3 / 18
キッチン
しおりを挟む
俺は、キッチンでお皿を洗う。
「ねぇー。由紀斗さん。」
「何?」
「一緒に住み始めたら、緊張する?」
「別にしないよ」
「でもさぁー。ソファーとかでイチャイチャされたりさ、部屋から聞こえてきたりしたら、我慢できるの?」
千尋の言葉に、出来るよ。なんて軽々しく答えられなかった。
「答えられないんだね」
「それは、そうだよね。難しいよね。元夫婦なわけだから…。」
「へー。逆に、楽しみだね」
千尋は、そう言って俺を抱き締めてきた。
「ただいまー。」
「帰ってきたよ」
俺は、千尋から離れた。
千尋は、少しだけ寂しい顔をしたけれど…。
さすがに、いちゃつくわけにはいかなかった。
「おかえり」
キッチンで、お皿を洗い終わった俺は、荷物を取りに行く。
真白(ましろ)さんは、たくさん荷物を持っている。
多分、梨寿(りじゅ)の足を誰よりも気づかっているのだ。
「ありがとうございます。」
「いえ」
俺は、真白(ましろ)さんから袋を受け取った。
「二人は、料理して食べてるの?」
入ってきた梨寿(りじゅ)に声をかけられた。
「いや、宅配で頼んでる。昨日は、寿司だった。」
「そんなの続けてたら、すぐにお金なくなっちゃうよ。」
「わかってる」
こんな感じが、久しぶりで懐かしくて嬉しくて。
あー。俺のどこかには、梨寿(りじゅ)がまだいるんだって感じた。
「真白(ましろ)が、お野菜沢山とる為にお鍋がいいって言って。お鍋、前のとこにある?」
梨寿(りじゅ)が、キッチンにやってきた。
お鍋を取ろうと上の戸棚を開ける。
「取るよ」
「由紀斗さん、俺が取るよ」
背伸びして取ろうとした俺を見ていた千尋が、鍋を取ってくれた。
「ありがとう」
梨寿(りじゅ)は、気にせず受け取る。
「コンロ持っていって。真白(ましろ)、手伝って」
ムスッとした、真白(ましろ)さんは、梨寿(りじゅ)に近づいた。
「座っといた方がいいよな?」
「うん、シャワーとか浴びたら?」
「そうさせてもらうよ。」
「俺が、先入ってくる」
千尋は、そう言ってシャワーに言った。
コンロをセットしたりお皿を持っていきながら、二人を見つめていた。
「真白(ましろ)、このお皿にお肉並べて」
「梨寿(りじゅ)、これでいいの?」
嬉しそうな真白(ましろ)さんを見てると、あそこは俺だったのに何て思ってしまった。
俺は、リビングから出る。
まだ、一週間?
もう、一週間?
何で、泣いてるんだろうか…。
「由紀斗さん、きて」
二階から、服を持って降りてきた千尋は俺を引っ張った。
「ごめんな。千尋」
「由紀斗さんが、梨寿(りじゅ)さんをまだ愛してるの知ってるから」
電気のつけていない、洗面所で抱き締められる。
「ごめん、本当にごめん。」
どうして、失くせないのかわからない気持ちに押し潰されて、ごめんとしか言えなかった。
「明日から、ちゃんと住めるの?梨寿(りじゅ)さんは、もう真白(ましろ)さんのものなんだよ。無理なら…」
「無理じゃないよ。ただ、うまく消せないだけだから…。」
「当たり前だよね?二人は、10年間一緒に居たんだよ。色んな事、乗り越えてきたんだよ。消せるわけないよ。そんなの俺、わかっていて一緒にいるんだよ。そんな簡単に消すような人なら、一緒にいないよ。」
千尋の言葉に涙が止められなかった。
「由紀斗さん、いいんだよ。梨寿(りじゅ)さんを好きでいて…。梨寿(りじゅ)さんだって、まだ由紀斗さんを好きだよ。ただ、一緒にいれないだけだろ?せっかく、同じ家に住めるんだよ。もっと、話しかけなよ。もっと、笑いなよ。俺に、気を使わないでよ。二人の新しい形を見つけられるようにしなきゃ……ねっ?」
そう言われて、頷いた。
俺と梨寿(りじゅ)は、もう隣にあんな風にいれない
こんな風に、抱き締めあえない
新しい形を見つけないといけないんだ。
それが、きっとこのシェアハウスで見つけられる気がしてたんだよ。
「ねぇー。由紀斗さん。」
「何?」
「一緒に住み始めたら、緊張する?」
「別にしないよ」
「でもさぁー。ソファーとかでイチャイチャされたりさ、部屋から聞こえてきたりしたら、我慢できるの?」
千尋の言葉に、出来るよ。なんて軽々しく答えられなかった。
「答えられないんだね」
「それは、そうだよね。難しいよね。元夫婦なわけだから…。」
「へー。逆に、楽しみだね」
千尋は、そう言って俺を抱き締めてきた。
「ただいまー。」
「帰ってきたよ」
俺は、千尋から離れた。
千尋は、少しだけ寂しい顔をしたけれど…。
さすがに、いちゃつくわけにはいかなかった。
「おかえり」
キッチンで、お皿を洗い終わった俺は、荷物を取りに行く。
真白(ましろ)さんは、たくさん荷物を持っている。
多分、梨寿(りじゅ)の足を誰よりも気づかっているのだ。
「ありがとうございます。」
「いえ」
俺は、真白(ましろ)さんから袋を受け取った。
「二人は、料理して食べてるの?」
入ってきた梨寿(りじゅ)に声をかけられた。
「いや、宅配で頼んでる。昨日は、寿司だった。」
「そんなの続けてたら、すぐにお金なくなっちゃうよ。」
「わかってる」
こんな感じが、久しぶりで懐かしくて嬉しくて。
あー。俺のどこかには、梨寿(りじゅ)がまだいるんだって感じた。
「真白(ましろ)が、お野菜沢山とる為にお鍋がいいって言って。お鍋、前のとこにある?」
梨寿(りじゅ)が、キッチンにやってきた。
お鍋を取ろうと上の戸棚を開ける。
「取るよ」
「由紀斗さん、俺が取るよ」
背伸びして取ろうとした俺を見ていた千尋が、鍋を取ってくれた。
「ありがとう」
梨寿(りじゅ)は、気にせず受け取る。
「コンロ持っていって。真白(ましろ)、手伝って」
ムスッとした、真白(ましろ)さんは、梨寿(りじゅ)に近づいた。
「座っといた方がいいよな?」
「うん、シャワーとか浴びたら?」
「そうさせてもらうよ。」
「俺が、先入ってくる」
千尋は、そう言ってシャワーに言った。
コンロをセットしたりお皿を持っていきながら、二人を見つめていた。
「真白(ましろ)、このお皿にお肉並べて」
「梨寿(りじゅ)、これでいいの?」
嬉しそうな真白(ましろ)さんを見てると、あそこは俺だったのに何て思ってしまった。
俺は、リビングから出る。
まだ、一週間?
もう、一週間?
何で、泣いてるんだろうか…。
「由紀斗さん、きて」
二階から、服を持って降りてきた千尋は俺を引っ張った。
「ごめんな。千尋」
「由紀斗さんが、梨寿(りじゅ)さんをまだ愛してるの知ってるから」
電気のつけていない、洗面所で抱き締められる。
「ごめん、本当にごめん。」
どうして、失くせないのかわからない気持ちに押し潰されて、ごめんとしか言えなかった。
「明日から、ちゃんと住めるの?梨寿(りじゅ)さんは、もう真白(ましろ)さんのものなんだよ。無理なら…」
「無理じゃないよ。ただ、うまく消せないだけだから…。」
「当たり前だよね?二人は、10年間一緒に居たんだよ。色んな事、乗り越えてきたんだよ。消せるわけないよ。そんなの俺、わかっていて一緒にいるんだよ。そんな簡単に消すような人なら、一緒にいないよ。」
千尋の言葉に涙が止められなかった。
「由紀斗さん、いいんだよ。梨寿(りじゅ)さんを好きでいて…。梨寿(りじゅ)さんだって、まだ由紀斗さんを好きだよ。ただ、一緒にいれないだけだろ?せっかく、同じ家に住めるんだよ。もっと、話しかけなよ。もっと、笑いなよ。俺に、気を使わないでよ。二人の新しい形を見つけられるようにしなきゃ……ねっ?」
そう言われて、頷いた。
俺と梨寿(りじゅ)は、もう隣にあんな風にいれない
こんな風に、抱き締めあえない
新しい形を見つけないといけないんだ。
それが、きっとこのシェアハウスで見つけられる気がしてたんだよ。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
目線の先には。僕の好きな人は誰を見ている?
綾波絢斗
BL
東雲桜花大学附属第一高等学園の三年生の高瀬陸(たかせりく)と一ノ瀬湊(いちのせみなと)は幼稚舎の頃からの幼馴染。
湊は陸にひそかに想いを寄せているけれど、陸はいつも違う人を見ている。
そして、陸は相手が自分に好意を寄せると途端に興味を失う。
その性格を知っている僕は自分の想いを秘めたまま陸の傍にいようとするが、陸が恋している姿を見ていることに耐えられなく陸から離れる決意をした。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる