になってしまった。

「お客さん用の毛布取ってくるよ」

「今日は、帰ろうと思ったんだけどね」

「少しだけ寝かせてあげなよ」

俺が、二階に上がると千尋もフラフラしながらついてきた。


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