15 / 18
兄の苦しみ
しおりを挟む
兄と竹君が、もうすぐ終わりを迎えるページを見つけた。
【父親に、また酷いことを言われたと言った。俺は、■■を守ってやりたくてまたしてしまった。■■は、嘘でもいいから愛してるって言ってと言った。俺は、そう言ってした。終わった後、■■が好きな子に告白されたと言った。もうそろそろ終わらせなアカンかな?俺も告白されたから。それを言ったら、いつも優しい■■が怒って俺に馬乗りになった。何で、それ今言うん?ってポロポロ泣いた。何で泣いてんのかわからへん】
最後の文字が、滲んでいた。
次の日を見る。
【あの後、■■はすぐに帰った。まだ、返事はしてなかった。モヤモヤしてたから、学校の使ってない教室に連れてきた。昨日の何なん?って聞いた。ごめんとだけ言う。■■は、好きな子おるやん。俺は、友達やろ?だったら、もうやめたらいいやんって言った。珍しく■■からキスをしてきた。何なん?って言ったら、またごめん。いい加減、イライラする】
すれ違いが、起こり始めたのがわかる。
【普通に過ごすつもりやった。■■が家の人がおらんからって俺を誘った。昨日は、キスだけやったから。もう、せんかったら終わると思った。やのに、■■から■してきた。何でって聞いたら、色んな事忘れられるって言った。俺は、またしてもうた。】
ページを先に進める。
【■■が、好きな人と付き合ったって聞いたから。俺も、付き合った。もう、これで親友に戻れる。なのに、家で過ごした■■が言った。もう、触(ふ)れんの?当たり前やろって笑って言ったら、■■にキスされた。意味がわからない】
八(はち)との恋に破れた兄は、竹君に慰めてもらい。
竹君を振り回し、竹君とすれ違った。
【■■が親友に戻るのは、無理だと言った。けど俺は、できるって言った。■■が、キスをしてきそうになったけど、俺は、かわした。ごめん。もう受け止められない】
日記は、ここで最後かな…
兄は、日記を書くのが趣味だったのではないか?
僕は、兄の部屋に入った。
電気をつけた。
机を探した。
兄の部屋の本棚を探す。
あった。
鍵つきの青い日記帳。
鍵がない…。
机の引き出しを開けると、それはあった。
ページを開くとやはりあの日記からの続きも書かれている。
ペラペラ捲って、気になったページでとめた。
【竹が九你臣(くにおみ)にキスをしたのを見てしまった。多分、これは俺のせいだ。九你臣(くにおみ)は、多分ファーストキスだ。キスは、どんな感じだと言っていたから】
えっ…。僕のファーストキスは、竹君…
【竹が、男子中学生と会ってる話を知った。俺のせいだ。俺が竹に男を教えた。】
ペラペラと捲る。
【竹をあの子から引き離した。死んだみたいな目をしてる。多分、竹はベロベロで覚えていない。また、俺達はあの関係に戻ったんだ。】
また…。
二十歳の時に、また…
【竹は、何も覚えていない。ベロベロで俺を求めた。俺は、それに答えた。あの日の竹みたいに、竹が立ち直るまでそうするつもりだ。】
兄が、この家をでるまでの日記だ。
23歳で、この家をでた。
二十歳から、三年間。
竹君は、知らなかったのかな…
本当に…。
僕には、そうは思えなかった。
竹君は、知っていたのではないだろうか?
それでも、兄と繋がりたかったのは…。
何もかも忘れたかったからではなかったのだろうか?
【俺は、竹を利用している。俺にとって、それはもう捌け口だった。仕事の苛立ち、自分への苛立ち。竹とそうすると、あの頃みたいに満たされた。欲望が叶っていく感覚、支配する感覚。俺は、優しい人間ではない事を実感する。こんなに、支配したくなる人間だと言うことを実感する。】
八(はち)が、僕に言った言葉を思い出した。
『九(きゅう)、俺のおかんはね。弱い人間やった。小さな俺を支配する事が幸せやった。人間ってな、やっぱり動物なんやで。誰かを支配する事で満たされるんやで』
極論だと思った。
でも、兄の日記を見ると、八(はち)の言葉はあながち間違ってはいないという事がわかった。
僕も、また八(はち)を支配したいだけに過ぎないのかもしれない。
【父親に、また酷いことを言われたと言った。俺は、■■を守ってやりたくてまたしてしまった。■■は、嘘でもいいから愛してるって言ってと言った。俺は、そう言ってした。終わった後、■■が好きな子に告白されたと言った。もうそろそろ終わらせなアカンかな?俺も告白されたから。それを言ったら、いつも優しい■■が怒って俺に馬乗りになった。何で、それ今言うん?ってポロポロ泣いた。何で泣いてんのかわからへん】
最後の文字が、滲んでいた。
次の日を見る。
【あの後、■■はすぐに帰った。まだ、返事はしてなかった。モヤモヤしてたから、学校の使ってない教室に連れてきた。昨日の何なん?って聞いた。ごめんとだけ言う。■■は、好きな子おるやん。俺は、友達やろ?だったら、もうやめたらいいやんって言った。珍しく■■からキスをしてきた。何なん?って言ったら、またごめん。いい加減、イライラする】
すれ違いが、起こり始めたのがわかる。
【普通に過ごすつもりやった。■■が家の人がおらんからって俺を誘った。昨日は、キスだけやったから。もう、せんかったら終わると思った。やのに、■■から■してきた。何でって聞いたら、色んな事忘れられるって言った。俺は、またしてもうた。】
ページを先に進める。
【■■が、好きな人と付き合ったって聞いたから。俺も、付き合った。もう、これで親友に戻れる。なのに、家で過ごした■■が言った。もう、触(ふ)れんの?当たり前やろって笑って言ったら、■■にキスされた。意味がわからない】
八(はち)との恋に破れた兄は、竹君に慰めてもらい。
竹君を振り回し、竹君とすれ違った。
【■■が親友に戻るのは、無理だと言った。けど俺は、できるって言った。■■が、キスをしてきそうになったけど、俺は、かわした。ごめん。もう受け止められない】
日記は、ここで最後かな…
兄は、日記を書くのが趣味だったのではないか?
僕は、兄の部屋に入った。
電気をつけた。
机を探した。
兄の部屋の本棚を探す。
あった。
鍵つきの青い日記帳。
鍵がない…。
机の引き出しを開けると、それはあった。
ページを開くとやはりあの日記からの続きも書かれている。
ペラペラ捲って、気になったページでとめた。
【竹が九你臣(くにおみ)にキスをしたのを見てしまった。多分、これは俺のせいだ。九你臣(くにおみ)は、多分ファーストキスだ。キスは、どんな感じだと言っていたから】
えっ…。僕のファーストキスは、竹君…
【竹が、男子中学生と会ってる話を知った。俺のせいだ。俺が竹に男を教えた。】
ペラペラと捲る。
【竹をあの子から引き離した。死んだみたいな目をしてる。多分、竹はベロベロで覚えていない。また、俺達はあの関係に戻ったんだ。】
また…。
二十歳の時に、また…
【竹は、何も覚えていない。ベロベロで俺を求めた。俺は、それに答えた。あの日の竹みたいに、竹が立ち直るまでそうするつもりだ。】
兄が、この家をでるまでの日記だ。
23歳で、この家をでた。
二十歳から、三年間。
竹君は、知らなかったのかな…
本当に…。
僕には、そうは思えなかった。
竹君は、知っていたのではないだろうか?
それでも、兄と繋がりたかったのは…。
何もかも忘れたかったからではなかったのだろうか?
【俺は、竹を利用している。俺にとって、それはもう捌け口だった。仕事の苛立ち、自分への苛立ち。竹とそうすると、あの頃みたいに満たされた。欲望が叶っていく感覚、支配する感覚。俺は、優しい人間ではない事を実感する。こんなに、支配したくなる人間だと言うことを実感する。】
八(はち)が、僕に言った言葉を思い出した。
『九(きゅう)、俺のおかんはね。弱い人間やった。小さな俺を支配する事が幸せやった。人間ってな、やっぱり動物なんやで。誰かを支配する事で満たされるんやで』
極論だと思った。
でも、兄の日記を見ると、八(はち)の言葉はあながち間違ってはいないという事がわかった。
僕も、また八(はち)を支配したいだけに過ぎないのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
青龍将軍の新婚生活
蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。
武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。
そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。
「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」
幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。
中華風政略結婚ラブコメ。
※他のサイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる